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【ネタ台本の感想】吉村にわとりさん

どうも、センサールマンの山﨑仕事人(今日カレーとクリームシチューを食べました)です。

◎コラボ相手登場!の巻

以前募集した『ネタ台本を書いてもらって、それを僕がダメ出し・手直しする』というnoteコラボに名乗り出てくださった方が現れました!(第一号!フゥ♪)

お相手は、吉村にわとり [脚本/音声編集]さんです。
まずは吉村さんの記事(ネタ台本)をお読みください。

まさかの初っ端から僕の得意ではないジャンル(コントだしオシャレだし)だったので心の出端をくじかれました(笑)。
何故か勝手に漫才の台本が来るものだと思い込んでいた僕を誰か殴ってください。
しかしまぁそんな言い訳をしていても仕方がないので僕なりに頑張ってダメ出しさせていただきます。
※今更ながら「ダメ出し」も「手直し」も偉そうすぎるので「感想」くらいにしておくべきでしたね(タイトルだけ直した!笑)。

◎キャラや設定の一貫性

まず一番気になった点なんですが、読んでてどっちがどっちのセリフかを見失うんですよね。
これはたぶんキャラに一貫性がないからじゃないかなと思います。
もっと言えば、一貫性以前に設定がないんじゃないでしょうか。
「Aはこんな人で、Bはこんな人」というのがイメージとしてあれば、必然的にそれに沿ったセリフになるし、読んでる側もいちいち「これはどっちのセリフかな?」とはならないはずです。
今の状態だと、言いたいセリフが先にあってそれをなんとなく流れの中で言わせたい方に言わせてるだけ、という感覚を受けました。
台本を書く時に割と大事になるのが“引き算”と“辻褄合わせ”でして、いくら面白いボケを思い付いても設定やキャラに沿わず辻褄が合ってなければ断腸の思いで諦めなきゃいけない時があります。
逆にどうしてもそのボケを入れたいのであれば設定やキャラの方をいじらないといけなくて、そうなるとそれに合わせて他のセリフとかも辻褄を合わせないといけないわけです。

あとこれは僕が間違ってるだけでひょっとしたら普通のことなのかもですが、段落が変わってるのに人が変わっていない時があるので余計にどっちのセリフなのか混乱しました。
A「」
B「」
B「」
みたいな。
これなら二行目と三行目のBは続けて書いた方が読みやすい気がします。

◎お客さんの目線誘導

そこまで明確ではないものの、基本的にはAがボケでBがツッコミという役割だと思うのですが、Bのセリフでツッコミとしての仕事があまりできていません。
ツッコミとしての仕事っていうのは「お客さんの代弁」であったり「ボケや設定の説明(見方の誘導)」でったり、トータルお客さん目線でのセリフです。

例えば序盤のこのくだり。

B「なんで俺がお前を殺さなきゃならんの?」
A「そりゃあ、ゾンビになっちゃうからさ、ほら」
B「ああ、それね。その腕のところ、ゾンビに噛まれたんだね。うん。そうだったね。キミはゾンビになるんだったね」

最初にAが「殺してくれ!」と叫んでいる不可解な状況に対してBが理由を尋ねてAがその理由を話す(ネタばらし)というこのネタにとってめちゃくちゃ大事な箇所です。
ここで重要なポイントがふたつあって、ひとつはもちろん“笑いを取ること”ですが、もうひとつが“説明をすること”になります。
説明というのは、『このコントの世界観の説明』であったり『AやBのキャラクターの説明』であったりで、つまりは「このネタはこういう風に見てくださいね」という誘導です。
それをこの箇所でやらなければなりません。

その点で見た時にこのセリフだとお客さんがどう捉えるというと、「あ、これはゾンビがいるという世界観のコントなんだな。」です。
しかし読み進めれば分かりますが実際はそういう世界観のコントではありません。
つまりお客さんに間違った誘導をしてしまっているわけです。
まぁ正確にはこの時点ではまだ「ゾンビがいる世界観なのかな?」くらいでしょうが、その続きのくだりで更にそっち方向に進んでしまいます。

更につづき。

A「おまっ!信じてないな!?やばいぞ!やばいことになるぞ!」
B「なによ?やばいことって?」
A「なにいってんだよ!やばいだろ!ここからゾンビがどんどん感染していってゾンビパニックだぜ!」
B「ゾンビパニックだぜ!、でいいじゃん」
A「は?」
B「別にいいのよ。ゾンビの世界になったって。なんならその方が今より楽しいかもよ?」
A「あ、お前、そっち系……?」

もう完全にゾンビが存在する世界の会話です。
更に、最後まで読めばBがツッコミ側なのにも関わらずこの時点ではBがボケで、しかもサイコパス的なキャラ設定があるんだなという見え方もしてしまいます。
少なくとも僕はこの時点で『ゾンビ映画的なシリアスな世界観の中に全く緊張感のない人間がいる温度差』を楽しむコントだと認識していました。
このあと急にBがゾンビを否定したり怖がったりという流れになるので驚きましたが(笑)。

