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佐々木俊尚『読む力 最新スキル大全』東洋経済新報社

副題は「現代病「集中できない」を知力に変える」と書かれています。現代は、いろいろなことに気が散ることが多いのですが、何もひとつのことに集中しようとすることは不要であり、いろいろなことを並行して行うことを提案しています。

「読み方の最新スキル」を1冊にまとめた本ですが、どちらかと言えば、情報のインプットおよびアウトプット術、情報の整理法について書かれた本です。

著者は、毎日、TwitterとFacebookで「読むべき記事」を紹介していますが、これがなかなか優れていて、到底、自分では探し得ないものばかりです。どうして、このようなことができるのかという問いに対し、そのノウハウを公開した有益な本でもあります。

SNSについて、ネット情報による偏りや、デマ情報の落とし穴についての記述があり、その落とし穴、雑味の排除するところから始めるという注意点は非常に重要です。また、SNSを使い分けて、「人間関係用」と「情報収集用」に分離するということの必要性については、とても納得します。

情報収集のためのRSSリーダーの使用や、「あとで読む」アプリを使うことも書かれています。情報収集整理法のノウハウとして、わかりやすく書かれていますので、すぐにでも活用できるのではと思われます。

本を読む「コツ」についても書かれています。自己啓発書について、正解に見えるものは、たいてい「後出しジャンケン」であると言います。絶対に成功する法則はありませんが、失敗の法則はありますので、失敗を避けるよう努力するしかありません。人は誰でも、自分の無限のパワーを信じたいものですが、超優秀であるからといって、全員が成功するとは限りません。

「後出しジャンケン」のきれいごとを鵜呑みにして、「こうすれば成功するのだな!」と経営者の成功本や自己啓発書を消費する人になっていないかと自ら反省をしました。

脳をクリアの状態にするためには、コンピューターに保存されている情報は乱雑でもかまわないのですが、脳の中の雑多なノイズをできるだけ取り除き、清浄にしておく二刀流を勧めています。「情報系ブラウザ」と「雑務系ブラウザ」を使い分けることも勧めています。

著者の仕事場、本棚、Kindle本棚、ツール等の写真を巻頭に載せるなど、ノウハウを惜しみなく公開していますので、とてもわかりやすく、かつ、すぐにでも活用ができます。

鋭く、かつ、バランスの取れた著者の本物の思考力や、新しい発想力の秘密が多少とも明らかにされたと思われます。凡人でも、これらのノウハウを取り入れて、本物の思考力や、新しい発想力に近づくことはできるように思われます。

ビジネスマンのみならず、読む力を鍛えたいと思う人は、だれでも、今すぐ手にとるべき書籍ではなかろうかと思います。多くの人にお勧めします。





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