
実践例:簡単な構成台本の作り方
よく先生がたから「動画の作り方なんて子どもたちは知ってますよ」と言われます。
確かに、今では小学生でも動画づくりをしてるぐらいですから、中高生となれば当然のスキルと言っても過言ではないでしょう。
子どもたちはいろんな編集アプリを知っていますし、実際にかなり魅力的な作品を発信しています。
ただ、それは日常の娯楽の延長上です。
ちょっと悪意を込めていうと、「TOY(玩具)」なんですね。
ですから、子どもたちがそこから学びを得たり、近い将来にビジネスシーンで使えるような「TOOL(道具)」にさせる必要があると思うんです。
動画づくりから映像制作への転換です。
そのために子どもたちのファシリテートをしてあげるのが、私の定義するところのFilm Educationになります。
具体的にいうと……
「完成を見据えて設計をし、それを繰り返す」
これに尽きます。
設計の一つの方法としては、いわゆる「シナリオ(脚本・台本)」があります。
これは映画やドラマのフィクションでの呼び方で、ドキュメンタリーなどのノンフィクションの場合は「構成台本」と言います。
以下、この構成台本の実践事例を紹介します。
先ほど、長野にあるフリースクール・OZ Fieldの授業をしました。
今年の開校で、4月からFilm Educationを行っています。
小学生から中学生が一緒であったり、オンラインであったり、さらにフリースクールの特性もあって、なかなかの試行錯誤が続きましたが、ようやく雰囲気が掴めてきた気がしています。
ちなみに、目指すゴールは、自分たちで撮ったドキュメンタリー作品を通知表の代わりにしようというものです。
さて、今日の授業は「キャンプを記録するための作戦会議」でした。
来週、彼らは2泊3日のキャンプに行きます。
せっかくだからそこでの活動を撮影して、映像作品を作ろうとなったのですが……
「とりあえずいろいろ撮って、後で編集しよう」ではダメです。
それだと玩具を使った動画づくりの域なんですね。
ですので、こんなファシリテートをしました。
1.実際に活動する3~5人のグループに分かれる
2.何を撮りたいかを考えて、撮影項目を10コ挙げる(20分)
予定されているキャンプでの活動内容からシミュレートして、どんな場面を撮ったら面白いかをディスカッションする
3.プレゼン
思いついたまま、ランダムに発表する
4.時系列に順番に並べる⇒日にちごとに分ける(10分)
5.撮影項目を追加する(3分)
日にちごとに分けると項目が少ないところが出てくるので、再考して追加をする
6.プレゼン
7.まとめ
これは「構成台本」といい、活動に夢中になって撮り忘れがないようにみんなで確認し合うためのものだと説明する。
そして、写真を撮って各自のスマホやタブレットに入れておくよう指示をする。
今回は昔ながらの付箋を使ったワークにしましたが、PowerPointやKeynoteなどのアプリケーションを使っても構いません。
そして構成台本をキッチリ綺麗に完成させる必要もありません。
あくまで一つのプロセスであり、撮影が終わって編集が終わる前にも今一度設計を行うからです。
重要なのは、いきなりカメラを回したり、PCに向かって編集を始めるのではなくて、完成型をイメージして思考をするかどうかです。
どうでしょうか?
シナリオやら構成台本というと思いっきりハードルが上がってしまうかもしれませんが、上記をご参考にいただといくぶんとっつきやすくなったのではないかと思います。
OZ Fieldをはじめ、他の学校の実践事例も発信していきますので、是非チェックしてください!
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