郵便局ホームページ上での愛の軌跡


※本記事は2016年7月11日に、私の前ブログ「やまじゅんぶーろぐ」に掲載した記事に、かなり大幅に加筆·修正を加えたものです。



ちょっとみなさん、郵便局のホームページって見た事あります?

私ヤマシタ、仕事柄郵便局のホームページを見ることが多いんだけどね。先日ちょーっと暇だったもんで(仕事中)、じっくりと郵便局のホームページを見てみたの(仕事中)。

そしたら、【お手紙文例集】ってのがあったのよ。

昨今お手紙なんて書かないじゃない。みんなLINEとかじゃない。

だから「拝啓」とか「敬具」とかさ、使い方みんな知らないでしょ?私もよくわかんないけど。

この【お手紙文例集】には、ビジネスで使えるものから冠婚葬祭、季節のあいさつ、プライベートで使うための文例がずらっと300以上のあるのね。

なかには【見舞い】【招待】とか、【相談】【縁談】【恋愛】なんていうのもあってね。まぁよくできてるなぁと。さすが郵便屋さんだなぁと思いながらね、じっくり読んでたの(仕事中)。


でね、年頃の乙女であるわたくし(執筆当時28歳)、【恋愛】という言葉には敏感なので、【恋愛】のカテゴリを開いてみたらさ、ちょっとしたドラマがあったので、文例を一部引用して、

「A男とB子の愛の軌跡」

こちらをご紹介しようかと思って。

ただマジで長文なので(約3700文字、原稿用紙約9枚分)覚悟して読んでね☆


物語は、A男がB子をデートに誘うところから始まるんだけど。

『ー前略ー実は、〇月〇日夜〇時から、〇〇〇〇ホールで開かれるコンサートのチケットが2枚、手に入りました。ー中略ー御一緒できれば本当にうれしいです。御都合はいかがでしょうか。ー後略ー』


なんとまぁ奥ゆかしい!

ちなみにこれ、「バッハのオルガン曲」のコンサートなんだってさ。誰か誘われたことある?クラシックのコンサート。デートで。手紙で。ないよね?


で、それに対するB子の返事がこちら。

『ー前略ー思いがけないお誘いに心躍る思いです。もちろん、ぜひ御一緒させてください。ー中略ー今からどんな服を着ていこうかなと鏡の前であれこれ試しては楽しんでいます。ー後略ー』

ってね。もうデートに着ていく服ウキウキで選んでるのよB子。かわいくない?


で、このデートをきっかけにふたり付き合い出すんだけど、まぁ何年か付き合ってるうちにね、それぞれ結婚とか意識するじゃん。

まぁでもなかなかスムーズにはいかなかったみたいで、A男、いろいろ悩んじゃったみたいで、多分大学の先輩かなんかに相談するのよ、B子との関係について。もちろん手紙で。

『ー前略ー私たちはお互い仕事が忙しく、デートもままならない状況です。ー中略ーさらに突然、私に転勤の辞令が下ってしまい、ー中略ー私たちは将来結構するつもりで交際してきました。遠距離交際があまり長くならないうちに結婚して一緒に暮らしたいと思うのですが、彼女が一生懸命に取り組んでいる仕事のことを考えると「仕事を辞めて、大阪へ来てほしい」とは言い出しかねるのです。ー後略ー』

あーなるほどね。まぁ昨今女性も仕事を持ってて当たり前だからね。結婚はしたいけど仕事もしたい、遠距離つらたんってことなのね。うんうん、あるよねそういうこと。

で、その先輩からの返事が、こちら。


『ー前略ー私の転勤を機にプロポーズしたわけですが、〇〇にも真剣に取り組んでいる仕事があって、すぐにOKの返事をもらうことはできませんでした。しかし、改めて〇〇に聞いてみたところ、私が思い切ってプロポーズしてこと、〇〇の事情を尊重したことが、とてもうれしかったそうです。ー中略ー**君と●●さんの気持ちさえしっかりしていれば、時間も距離もどうにかなるものです。ー後略ー』

先輩、ほんのりのろけ差し込んでくるよね。まぁそれはいいとして、結局「気持ちさえしっかりしてれば大丈夫!」って、精神論かよってね。いやまぁそれ以外に言いようがないんだろうけど。


でまぁその後、紆余曲折あったんだろうけど、なんとかプロポーズまで持ってくことができて、もちろん手紙でプロポーズしようとね、A男決心したみたいで。

でもプロポーズといえばもう一世一代の大舞台ですよ。清水の舞台から紐なしバンジーキメるぐらいの緊張なんでしょ?知らんけど。

さすがのA男もビビっちゃって、プロポーズについてどうしたらいいか、お友達かなんかに相談してるみたい。もちろんこれも手紙でね。

『ー前略ーやはりTVドラマのように、婚約指輪を用意して話を切り出すものなのですか。しかしせっかく用意した指輪が彼女の好みのデザインでなかったら困るので、一緒に指輪を買いに行ったほうがよいのではとも思うのです。ー中略ー**君はどんな風に奥様にプロポーズしたのですか?どうか教えてください。ー後略ー』

