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インフォームドコンセント<情報提供と選択>

やまと診療所武蔵小杉の木村一貴です。

人生の最期の期間を伴走し、見送らせていただく在宅診療では
患者さんの病状を説明し、選択肢を提示することがあります。

例えば、
最後の最後で食事が摂れなくなった時に、
どのように過ごしたいのか?

口から摂れなくなったら、自然の経過を望むのか?
水分だけの点滴で対応して欲しいのか?
胃瘻や経静脈栄養など、人工的に栄養を入れることで
可能な限り長生きしてもらいたいのか?

選択肢を与えられて選択していく過程は、
患者さんそれぞれ、ご家族それぞれにより異なります。

ご高齢であれば自然の経過を望まれることが多いです。

でも、どの選択肢を選んだとしても間違いではなく、
正解はありません。

私たちの考えとしては、
どのような選択肢でもご本人とご家族でお話していただいて、
一旦の指針を決めていただくことが大事だ

と考えています。

いざ、患者さんの病状が悪化して、
自分の意見が言えない状態の時には
ご家族が急に選択肢を迫られることになります。

そのような急変時の選択では、
どのような選択をしたとしても
「ああしておけば良かったのかもしれない」
後悔が残ることが多いかもしれません。

本人とご家族で話し合いを重ねておけば、
「本人がこのように言っていたので」と
選択に迷いが少なくなる気がします。

もちろん、事前に決めていたも
本当にそれで良かったのだろうか?
と迷うことはあると思います。

いざその時が来た時にご家族が違う選択をしても、
「前に決めたでしょ?」と固執する訳ではなく、
ご希望したように治療して行く事もできます。

今はまだ元気だし、元気なうちに死ぬ時の話をしたくはない
という考えもあるかとは思います。

でも、残された方々が後悔が少なくなるためには
地震などの防災訓練をするのと同じように
いざという時に備えてシュミレーションをしておくことが
大事なのだろうと思います。

最期を考えるのは辛いかもしれない。
でも、患者さんご本人と、支えるご家族が
本音で話し合って合意形成を重ねるプロセス
を大事にして行きたいと思います。





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