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2021年読んだ本ベスト10冊

Yamatoです。

またまた更新が遅れてしまいました。
有難いことに人に会う度におすすめの本やこのベスト10冊を聞かれることが多く、そういった小さな期待に応えるためにも、継続的に(といっても年に一度だけどw)続けたいと思う今日このごろです。

ちなみに今でも下記の読書記事が読まれてて嬉しい限りです。
ありがとうございます。


では書きます。


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生物学的文明論

私の大好きなゾウの時間、ネズミの時間を書いた本川達雄さんの著書。

環境問題、資源・エネルギーの枯渇、超高齢化社会、赤字国債などなど現在我々人類が直面する深刻な課題を生物学というアプローチで紐解かれる本川さん。

ゾウの時間、ネズミの時間では哺乳類がメインでしたが、本書ではサンゴ、そしてナマコがメインで登場します。
生物学から見た独自の視点で語られる人間との対比や生き物の本来の姿が学べる面白い本です。

下記の抜粋は我々の祖先は変温動物から恒温動物へと進化を遂げたわけですがそれがどれほどインパクトだったかわかる文章です。

食べる量と体重との関係はどうでしょう? これも体重の四分の三乗にほぼ比例します。そして、同じサイズの動物で比べれば、恒温動物の方が変温動物より一五倍たくさん食べます。一五倍。これは、とてつもなく大きな違い

私たちの祖先の変温動物が、ある日、目覚めたら恒温動物に変わってしまったと仮定してみましょう。すると、昨日まで虫一匹捕まえて、あとは寝ていればよかったものが、今日からは、虫を一五匹捕まえなければ生きていけない。生活がすごく忙しくなってしまったのですね。もし私たちが今、三度の食事を四十五回に増やせ、そして給料も一五倍かせげ! などと言われたら、たまったものではないでしょう。もちろん進化の歴史では、こんな突然の変わり方をしたわけではないでしょうが、変温動物から恒温動物へ進化した時に、きわめて大きな生活の変化を伴ったのは、間違いないでしょう。


俺の上には空がある広い空が

無実の罪を着せられて29年間獄中で過ごした桜井さんの本です。

本来であれば誰かと比較することなく絶対的な自らのモノサシで自分の幸福や運命を客観視出来るようになりたいものですが、ここまで壮絶なストーリーを知ってしまうと事実を受け入れたくない歯痒さと同時に、弱い自分は勇気をもらってしまう。

普段あまり考えることもない冤罪に触れるきっかけとなる本です。

最高裁判所に「死に目に会わせてほしい」と、拘置停止申立書を提出して頼んだが、許可は下りなかった。  1977年3月 20 日、母の死を知る。電報を目にした瞬間、身体を風が吹き抜けていくような冷たさを感じた。涙は出なかった。  拘置所での生活のなかで一番悲しかったこと

そんな彼が最後に語った下記の文章が言葉になりませんでした。

これまでの人生を振り返ると、 29 年間の獄中生活も含めて、すべて幸せだったといえる。充分に人生を楽しみ、1年後に死んでも満足だと心底思えたのだ。

無罪になったから、そう思うのではない。 20 歳から 64 歳まで、冤罪を背負った体験と思いのなかでこそ、私は人間として成長することができた


ガウディの伝言

ガウディという世紀の天才の生い立ちと仕事ぶりを知ることの出来る一冊。
理想の世界を創る建築と経営の類似性含め、サグラダファミリア通して見る彼の天才性は、経営者のそれと大いに共感する部分を感じた。

時を超えた文化形成、マネジメント、そして何よりも人々を魅了させた壮大なビジョン。
ビジョンとは何か、ビジョナリーであることはどういうことなのかを感じることの出来る一冊です。

そんなガウディが語る「幸せ」とは?

