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清水康裕『エンゲージマネジメント  本当に愛される職場のつくり方』ぱる出版

従業員が仕事に対して自らの意思で前向きに取り組む姿勢のことをエンゲージメントと言いますが、エンゲージマネジメントとは、従業員が能力を最大限発揮できる環境を経営者が整えることを示す造語(エンゲージメント+マネジメント)だそうです。

エンゲージマネジメントを実践することで、経営判断の精度が上がり、従業員の意欲も向上し、その結果、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)が充実します。ヒトの問題は不確かで、効果を把握しにくい傾向があるからこそ、エンゲージマネジメントを学び、組織を活性化することが重要とも言えます。

テレワークにより仕事が変化し、時間管理から成果管理に切り替わっていくと、時代や社会に適合した組織に自ら変わろうとする自走型組織となることが必要とされています。

GAFAの福利厚生が充実している理由は、優れた人材が能力を最大限発揮できるように、他の企業に転職してしまわないように、魅力的な企業となろうと努力を惜しまないからです。従業員のコミュニケーションを促しアイデアを育むようにもしています。

経営者・管理者がどのような態度や考え方で従業員と接しているかが非常に大きな要素となります。しかし、中小企業には、次のようなエンゲージマネジメントを妨げる環境(経営者)があります。
①「なんでも相談しなさい」と言っておきながら、声を掛けると不機嫌になる経営者
②自分の評価最優先の経営者
③一度言い出したら考えを曲げない経営者
④何でも自分で抱えてボトルネックになる経営者
⑤自己啓発書やビジネス書の内容を鵜呑みにしてそのまま自社で運用しようとする経営者
⑥現場に依存しすぎて存在感のない経営者

中小企業を生まれ変わらせるためには、経営者の熱意を会社の方向性として明示し、形式的なコミュニケーションにこだわらないことが重要となっています。しかし、従業員は転職という選択肢がある分、どうしても企業に対する思い入れは経営者に比べて低いということも認識しておく必要もあります。

エンゲージマネジメントにより、経営者と従業員の意識差を縮めることはできます。従業員を自律させることで、従業員を会社のエンジンであるとともに、経営者には見えない情報を提供するレーダーとすることもできます。

従業員が自走すれば、経営者は経営者としての時間を確保できるようになります。従業員が自分で考え、その考えを発信できるようにすれば、仕事に対する責任感が生れ、さらに仕事にやりがいを見出すことができるようになります。このように仕事を楽しめる環境を整えることが重要となります。

企業の使命である利益の追求ため、固定費の大部分を占める人件費を削ると優秀な人材から流出します。そのため人件費を落とさずどうやって利益を上げるかが腕の見せ所です。従業員に経営者目線を持たせることで、利益をアップさせます。

しかし、エンゲージマネジメントは、成果が不明確で、効果が遅く、ゴールがありません。エンゲージマネジメントの定着化のため、次の4ステップがあります。
①従業員が安心して働ける環境をつくる
②社内の情報が共有されるルールをつくる
③小さな成功体験で従業員のやる気を向上させる
④変化を求めなくならないよう仕組みをつくる

本書は、経営者が変わることにより、従業員が変わり、それによって組織が変わることで、時代に即した会社となるための方法について、エンゲージマネジメントという言葉を使い解説したものです。

著者が体験した実例が、成功例だけでなく、失敗例も載っています。中小企業の経営者にとって、またヒトの問題に頭を悩ましている人にとって、確かなヒントとなると思われます。





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