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Jリーグのチーム人件費は高いのか?低いのか?

5月29日、ついにJリーグの再開日が決まりました。その2日前には、2019年度クラブ経営情報も開示されています。今回はその中からチーム人件費にスポット当てて見ていきます。

2019年度クラブ経営情報の大きなトピックは2つ

1つ目は、Jリーグ史上初の100億円クラブ(ヴィッセル神戸)が誕生したことです。神戸は2018年度も最高営業収益の96.6億円を記録していましたが、2019年度もさらに更新し114.4億円となりました。

2つ目のトピックは、鳥栖が当期純損失20.1億円を計上したことです。鳥栖は2018年度も5.8億円の赤字を計上していますが、増資を行ったことにより債務超過は回避しました。

サガン鳥栖の赤字の原因はスポンサー収入減?

鳥栖の赤字の一番大きな原因はスポンサー収入の減少と言われています。2018年度は23.0億円だったスポンサー収入は、Cygamesの撤退などにより2019年度は8.1億円となり、前年比64.8%減となっています。ただ、元から赤字体質であることには変わりなく、その原因の1つには「売上高に占めるチーム人件費の割合」が高いことも挙げられます。

スポーツクラブは「売上高に占める人件費の割合」が高い

スポーツクラブでは、売上高に対する人件費の割合が高いことが特徴としてあります。海外の主要リーグでは、50~75%程度となっています。ドイツは育成型クラブが多く、優秀な選手を自ら輩出することによって費用を抑えています。

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日本はというと、2006年以降から44%~52%あたりを推移しています(下図の青線グラフ)。

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その中において、鳥栖の売上高に占める人件費の割合は、2018年度は63%(2位/18クラブ中)、2019年度は99%(1位/18クラブ中)となっており、J1クラブの中でも常に高い状態にありました。これはチーム人件費に対して、売上をうまく上げれていない証拠であり、2年連続の赤字となった原因の1つとしても挙げられます。

Jリーグの「売上高に占める人件費の割合」は、海外主要リーグと比較すると低い

先ほどのグラフから、Jリーグは海外の主要リーグよりも売上高に占める人件費の割合が低いことがわかりました。売上におけるチーム人件費への依存度が低く、Jリーグが力を入れてきた地域密着や選手育成の結果が出ている証拠だと思います。

各Jリーグクラブは、最近数多くの若手有望選手を海外に輩出しています。その結果、日本代表選手の大半が海外組になっており、Jリーグの魅力を維持しつつ、日本サッカーのレベルを底上げすることの難しさにも直面しています。一方で、ヴィッセル神戸のように海外のスター選手を獲得し、過去最高収益をたたき出すクラブも出てきています。

当たり前ですがJリーグには昇降格があり、その結果は売上にも直接影響します。チームを強くするために、良い選手や監督を獲得するのか、長期的に見て育成を強化するのか。ビジネスでも同じですが、不確実性が非常に高い環境であり、群雄割拠のJリーグでは特にチーム運営が難しいのではないかと思います。

長い中断期間がようやく明けて、6月下旬からJリーグがまた返ってきます。Jリーグは大きな変革期にありますが、ニューノーマルにおける新しいJリーグと今後の成長を楽しみにしています。

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