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2023年読んだ本ベスト10冊

今年も毎年恒例のBest10冊まとめてみたいと思います。
各本の紹介文はFacebookで普段投稿している内容になります。

努力論

重い腰を上げて遂に完読。
結論、素晴らしい本だった。
努力論とは一部ミスリーディングである。
正しくは幸福論。今で言うマインドフルネス的な本。
ただ、ラッセルや、アランなどの西洋型幸福論とは全く異なる東洋版幸福論。
出版は1912年、大正元年。日本は日清、日露戦争と勝利し、日本も産業革命期。
ゴールデンエイジと呼ばれ江戸天保時代に生まれた起業家が財閥を築き上げ、資本主義の波が押し寄せる。
業を成さんと欲するあまり自ら悩み苦しむ人も増えた。
福沢諭吉の学問のすゝめや、新渡戸稲造の修養が発売されたのもこの時期。
筆者はどういう心掛けで生きたら人は肯定的に生きられるのか? を説いており、心の持ち方や考え方を努力論と名付けてある。
努力とは、我が敵の有無にかかわらず成功や失敗にかかわらず最良の自己を目指すことであり、
同一の自己は同一の状態を繰り返す。即ち新しい自己が造り成される以上は新しい運命を獲得することは出来ない。
努力は即ち生の意義である。
背筋を正してくれる定期的に読み返したいそんな本でした。

アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?

いわゆるフェミニズム経済学の本。アダム・スミスへのアンチテーゼ。
歴史書を読むと思うのは、書いたのも作ったのも男性である。ということ。

経済格差から人口問題、環境問題、高齢化社会における介護労働者の不足まで、あらゆる問題にフェミニズムが深く関わっている。

本文に出てくる "経済学は「愛の節約」を研究する学問である。" という一文は言い得て妙。

日本興業銀行

本書は1巻から5巻の大作ですが、ベンチャースピリット溢れる「産業とともに歩む」興銀の波瀾万丈なドラマと、
そして何よりも戦後全てを失った国ニホンを死物狂いで一から立て直そうと粉骨砕身する当時の必死さが手に取るように伝わる本でした。
当時当たり前だった担保主義金融から事業主義金融へと事業をデューデリしリスクを取るスタイルは今のVCそのもの。
「担保なんてどうでもいい。事業は人なり。誰が経営するかということが一番大事である。」という文章が印象的です。
また、興銀の凄さは産業を創るだけに留まらず、人材輩出企業となった点です。
興銀卒の興銀マフィアが日本経済と政治を牽引し日本の礎を築きました。
次は富士銀行も研究したくなりました。

わたしを離さないで

記憶について考えさせられた本。
カズオ・イシグロさんの名著。映画にもなっている。
彼の作品は常に「記憶」がテーマとなっており、「記憶は死に対する一部の勝利である」と言っている。
物理的に死を迎えても、他者にあるその人の記憶が同時に消える訳ではなく、他者に残り続ける。
事実、僕の記憶の一部に物理的にはこの世に存在しない人の記憶はあるし、今でも影響し続けている。これは確かに一部の勝利である。
生きることとは、良い記憶をし、良い記憶を残す。記憶の遺伝なんだと思った。
そんな記憶とは何なのか? 生きるとは何なのか? を考えさせられた本でした。

ユーモアは最強の武器である

生成AIの勃興で、人間性とは何かに興味があって手に取った本。
本書は166カ国、150万人以上を対象に大真面目に人間のユーモアを研究した本です。
ユーモアとはまさに人間的知的行動であり、今最もリーダーに求められている能力でもあるとか。

本書中に世界の政治家や経営者のユーモアなストーリーが沢山紹介されています。ウォーレン・バフェットも孫正義もブッシュ大統領も偉大なリーダーはみなユーモア満載です。

最後の講義

「動的平衡」に関する本。
あー、もうむちゃくちゃ面白いです。

仏陀はこれを2500年前に"諸行無常"といい、宮沢賢治は春と修羅で"有機交流電燈"といい、黒田官兵衛は水五訓で"水の如く"と言った。

表現は違えど、哲学者も、文学者も、科学者も、皆同じような真理に辿り着くんだなーと思いました。

「カッコいい」とは何か

カッコいいとは何かについてタテ・ヨコ・ナナメいろんなアングルから500ページに渡って分析している本です。
カッコよさとは自由意志であり、分人主義である。
個人的には本書に出てくる岩倉具視についてのカッコよさが興味深かったです。
伊藤博文も大久保利通も洋服を来て海外視察に行くなか彼だけ和服を着ていた、その訳とは? 真のカッコよさとは。

子どもは40000回質問する

内容も勿論素晴らしいのですが、普段読みづらさを感じる翻訳書にしては、翻訳のクオリティーと内容の構成に深く感動しました。

読み進めていくと少しづつ本の本質に触れていく展開は最高に愉しかったです。
ちなみに翻訳者は須川綾子さん

面白かったのは、a) 素早く習得することと b) 深く理解すること は全くことなる学習である。ということ。

つまりa) だから b) が出来る訳では全くない。逆も然り。

また、好奇心が知識を生み出すのではなく、知識が好奇心を生んでおり一定程度の知識の詰め込みが大事である。

言語の本質

好奇心をくすぐる最高に面白い本だった。
生成AIの登場により自然言語処理に興味を持って手に取った本。
本書は「言語の本質はオノマトペである」と説いている。
認知科学では、「記号接地問題」という未解決の問題があるらしい。
これは何かというと、新しい記号は新しい記号では学べない。
つまり、中国語を学ぶのに中国語の辞書だけでは一生学ぶことが出来ないということ。
では子供はどうやって学んでいるのか? これが本書の問いであり、それに対する解がオノマトペである。
オノマトペは「キラキラ」とか「ゴロゴロ」など自然界の感覚情報を音で表現する言葉。
2020年インスタ流行語大賞が「ぴえん」だったらしくこれも立派なオノマトペである笑
オノマトペという身体性のある音や意味を通して人は新しい言語を学んでいるらしい。
言語は何か、考えさせられる本でした。

地政学が最強の教養である

世界は経済力だけでなく地理や歴史に左右され絶妙な均衡状態を保っていることが良くわかる本。
米国が800ほどの軍事基地を世界中でばらまいていること、その中でも沖縄基地が世界一大きいこと、深海の重要性、ロシアの国家運営など。
地政学の思考法の6つのポイントなどは学びが多かった。

最後に

2023年は過去10年で最も本を読まない年でした。
2024年はもっと読書を楽しめるよう新しい取り組みをしたいと思います。

過去のベスト10冊は以下


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