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社会問題解決のDNAを受け継ぐ企業スピリット。一杯のコーヒーからサステナブルな未来へ サステナブルの輪Vol.010 ネスレ日本 

皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。7月いかがお過ごしでしょうか。

ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は、食品飲料事業を展開するグローバルカンパニー・ネスレの日本法人である、ネスレ日本さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

コーヒーブランド「ネスカフェ」を中心に、世界最大の食品飲料会社として、飲料から菓子・食品、ペットフードまで、世界188カ国で2,000以上のブランドを展開。「Good food, Good life」を企業理念に掲げ、グローバルな規模、リソース、専門知識を活かして、人々と地球のさらに健康な未来づくりに貢献するというサステナビリティへのコミットメントを推進しています。

今回、サステナビリティ&ステークホルダーリレーションズ室・室長の山口恵佑さまと、レギュラーソリュブルコーヒー&システム&ギフティングビジネス部・マーケティングスペシャリストの中西弘明さまに、サステナビリティへの取り組みについてお話を伺いました。


社会問題の解決が事業の始まり

サステナビリティ&ステークホルダーリレーションズ室・室長 山口恵佑さま

私たちネスレは、「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」をパーパスに掲げています。このパーパスを中核として大きく3つの分野でサステナビリティへのコミットメントを推進しています。

一つ目が「人と地球のために」。大地で育った物を扱う食品事業では、地球の環境や資源は、極めて大切なものです。地球の環境や資源を守り、次世代につなげていくことは、ネスレにとって大きな使命です。製品パッケージの改善をはじめとして、サーキュラーエコノミーの構築、持続可能な物流、食品ロスの削減、再生可能エネルギーの利用など、さまざまな取り組みを行っています。

二つ目が「コミュニティのために」。持続可能な社会の実現は、私たちネスレだけではできません。コーヒーやカカオの栽培には、農家をはじめとして地域コミュニティの協力が不可欠です。ネスレでは、困難に負けない活力あるコミュニティの育成に取り組んでいます。経済的にも、社会的にも、安全衛生面でも、健全な取り組みを地域コミュニティと一緒に行っていくことが、当社の健全な経営にもつながります。

三つ目が「家族とペットのために」。健康で、栄養があって、楽しい食品飲料を提供することで、家族とペットのために、さらに健康で幸せな生活を実現していこうというものです。健康的なコーヒー飲用習慣の推奨をはじめ、職場やコミュニティに無料でコーヒーメーカーを貸し出しする「ネスカフェ アンバサダー プログラム」、神戸市と協働で地域の皆さんの「つどいの場」を作り、高齢者の生活の質向上に貢献する「介護予防カフェ」、健康的な選択肢の提供、製品パッケージ上での栄養表示などに取り組んでいます。

こうした社会問題の解決に向けた取り組みは、ネスレの創業以来受け継いできたものです。ネスレの事業は、創業者のアンリ・ネスレが1867年に、当時、乳幼児の高い死亡率を改善するために、画期的な乳児用乳製品を開発したところから始まります。社会問題を解決したいという創業者の思いが当社のDNAとして根付いています。

現在の主力商品である「ネスカフェ」も、社会問題解決のために生まれたものです。1930年代初頭に、ブラジルでコーヒー豆の大豊作により価格が大暴落し、豆の海洋投棄や焼却が社会問題になっていました。ブラジル政府から相談を受けたネスレは、インスタントコーヒーに加工する技術によってこの問題を解決に導き、1938年にスイスで「ネスカフェ」が誕生しました。インスタントコーヒーの開発により、コーヒーが保存できるようになり、フードロス問題の解決につながっただけでなく、コーヒーをより多くの人が楽しめるようになりました。

現在、私たちネスレでは、当社のパーパスを達成するために、私たち、ステークホルダーの皆さま、そして社会や地球にとって有益となることを目指すビジネスのアプローチを行っています。