幸せというのは、現在どれだけのものを持っているかということより、未来にどれだけの希望を持っているかということにかかっているのではないでしょうか。今すべてを持っている人でも、それを失うかも知れないという不安の中に生きていれば不幸だし、今何も持っていない人でも、希望で胸を温めている人は満たされているものだと思います。


世阿弥に学ぶ 100年ブランドの本質

初心忘るべからずの名言で有名な世阿弥の本。
私は勝手に日本が誇るカイゼンや仕組化の生みの親だと思っている。

シェイクスピアが生まれる200年以上も前に能楽を極めた真の顧客志向で本書でも多く出てくる「花」を突き詰め、「花」を魅了し魅了された人。

本書のタイトルにもあるブランドの本質だけでなく「仕事」とは何かを「花」とは何かを考えさせられる一冊。

うれしさがすべての始まり  このメッセージは、世阿弥のすべての議論の出発点である。能は何のためにあるのか、自分は何のために能の脚本を書き、能を演ずるのか。世阿弥の答えは明々白々で、「花」すなわち観客のうれしさのため

いずれにしても世阿弥の著作は「花」に始まり「花」に終わるもので、舞台を論じたものだから当然とする考え方もあるが、六〇〇年ほど前、西欧でルネッサンスが始まった頃、これだけ完成されたうれしさ創出論が出来上がっていたことに驚きを禁じ得ない

● 初心忘るべからず(最初の志を忘れない)の本来の意味は異なる。1.未熟なときの 体験を反省する2. 熟達したら新たなチャレンジをし失敗するこの言葉は、「《未熟》《反省》《熟達》《挑戦》《未熟》」という無限の進化のスパイラルを示唆しているのだ。


人類と気候の10万年史

歴史書を読む際に時々、気候や花粉の話を目にすることが多く気候変動と合わせて読みたいと思っていた本書。
結論、想像以上に面白かった!
日本にある水月湖が古気候学にこれほどのインパクトをもたらしていたことなど全く知らなかった。

結局のところ地球を主語に歴史を語ると生物は太陽にほぼほぼ生殺与奪の権を握られていて運命をコントロールされている。人間の抗いなど微々たるもので太陽の動きには勝てない。

そこまで温暖化が進んでいた当時は、はたして暮らしにくい時代だったのだろうか。  現代人の感覚をそのまま当てはめるなら、それほどの蒸し暑さは快適とは言いがたいかもしれない。だが当時、人類はまだ地上に出現していない。古生物学的に見ると、当時はいわゆる恐竜時代である。すなわち、地球の歴史の中でも例がないほど豊かな生態系が成立していた。生態学は、多様性と生産性を基本的には「是」であると考える傾向を持っている。そのどちらの視点から考えても、当時はむしろ「いい」時代だった

良い問いかけだった。

もうひとつ提起したいのは、私たちは気候に何を望んでいるのかという自分自身への問いかけである


構想力の方法論


日本的経営が世界の潮流だったJapan as No1から失われた30年を研究される野中郁次郎さんの本。
構想力という抽象的な能力を具体的な事例や歴史的背景を踏まえて解説してくれる本です。経済分野だけでなくサグラダ・ファミリアなど歴史的事例も多く学び多い本でした。

構想力とは、個人、組織が発揮するケイパビリティ(能力)であり、 想像力、主観力、実践力 を合わせた「存在しないものを存在させる力」 です。

「目指す港について無知なら、どんな風も追い風にはならない」
ルキウス・セネカ


生の短さについて 他二篇

善く生きるとは? について2000年以上前に書かれたローマ帝国不遇の時代を生きたセネカの本です。

ざっくり纏めると、
• 忙殺されない
• 今を生きる(今がどれだけ大切かを認知する)
• 無駄な時間を過ごさない
• 哲学する
• 徳とは幸せせのものである

と2000年経っても人間がどれだけ変化していないかがわかる本で(笑) と同時生き方なんてものにハックはなく、普遍的で本質的な指南であることがわかる。

彼亡き後にローマは五賢帝時代に入り人類史最大の平和と幸福をもたらしたとされるパックス・ロマーナを迎えると思うと感慨深い。

時間を残らず自分の用のためにだけ使い、一日一日を、あたかもそれが最後の日ででもあるかのようにして管理する者は、明日を待ち望むこともなく、明日を恐れることもない。

最高のものよりさらに高いものは何か、と尋ねていることになるからだ。徳から何を得たいのか、と尋ねるのか。徳そのものである。徳は徳以上に善きものを有さず、徳それ自体が徳の対価なのである。これほど大きな対価でもまだ不足だというのであろうか。私が「最高善とは 不壊 の精神の 強靱 さ、先見の明、 崇高 さ、健全さ、自立、調和、優美( 3) だ」と言っているのに、それでもまだ、そうしたものがそこへ還元される、さらに大きな対価や動因を要求しようという