人のプロポーズ話を手紙で聴く男、A男。ちょっと女々しいけど、A男はA男なりにB子のことちゃんと考えてるんだよね。いい男じゃん。


で、まぁやっぱりさ、この2人といえば手紙のやり取りをしてきたじゃない、ずっと。古風なデートのお誘いに始まりね。そりゃあやっぱり、プロポーズもさ、手紙でね、するわけよ。


『ー前略ー君といっしょにいる時間はいつもあっという間で、この〇年間はとても充実していました。僕としては、この時間を一生に延長したいと思っています。つまり、結構してほしいのです。ー後略ー』

この純文学のような言い回しよ!『つまり、結婚してほしいのです』って、太宰の小説とかに一説出てきそうじゃない?でもシャイなA男らしくて悪くないよね?

プロポーズの手紙を受け取ったB子、まぁ返事するよね。これももちろん手紙で。


『ー前略ー喜んで〇〇さんの申し出をお受けします。「結婚しよう」ときう〇〇さんのプロポーズをずっと待っていました。ー中略ーさて、披露宴ではどんなドレスを着ようかな。ドレス選びは〇〇さんも手伝ってくださいね。ー後略ー』

B子、ウッキウキである。それにしてもB子、服のことしか考えてねぇな。


まぁともかく、A男とB子の間での結婚に対する意思は確認できて、幸せの絶頂ですよ。

その後は、上司かなんかに仲人のお願いをしたり、披露宴の招待状出したり、結婚しましたのお知らせ送ったり、結婚祝いのお礼状出したりね。幸せな日々を過ごしてたんだって。赤ちゃんが生まれたり、家建てたりしてね。

そういうのも全部【お手紙文例集】に載ってるのよ。とある男女の恋愛のスタートからゴールまでを【お手紙文例集】として掲載する郵便局、すごくない?マジ文豪。


でもね、A男とB子の愛の軌跡はここでは終わらないのよ。

A男とB子、なんかすれ違いがあったのかな?うまくいかなくなっちゃったみたいで。B子、相手は誰かわかんないけど、ある相談をしてるのよ、手紙で。


『ー前略ー実は少々精神的にまいっております。今、夫との離婚話が進んでいるのです。ー中略ー目下子どもの親権をめぐって争っております。私の代理人である弁護士さんは、〇人の子を私のもとにおくには経済的な裏付けが必要だと申されています。ー中略ー何か具体的なアドバイスをいただければありがたいと存じます。ー後略ー』


ねー。あんなにラブラブだったふたりが、親権争いってもう結構具体的に話進んでんじゃん。

「プロポーズってどうしたらいい?」ってわざわざ人に聞くような女々しいA男に嫌気がさしたのか、

はたまた服大好きB子の浪費で家計が崩壊したのか、わかんないけど。


この2人どうなっちゃうんだろうってめっちゃ気にならない?だって2人の交際前から追ってんだよウチら。デートに誘うところから応援してんだよ?ドラマでいったら次週最終回2時間スペシャルじゃん?

でもそこはさすが郵便局。こんな中途半端なところではA男とB子の愛の軌跡を終わらせない。B子、離婚の相談をした相手に結果どうなったっていう報告のお手紙を送っています。


『先日は夫婦間のいざこざで大変御心配をおかけいたしました。結婚して〇〇年、いつしか、お互い忙しくなって、語り合う時間を持てなくなっていました。ー中略ーじっくりと話し合う時間を得られたお陰で、再び新婚当時の温かな関係を取り戻すことができました。ー後略ー』


回避!!!離婚回避!!!!!

なんかね、子ども預けて2人で旅行したんだって、A男とB子。2泊3日。普通親権争いしてる夫婦が旅行なんか行くか?とは思うけどね。まぁ2人の仲直りの仕方がそうだったんだろうね。

で、結果またラブラブな関係に戻れたと。いやーよかったよね本当に。ドラマの最終回で言ったら、白い壁の一軒家をバックに、見つめ合い微笑むA男とB子、みたいなラストよね。「家族みんなで幸せに暮らしました。めでたしめでたし。」みたいなね。


これが郵便局のホームページ【お手紙文例集】の中にあるA男とB子の愛の軌跡、でした。

多分ほかにもストーリーありそうだし、みなさんも暇つぶしに見てみては?

銀婚式とか金婚式のお祝いのお手紙文例もあるから、おばあちゃんとかに送ったら喜んでくれそうだよね。そんでまたそこにドラマがありそうだよねぇ〜!

もしドラマを見つけたらぜひ教えてください。


それでは!

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