2010年に、コーヒー豆の栽培から製造、流通、消費のすべての工程に関与し、サプライチェーンを継続的に改善することを目的とした「ネスカフェ プラン」を策定。生産者とともに持続可能なコーヒー生産のための取り組みを進めています。2022年には、「ネスカフェ プラン」をさらに強化した「ネスカフェ プラン2030」を発表。2030年までに10億スイスフラン(日本円で約1,600億円)以上の投資を予定しています。

「コーヒーの2050年問題」の解決に向けて

レギュラーソリュブルコーヒー&システム&ギフティングビジネス部・マーケティングスペシャリスト 中西弘明さま

ここからは、具体的な取り組みについて、いくつかご紹介させていただきます。

「ネスカフェ プラン2030」のなかで、現在、最も力を入れている取り組みが再生農業の普及・推進です。気候変動の影響により、2050年までにコーヒー生産に適した地域が50%までに縮小し、コーヒーの供給が難しくなるという「コーヒーの2050年問題」があります。コーヒーで生計を立てている約1億2,500万人の人々に影響が出ると危惧されています。

私たちネスレでは、再生農業を推進することで温室効果ガスの削減を目指すとともに、コーヒー生産者の生活向上を支援しています。再生農業は、天然資源を活用することにより土壌の「健全性」と「肥沃度(土壌の質)」を高め、水資源や生物多様性の保護を目指す農業のアプローチです。ネスレでは800人以上の農学者と専門スタッフが農家の方と一緒になり、環境負荷の少ない農業のあり方を研究しています。と同時にコーヒーの収穫量を増やし、生産者の生活向上にも寄与する取り組みを進めています。

また、日本においても製造現場での取り組みとして、兵庫、静岡、茨城にある3工場では、購入電力の100%を再生可能エネルギーに切り替え済みです。また、一部の工場においては、コーヒー抽出工程で排出されるコーヒーかすのほぼ100%をバイオマスとして再利用し、発生した蒸気を工場の熱源として利用しています。

物流面でも、従来、中距離輸送はトラック輸送でしたが、今年2月からは環境負荷の少ない鉄道輸送へのモーダルシフトを実施しており、CO₂削減だけではなく、物流の2024年問題への対策にもなっています。

グローバルな目標としては、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げています。直近の2025年までには20%削減を目標に、栽培から製造、流通までのロードマップを作成し、毎年、経過を公表しています。

製品パッケージの改善では、2019年から、チョコレート菓子「キットカット」の主力製品である大袋タイプ5品の外袋を、プラスチックから紙パッケージに変更。2020年にほぼすべての「キットカット」大袋製品へと拡大しています。この取り組みは、2020年に公益社団法人日本包装協会が主催する「第44回木下賞包装技術賞」を受賞しています。

「ネスカフェ」は、2008年の発売以来、継続的に詰め替え容器のパッケージ素材の改良に努め、アルミ箔不使用・紙素材のパッケージ化を進めており、「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック(つめかえパック)」や「キットカット」の紙パッケージは、スーパーの店頭に回収ボックスを設置し、紙から糸へのアップサイクルを行っています。

ネスレ日本では、一般社団法人アップサイクルが推進する、廃棄される紙資源や間伐材を紙糸にアップサイクルする「TSUGUMIプロジェクト」に参画しており、「TSUGUMIプロジェクト」では、紙から糸へと再生させた紙糸を加賀友禅などの伝統工芸とコラボし、Tシャツやトートバッグとして製品化。ノベルティとして活用するとともに、一部を「TSUGUMI」製品として販売しています。

サステナビリティに関する社会への啓蒙活動の一つとしては、「ネスレ サステナビリティ プログラム」として、中学生・高校生向けの学習教材を提供しています。ネスレの社会問題に対する取り組みを映像を通して紹介し、課題発見や解決に向けて物事を捉える視点や考え方を育み、主体的・協働的な学びをサポートするものです。昨年度は300校以上に提供し、2万人以上の生徒に学んでいただきました。

