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ベトナムから中国を見つめる欧米人

 ベトナムで今まで一番訪れた都市は、ホーチミンシティ(HCMC)でもハノイでもなく、国境の地方都市ラオカイである。

 川向かいにはアピールするかのように高層マンションを現在進行形で建てまくる中国雲南省の河口がある。河口にはベトナム語の看板が多数あり、ベトナム人も多数見かける。バックパッカー全盛期には風俗の街として有名だったが結構その辺の産業は現在は綺麗になった。

 河口までは以前はハノイから伸びるナローゲージの鉄道がラオカイと河口を通って昆明北駅まであったけど、今は標準軌の新線が昆明駅から河口の町はずれの河口北駅まで通っている。町はずれに駅ができたらその間に市街地ができる。恐るべし中国。

 昆明から河口までは昔はバスで、今は長距離列車で、夜出発して寝て起きたら夜明け前に河口だ。そこから急いでバスに乗り換えて国境まで行き、米線でも食べながら国境が開くのを待って、国境を超える。

 河口からラオカイに入ると、まず国境近くの住宅地のコーヒー屋で国境渡った記念でベトナムコーヒーCafe Phinを一杯。3万5000ドン(170円)くらいだった記憶。ポトポトとコンデンスミルクが貯まったコップにコーヒーが一滴一滴落ちていくのを横目に店のWifiに繋ぎ、制限がほぼ皆無なインターネットを繋いで、あぁーよかったぁーと笑顔になる。

 そこでCafe Phinをキメながら、スマホアプリやWindowsやSwitchの更新を一気に行って、「ああ、ネットの自由はいいな」と心を落ち着かせる。ここで以前は時計の針を1時間戻すんだけど、スマホは勝手に時間を調整してくれるのでこの手間もなくなった。

・・・とこの話を書いたところ、ホーチミンでお世話になるいのっちさんからCafe Phinはベトナム南部ではあんまり言わないとのこと。余談でした。

 コーヒーを飲み干して更新が終わったら茶を飲み干し街歩き。ちょちょいと手を動かしてバイタクを呼んで、お寺でお参りして、市場を見て、青空市場でフォーやごはんを食べて、家電量販店とモバイルチェーンを眺めて、スーパーでクレカ(Visa)でコーヒーなど土産を買い、ラオカイ駅でまったりにんまりした後にベトナムビールを飲む。

 一連の動きはもはや秋葉原で決まった店を巡回する人のように変わらないんだけど、解放感でほくほくになる。仲良しのNさんや、慕っていただいたF君など連れてって、喜んでくれたんだから、みな楽しいに違いない。多分深圳東莞広州などに住んでいる方は香港行きが癒しなんだろう。いかがですか?

 広東住みの華村さんいわく、癒しでした。ですよねー。

 ところで話は変わるが中国の河口から国境の橋を渡ってベトナムに向かうと左手に寺がある。この寺からだいたいいつも西洋人の旅行者が中国サイドを観光地として見ている。

 彼らは中国には行かない。中国ビザを取るのは面倒だし、中国を越えても誰も英語がろくに話せない。看板の文字はいよいよわからず、バスターミナルも鉄道駅も歩いては到達できないところに移転してしまった。両替やSIMカード購入すらままならず、クレカは無能なカードとなり、おまけにSIMカードがなければ各種アプリは使えず、googleもFacebookもtwitterもYouTubeもみんな使えなくなる。

 西洋人からすれば中国はえらい不親切なのである。逆に言えばベトナムはそれなりにホスピタリティがあり、外国人が旅行しやすい場所だ。

 幸い僕ら日本人は漢字のおかげで中国の文字のシャワーを受け入れられる。バスの行先もわかる。だが西洋人からすれば半端なくストレスになる。中越国境に行くたびにこの当たり前を見て思い出す。

 リサーチやモノカキをやっていても、少なくとも中国ITに関しては日本のほうが、ほとんどの外国のレポートよりもはるかに優れているけれど、日本人にとって中国は、他国の人よりもハードルが低いのだ。

 ハノイが昆明からまあまあ近いので、幸い構っていただいてる在ハノイの日本人の方もいる(大感謝)。ある方が「じゃあ今度は逆に私が昆明に」と、ラオカイから河口に行ったところ、漢字はなんとなく読めてもえらい不親切で押し売りのように人民が声をかけてきてなんだかわからないと参ってしまって、河口でギブアップして昆明まで来ることなく再び国境の橋を渡って戻ってしまったなんてことがある。

 中国は便利に思えて、他国在住の日本人から見てもえらい不親切だ。中国の生活リズムに乗れてる人は中国のマイペースに付き合えてる、くらいに思っている。

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