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ズンク・アーレンス『TAKE NOTES! メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』日経BP

社会学者であるニクラス・ルーマンが編み出したツェッテルカステンというメモ術を紹介した本である。

ツェッテルカステンは、日本語に訳すことなく出ていることで、理解の邪魔になるような気がするが、正確性を期するためかもしれない。ツェッテルはドイツ語でカード、メモ紙であり、カステンは箱である。メモを書いてカード箱に入れる方法と言うと少し不正確となるかもしれない。

書籍や論文の執筆は白紙から書くものではないと言う。メモをうまくとることから始まる。また、調査や研究のあとで書くものでもないと言う。これらの合間に書くものである。毎日、メモを取ることでアイデアがひらめく。

ツェッテルカステンは次の4つのものが必要とされる。           ①紙とペン                               ②文献管理システム                          ③ツェッテルカステン(ボックスまたはデジタル専用ツール)                          ④エディター(Wordなど)

メモは、頭に浮かんだあらゆるアイデアを書く走り書きメモと、何かを読むたびに書く文献メモを書く。走り書きメモと、文献メモをながめて、新しく浮かんだひとつのアイデアに対し、ひとつだけメモを書く。そのとき、主語と述語を入れて他人に読んでもらうように正確、明確、簡潔に書く。出典があれば明記し文献メモとリンク付けする。

走り書きメモは捨て、文献メモは文献システムに入れ、新たに書いた永久保存版のメモは、メインのツェッテルカステンに入れる。すでにあるメモとの関連を考え、関連するメモとのリンクを付け、このメモを探せるように索引メモを最小限つくる。

言葉で書いていくと、なかなか理解できないが、専用ツールを使用すると便利なようである。(日本ではRoam Researchや、Scrapboxなど)

メモを比較することにより、新しい視点で古いアイデアを磨いていくことができる。ツェッテルカステンを使用していると、このメモが大事だと直感でわかるようになってくる。

ほとんどの場合、イノベーションは突然のひらめきの産物ではなく、改善に向けた一歩一歩のステップである。ツェッテルカステンは、単に入れたものを出すだけの保管箱でもない。メモ同士をつなげてアイデアを発展させていくことに意義がある。

ツェッテルカステンを自分の頭の外部記憶装置としてうまく活用することができれば、かなり便利なツールとなることがわかる。そのためには、まずメモを取ることを習慣にすることが先決だ。

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