High Growth Handbook

個人的にはHot Pepperミラクル・ストーリー以来のノウハウ流出本と位置づけられるくらい具体的かつ実用的なことが書かれたElad Gilが書いた本

レポーティングについて言及する部分があり、大いに頷いた。
タイトルにある通り、事業を進める中でときたま手に取って参照したいハンドブックとしておすすめです。

The role of the CEO: Managing your reports
1. You should hold regular 1:1s with your team. Ben Horowitz has great advice on how to hold 1:1 meetings in a pair of posts.

1. Once you are at about 30 people, you should hold a weekly staff meeting. Schedule a regular weekly time. Review key metrics. Be ready with a set of key topics for discussion on broader company or product strategy or key issues a functional area faces. Different members of the staff can present on a specific key topics or issue each week. Note: this is not meant to be an opportunity for team members to give an in-depth update once a week—it is a forum for discussion of metrics and strategy.


株式会社規範のコペルニクス的転回

久しぶりにAmazonを覗いたら驚いたw 
この本、5000円もするのかw 

資本主義に対してのアンチテーゼを目にする機会が増えたこの数年。あまりピンとこなかったので勉強がてら読んでみた一冊。

1000年以上歴史のある株式会社という人類の大いなる発明を学べる本。利潤増加を目的とするフリードマンへのアンチテーゼ的な側面もあり、現代的なパーパスやガバナンスにも言及。イギリス、ドイツ、日本、アメリカ市場におけるガバナンスと支配権の比較と変遷は面白い。
株式会社はなぜ存在するのか。そんな根本的な問いに向き合える一冊でした。
また、クエーカー教徒に興味を抱くきっかけとなった本。

過去四〇年以上にわたり、株式会社は著しい変容を遂げてきた。四〇年前は、米国企業の市場価値の八〇パーセントが、工場、機械、建物といった有形資産から構成されていた。これらの有形資産はライセンス、特許、研究開発費といった無形資産と対比される。しかし今日では、米国企業の市場価値の八五パーセントが無形資産から構成されている

これについては二〇〇〇年が転換点となっており、この年に英国と米国において無形資産に対する投資が有形資産に対する投資を上回った ★ 2。かつて両国は小売店主、建物、数多くのオフィスビルからなる国であると思われていたかもしれないが、もはやそのような状況にはない。


三位一体の経営


最後は敢えての資本主義ド真ん中の本! 

投資家視点でのチェックリストを通して企業を見ることで新たな視点を得ることが出来る本。投資効率性や超過利潤。事業の4つの型。コストとリスクという価値観など改めて学ぶことの出来た一冊でした。

「百論を一つに止めるの器量なき者は、慎み惧れて匠長の座を去れ」 とは、「最後の宮大工」と呼ばれた西岡常一棟梁の言葉ですが、経営者の仕事というものは、単に大きな事業仮説を立てるだけでなく、その仮説が大きければ大きいほど生じる猛反対を、論理と人徳で説得し組織を前に向かせる、という点にもある

何度見てもこの5つの質問は痺れる。

ではウェルチの「5つの質問」とはどのような質問だったのでしょうか。 1.市場はグローバルにどう動いていて、今後数年間にどう変わるのか? 2.競合はこの流れを変えるべく、直近三年でどんな動きをとってきたのか? 3.こうした流れや動きに対して、直近の三年であなたは何をしてきたのか? 4.向こう三年で競合が取りうる行動のうち一番恐るべき可能性は何か? 5.以上すべてを考慮したときに、最も有効な対抗策は何か?

では、(今更ですが)今年も読書を楽しみます。

過去のベスト10冊は以下


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