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サステナブルの輪 Vol.008 講談社

こんにちは、ヤマト運輸公式note編集部です。

今回は、総合出版事業を展開する講談社さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

講談社は30を超える雑誌のほか、文芸書からコミック、実用書、学術書まで、さまざまな書籍を発行。近年では海外事業をはじめ、電子書籍などのデジタル事業の充実化、コミックや小説などの映像化・アニメ化といったライツビジネスにも力を入れています。

創業以来「おもしろくて、ためになる」を企業理念に、出版という事業を通して、人々の暮らしの役に立ち心の豊かさに寄与することを目指し、全国の子供たちを対象にした読書推進事業「本とあそぼう 全国訪問 おはなし隊」から海外における就労支援に至るまで、国内外で多彩なサステナビリティ活動を行っています。

今回、社長室部長兼コーポレート企画部担当部長の藤田康雄さまと、広報室担当部長の丸山紀子さまに、サステナビリティへの取り組みついてお話を伺いました。

社業と密接に関わることがサステナビリティ

2024年3月に、講談社が優先して取り組むべきサステナビリティ課題として4つの「マテリアリティ(重要課題)」を発表しました。まずは、4つの「マテリアリティ」の特定に至った策定プロセスからお話をさせていただきます。

講談社は歴史のある出版社です。これまでも出版を通じてさまざまなサステナビリティへの取り組みを行ってきました。例えば、「FRaU」というメディアでは、2019年1月号で国内女性誌ではじめて全ページにわたるSDGs特集を行っています。後ほど詳しくご紹介させていただきますが、20年前から刊行されています絵本の『もったいないばあさん』シリーズなども、SDGsコンテンツの1つです。

編集部や営業部などそれぞれの事業本部がサステナビリティへの取り組みを行うなかで、改めて全社的な活動としてSDGsを推進する必要があるのではないかという声が上がりました。これを受けて、2021年にコーポレート企画部が全社的なサステナビリティを担務することになり、取り組みがスタートしました。

社内で既に行っているSDGs活動を把握する目的で社内アンケートを実施、同時に他業界も含め他社の活動を調査しました。SDGsの17目標は人権、経済・社会、地球環境などさまざまな分野にまたがっています。出版業界に限らず、他業界においてもSDGsに関わる活動は幅広く、多岐に渡ります。一企業として、出版社として、講談社として、何をやるべきか。あれもこれもとスポット的にやっても意味がありません。まず最初に、優先的に取り組むべき「マテリアリティ」を決めることにし、外部専門機関の協力を仰ぎながら、「マテリアリティ」の策定を開始しました。

まずは、サステナビリティに関する取り組みを推進するため、国際的なガイドラインやステークフォルダーからの期待や要請を調査し、当社に求められているサステナビリティを社会軸と企業軸でマッピング。すると、「研修・教育」「グローバライゼーション」「デジタライゼーション」の領域が当社にとって非常に重要であることが判明したのです。サステナビリティといえば、環境問題とかダイバーシティのイメージが強いと思いますが、客観的な調査によって、当社が最優先に取り組むべき分野が判明したので、非常に興味深い調査結果だなと感じました。

そのような調査結果に基づいて、4つの「マテリアリティ」−「物語の力を世界に届ける」「自由で多様な価値観を守る」「パートナーとともに環境問題に取り組む」「地域社会とともに歩む」が策定されました。

物語の力を通してサステナビリティに貢献

マッピングで判明した重要なトピックスをどう具体的に言語化していくか、ここが最も難しく、苦労したことです。たとえば「研修・教育」の分野で、講談社が取り組むべきことは何なのか、どんな貢献ができるのか、どんな強みを持っているのか。それは言うまでもなく、当社の社業としての出版活動を通して貢献することです。では、講談社の強み、特徴は何なのか。

当社では創業以来、「おもしろくて、ためになる」を会社の大目標に掲げてきました。近年、「おもしろくて、ためになる」の英語版が「Inspire Impossible Stories」と意訳され、講談社のパーパスとして定められました。素晴らしい物語は人々を勇気づけ、争いを無くし、希望を与えてくれます。そんな作品を日本のみならず、世界に届けたい。これこそが私たち講談社の大いなる目標です。

これが「マテリアリティ」の最初に掲げた「物語の力を世界に届ける」に込めた想いです。講談社の武器でもあり、強みである物語の力。この「物語の力を世界に届ける」こそが、とりわけ「研修・教育」の分野でサステナビリティへの貢献につながるはずであると考えました。

2つ目の「自由で多様な価値観を守る」は、物語を作るための源泉になるものです。素晴らしい作品を作るには、自由な創作活動の場が必須です。人々を感動させる才能は、多様な価値観、多様な人材のなかから生まれます。創作活動の源泉とも言える価値観を守り、世界に拡げることも、私たちの使命です。

