てんし-
ねえ、そこで何をしているの?
まあ何をしようとしているかくらい分かっているんだけどね。
でも君の足はすくんでいるじゃないか。怖いのかい。でもどうせ君の魂も肉体も全て百年もしないうちになくなっちゃう。どうしたってね。
ボクが助けてあげようか。ボクがその空虚な倫理観に潰れた肩を押してあげる。君の殺意が、決心がボクを動かすんだよ。
ーーー
君はここまで落ち着いていなかった。怒りだとか悲しみだとか、そんな上っ面の感情で突き動かされていた。
大丈夫だよ。ここからはボクも力を貸してあげるから。
君は意志を示すだけ。
ここで諦めてどうするの? 戻って不快な酸欠に苦しみながら弱って死ぬのかい?
じゃあ、一歩、踏み出そうか。独りじゃ……ないよ。
ずっと君のことを見ていたんだからね。
大丈夫。孤独なのはもう終わりだから。もうこれからは仲間と一緒だからね。
ボクとも会えるといいね。
じゃあ、そろそろ時間だよ。せーので……
彼と そして、生きた。
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