◎都合のいい会話は不自然になる

合コンのあたりから特に顕著なのですが会話が不自然に感じます。
ネタを展開させるために都合のいいセリフを紡いでいるだけでキャッチボールになっていなくて、キツイ言い方をすれば会話として成立していません。

B「大体さ、ゾンビに噛まれたっていってるけど、そのゾンビはなに?どこで会ったわけ?」
A「昨日の合コンだな」
B「あ、俺知らなかったけど、ゾンビって合コンいくんだ」
A「そのときはまだゾンビじゃなかった」
B「あ、なるほどね。うん。その後、ゾンビになるわけだ」
B「そのゾンビはオス?メス?」
A「女の子だよ」
A「そんで、俺はその子と二人で宅飲みすることになるんだ」
B「メスのゾンビと宅飲みか」
A「ゾンビの女の子な」
B「そのときはもうメスゾンビ?」
A「まだよ。まだゾンビ前の女の子よ」
B「なんでメスを女の子に言い換えるの?そこ重要?」

セリフが展開ありきだし、特にBが会話に協力的すぎるんですよね。
例えば、「どこで会ったわけ?」というセリフがありますが、これはこの後に「合コン」という返事があることが前提になっていて、普通なら「いつ噛まれたの?」とか「どこにゾンビがいたの?」とかが自然な質問じゃないでしょうか。
「そのゾンビはオス?メス?」の質問も唐突で、これも「女の子」のボケがありきで、本来そのタイミングで出てくるような質問じゃありません。

もし僕がこのくだりを丸々活かすのなら、例えばこんな感じに書き換えます。

B「大体さ、ゾンビに噛まれたっていってるけど、どこにゾンビがいたの?」
A「昨日の合コン」
B「合コン?合コンした場所にゾンビが出たの?」
A「男3、女2、ゾンビ1」
B「参加者!?合コンのメンバー!?」
A「そう、女の子側が急遽1人来れなくなったって言って人数合わせで連れてきたのよ」
B「連れてくんなよ!それなら3対2の方がいいわ」
A「今思えばそうだけど、その時は不思議と何も感じなかったわ」
B「アホなの?女の子も、お前も、お前以外の男も。で、その合コンの最中に噛まれたの?」
A「いや、噛まれたのは二人で宅飲みしてる時」
B「お持ち帰りしてる!!嘘でしょ!?ゾンビと宅飲み!?」
A「まぁ俺も男ですから」
B「いやゾンビでしょ?」
A「でも女の子だよ?」
B「ゾンビに性別があるのを初めて知ったけど一応メスだったんだ?」
A「そう、ちゃんと女の子」
B「でもメスのゾンビだぞ」
A「女の子のゾンビな」
B「なんでメスを女の子に言い換えるの?そこ重要?」

みたいな。
だいぶ変えちゃってるし、ツッコミがツッコミツッコミしすぎてて世界観と合わないかもですが、あくまで一例なのでご勘弁です(笑)。

◎軸があると見やすい

気になるところばかりを言ってしまったので申し訳ないですが、コンセプトである『すっぴん女子をゾンビだと勘違いする』は面白いと思います。
なので個人的にはもっとそこを軸にして推してほしいなという感じでしょうか。
もっと早い段階(遅くても中盤)で『すっぴん女子』のネタばらしを済ませて、その後は実際にあった「うーうーうなってた(=低血圧)」とか「噛みつかれてた(=性癖)」みたいな屁理屈でゾンビだと言い張るみたいなのがもっと見たいです。
パッと思い付くものだと、「なんか腐ったような匂いがした(=ゲロ吐いた?)」とか「ゾンビに噛まれた俺が寝てた枕からもひどい匂いがする(=加齢臭だよ)」とか「彼女のおまたがゾンビのようにグショグショに(=下ネタだ!)」とか。

そういうバカバカしい内容の場合は淡々とした会話劇よりも大きくて濃い演技で見せるとより笑えそうです。
ただのすっぴん女子なのにAはゾンビだと信じて疑わずに本気で怖がっているっていう。
そうして散々バカバカしい展開を見せておいて、ラストが元台本通りのブラックなオチだとキュッと締まって良いかもです。
個人的な好みとしては「マジでゾンビだった」っていうオチも有りかもと思います。

この『すっぴん女子をゾンビと勘違いする』を軸にするというのはあくまでひとつの提案ですが、大事なのは軸があることです。
軸があることでストーリーが見やすくなるし、出すボケも演技プランも定まるし、逆に軸があることで裏切りを作ることもできるようになります。
まず何を見せたいのか!を明確にしましょう。

◎まとめ

全てにおいて言えるのは『見やすく・伝わりやすく』です。
繰り返しになりますが、「キャラや設定には一貫性を持たせること」「会話を自然にすること」「軸も作ること」でだいぶ伝わりやすくなるはずなので意識してみてください。
こんなもんでどうでしょか?笑

☆以下、有料記事は『このコラボが思ってたより大変だった理由とコラボの裏テーマ』みたいな内容です。

##スキs

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