3つ目の「パートナーとともに環境問題に取り組む」も非常に重要な課題です。講談社は紙資源や出版流通のムダを無くし、効率化する施策に取り組んでいますが、環境問題は当社1社だけで解決できるものではありません。気候変動や脱炭素などの問題解決に向けては、出版業界のみならず多くの関係企業と協力しながら取り組んで行きたいと考えています。

4つ目の「地域社会とともに歩む」については、講談社はこれまでもローカルコミュニティとの共生、文化遺産の保護・保全などに努めてきました。今後もさらに地域貢献活動を加速させていく取り組みとして挙げています。

SDGsコンテンツを通して意識向上を促す

最後に当社の具体的なサステナビリティ活動をご紹介させていただきます。冒頭でもお話をさせていただいたように、講談社では「マテリアリティ」の策定以前から、全国の子供たちを対象にした読書推進事業から、海外における就労支援に至るまで、国内外で多彩な活動を行ってきました。これらの活動は引き続き、積極的に取り組んでいきます。

読書推進事業の一つ「本とあそぼう 全国訪問 おはなし隊」は、マテリアリティ4つ目「地域社会とともに歩む」の実現に25年前から継続して取り組んできた事業です。地方で本屋や図書館が減少するなかで、本に接してもらうタッチポイントを作るために、2台のキャラバンカーにそれぞれ550冊以上の絵本を載せて全国を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店、こども食堂などを訪問して、絵本の閲覧や、紙芝居と絵本の読み聞かせを開催してきました。1999年にスタートし、すでに全国を10周し、120万人の親子に届けてきました。

2018年には優れたメセナ(芸術文化振興による豊かな社会創造)活動を表彰する「メセナアワード2018」のメセナ大賞を受賞しています。その他、出版社の活動に興味を持っている中高生に向けた会社見学も実施しています。

冒頭にも触れました「FRaU」は、SDGs特集号以来、SDGsの認知を広げる日本で唯一のSDGs雑誌として、リーディングメディアの評価を受けています。現在、SDGsアクションを促す「FRaU×SDGsプロジェクト」を実施、WEBマガジンとしてサステナビリティに関わる記事を発信しています。

『もったいないばあさん』シリーズは、「ものを大切にしながら生活をする」という基本的な考え方を教えてくれる絵本として2004年に誕生。ちょっと怖そうに見えるけれど、とっても大切なことを教えてくれるおばあさんが主人公の話です。現在17作品あり、累計100万部を超えています。全国の幼稚園、保育園、そして韓国や中国、フランス、インド、ベトナムなど、世界中の子供たちに愛されています。
環境省との共同事業「もったいないばあさんプロジェクト」では、AEPW(廃棄プラスチックをなくす活動をしている非営利団体)の協賛で、6ヵ国語(日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語、ヒンディー語)のアニメが制作されました。インドでは「読み聞かせキャラバン」も実施するなど、 “SDGs絵本”として世界中で読まれています。

児童書シリーズ『おはなしSDGs』は、これからの未来を担う世代に向けた、子供のためのSDGs入門書シリーズです。おはなしを楽しみながらSDGsの17のゴールを理解することができる作品になっています。現在、テーマ学習の教材としても利用され、全10冊が刊行されています。

グローバルな活動としては、国際連合が世界各国の報道機関やエンターテイメント企業に対して、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的として設立した「SDGメディア・コンパクト」にも2020年より加盟しています。

海外就労支援事業では、講談社とリバプールFC財団、リバプール・ジョン・ムーア大学と協働で、イングランド内でも貧困率の高い地域であるリバプールの学生たちに雇用の機会を提供するプログラム「Creative Works」を実施。「Creative Works」はクリエイティブな分野への就職に興味を持つ高校生と大学生を対象に、自信、自尊心、生活スキル、知識、教育達成と雇用の可能性の向上を目標とした支援プログラムです。ワークショップの他、地元の企業の協力による職業体験やインターンシップも行われています。

環境問題の取り組みでは、出版物の輸送時に、環境への負荷を軽減するためのシステムを採用。排気ガス規制適合かつ低公害のハイブリット車を積極的に使用するとともに、輸送の際の無駄をなくすために、関連会社・取引先との共同配送を行い、稼働台数削減に取り組んでいます。売れ残り商品の廃棄の際は、精緻な分別作業を行い、産業廃棄物の削減やリサイクル比率の向上を目指しています。

講談社はそれぞれの分野での自立性、独立性の高い組織です。その一方で当社には、創業以来培われてきた「おもしろくて、ためになる」という、社員全員が共有している大目標があります。「マテリアリティ」策定に関わるなかで、その想いを再認識するとともに、「おもしろく、ためになる」あるいは「Inspire Impossible Stories」を追求することがサステナビリティへの貢献につながることを確信しました。今後とも、講談社だからこそできるサステナビリティへの貢献を果たしていきたいと思っています。

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今回は、講談社さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。

次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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