日本ならではの取り組みとして、紹介させていただきたいのが「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」です。このプロジェクトは、サッカー元日本代表の髙原直泰さんが率いるスポーツクラブ・沖縄SVとタッグを組み、沖縄での国産コーヒーの特産品化を目指すプロジェクトです。2019年にスタートし、現在では当社からはアグロノミスト(農学者)の社員を常駐させ、ネスレの世界各国の農学者と連携しながら、再生農業の考え方に基づいたコーヒー栽培に取り組んでいます。
2020年には沖縄県立北部農林高等学校、2022年からは沖縄県うるま市とも連携し、取り組みを加速。昨年、プロジェクト発足から5年を迎え、少しずつですがコーヒー豆の収穫も始まっています。土壌に合った品種や育て方、場所など、量産化に向けて引き続きプロジェクトを進めていきます。

サステナビリティにフォーカスする新コンセプト

2022年に発表した「ネスカフェ プラン2030」では、従来の「ネスカフェ プラン」をさらに強化する取り組みに加え、2023年秋からは新たなブランドコンセプトとして“Make your world”を掲げています。この新コンセプトは、世界規模での気候変動や、コーヒーの2050年問題という身近な問題がどんどん迫ってきている中で、「ネスカフェ」としてできることはないか?という考え方から、サステナビリティにあらためてフォーカスするコミュニケーションを推し進めるためのものです。

日本ではサステナビリティ意識がそれほど高くないという調査結果もあります。しかし、サッカーの試合観戦後に観客が自主的にゴミ拾いをしたり、物を大切にする「もったいない精神」があったりします。日本人がもともと持っている美徳を、少しだけ後押しするような感じで、エコバックを使ったり、マイボトルをもったりする感覚と同じように、「ネスカフェ」を飲んで、手軽に“Make your world”に取り組んでもらいたいという意味を込めています。

いつも楽しんでいる一杯のコーヒーを「ネスカフェ」に変えていただくだけで、それが徐々にサステナブルな未来につながっていくことを伝えたい。なぜなら、100%責任ある調達基準を満たした豆(生産者や環境に配慮されて調達された豆)からつくられた「ネスカフェ」を飲み続けることは、生産者の生活や環境を持続的なものにしていく活動に貢献することに繋がるからです。
そのちょっとした貢献が“そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする”という、「ネスカフェ」のブランドメッセージに込められています。

新コンセプト“Make your world”を打ち出すと同時に、「ネスカフェ」製品のパッケージも大きく変更し、”Make your world”のコンセプトのもとでサステナブルな取り組みをしっかり伝えたいという思いから、パッケージ裏面にも大きくこのメッセージを載せています。Webコンテンツも作成し、2023年10月から公開しています。

CMなどでも、新ブランドメッセージ“そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする”を掲げ、未来を思ってコーヒーを選ぶ、そんな一人ひとりの小さな行動の積み重ねがやがて大きな力となり、自分やその周り、そしてコーヒー生産国の農家や地球環境にまで広がっていくという思いを伝えています。

冒頭でもお話をさせていただいたように、ネスレは社会問題解決のためにスタートしたという歴史もあり、社員一人ひとりの社会問題への関心は高いと思います。とはいえ、社内の啓発活動を通して、社員一人ひとりのサステナビリティ意識を高めていくことは、とても重要だと思っています。
2023年4月にサステナビリティ&ステークホルダーリレーションズ室を設置したのも、全社一体となって改めてサステナビリティへのコミットメントを推進していこうという思いからでした。

社内での啓蒙活動の一つとしては、2019年からNPO法人「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」とともに、社員が参加するビーチクリーン活動を実施しています。社員一人ひとりが、手を動かし、汗をかく、ビーチクリーン活動を通じて、海洋プラスチックごみ問題を実感し、考える機会にしてもらうためのものです。

2023年からは神戸製鋼さまも加わり、プロジェクト名も『One Action Beach Clean』と改め、取り組みを拡大しています。今年は6月8日「世界海洋デー」にイベントを実施し、約200名が参加した過去最高の清掃活動となりました。

今後の取り組みとしては、目標達成のための取り組みを加速させるとともに、消費者の方が貢献を実感できる仕掛けや新しいサービスを開発することで、食の持つ力で、さらなるサステナブルな未来につながるための貢献を果たしていきたいと思います。

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今回は、ネスレ日本さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。

次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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