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知識や技術のバックアップを取り、伝えることの大切さ。

こんにちは。山写(@Photograph_mt)です。

登山と写真で仕事をしている人。の中の人です。

私の職業は写真家と研究者を足して2で割ったようなもので、アートとアカデミックの両方に属しているという少し変わった環境です。

そんな仕事をしている中で感じるようになったのが自分の技術や知識を定期的にバックアップし、多くの人と共有することの重要性です。

今回はそんなお話です。

自分は「特別」でいいのか

仕事でも趣味でも何か1つのことに取り組むと、それを取り囲むあらゆる知識や技術を習得し自ずと個人のオリジナルな技術に進化します。

「守破離」の離の世界とも言えるかもしれませんね。

写真家という職業ということもあり私は承認欲求や顕示欲は人一倍ある自覚があります。そんな自分にとって「自分にしかできない仕事」というのは非常に甘美です。

希少性があることは間違いなく仕事に対する報酬も高く、多くの人に重宝される側面があることは間違いありません。

けれどもその一方で思うのです、「私がいなくなったらどうなるんだろう」とも。

チームプレイの仕事ではこのような状況を「属人化」といい業務上のリスクとして考えます。その人しかできない技術で仕事をしていると、その人に万が一の何かが起きた時に業務が止まり多くの人に迷惑をかけることになります。

つまり自分が「特別」であることは他者からするとリスクということになります。

私達は過去の人たちが築いた礎の上に立っている

研究したり論文を書いたりしていると、あらゆることが昔の人たちが築き上げてきたことを基礎に考えられていることがわかります。

それは文化やテクノロジーも同じ。例えば物理学も少し前まではリンゴが木から地面に落ちる理由はなんだろう?ということを研究していて、答えに至り、それを前提として新しい発見を繰り返し、という流れで進歩してきました。

写真も同じです。端的に三分割法や日の丸構図、遠近技法などで表現されますが、過去の人たちが研究し理論を構築したものです。

つまり理論が引き継がれていっているんです。当時では革新的な発見であっても長い歴史から見ると技術が1歩前に進んだけ。それを繰り返してきて今があるのです。

知識や技術というものは古代から連綿と受け継がれてきたもので決して1人が完成させるものではなく、これからも進化し続けるものだと思っています。

そう考えると自分が「特別」であり、知識技術を独占するという考えは「次の時代」の視点で考えると進化を停滞させてしまうように思えてきます。

よって技術や技術は多くの人に共有し、伝えていくべきという考えに至ります。

若い人たちに引き継いでもらってこその知識

自分1人がどれだけ大きな成果を上げても歴史から見れば1歩前に前進しただけであり、その成果を独占して伝えることがなければ消失します。

なので個人として全力で生き抜くことは前提としながらも、それを誰かに伝え、引き継いでもらうという考え方がとても大事だと思うのです。

過去の人たちが築き上げたものを自分の代で1歩前に進めることができたのなら、それを若い人に継承しさらなる1歩を進める。

そうすれば自分では至れない世界にいずれ誰かが辿り着くことができます。

人は歳を取れば肉体的にも衰えていきますし、新しい概念を受け入れづらくなります。アンチエイジングではないですが、生涯現役という意気込みで自身を鼓舞することは考え方の1つとして大事だとも思います。

それとは別に自身を客観的に判断して自分では叶わないことを次代に託すために礎となることも考えなければ、自分が愛したものや誇りに思うものが先に進むことができなくなります。

知識と技術のバックアップと言語化

特別であることはリスクが高い、技術や知識は若い人に継承して欲しい。そんな考えから定期的に自分の仕事の技術や知識などをドキュメントにして共有するようにしています。

そのときに注意していることは可能な限り理論を構築して体系的にすること。そこに精神性が入ることは良しとしていません。

例えば「美しい」「カッコイイ」そういった感覚的なものがあります。ではそれが「なぜそうなのか」ということを掘り下げなければ人に伝えることはできません。

「私が美しいと思ったからこれは美しい」「私はこれは嫌いだ。なんかイヤな感じがする」というようなことは日常ではよくあります。

けれどもそれはその人の主観であり、他者からの信頼または忖度の上で成り立つもので文面にするといかに暴論であるかもわかります。つまり自分でも理解できていない可能性があり、そのロジックを人に伝えることはできないのだと。

基礎の技術の積み重ねの上にある発見は非常に感覚的なものです。しかしそれをそのまま放置すると自身が「特別」になり、結果その技術が先に進むことができなくなります。

それを防ぐためにもしっかりと分析し新しい発見は理論として残しています。それが定期的なバックアップです。

大げさなように聞こえるかもしれませんが、黄金比や白銀比、絵画技法や色彩学なども「人がなぜ美しいと思うのか」を追求し、研究し、進化してきた技術です。

理論の果てにあるのが感性というお話はこちらで掘り下げています。

無自覚でやっていましたが定期的に行っている山岳写真の技術講習会もその1つですね。あまり頻繁にはできませんが無料で行っているので見つけたらご参加ください。

自分の大事なことを多くの人に伝えよう

実は私がこのように考えるようになったのはつい最近です。きっかけは学生を相手に授業をしたり、地方創生事業のドキュメントを行政に提出したりしたことでした。人の将来のことを真面目に考える立場になったということもあるかもしれません。

自分の培ってきた技術や知識、経験が多くの人の役に立つこともありますし、それを言語化して残すことで理論を整理し自身のスキルアップにも繋がります。

また誇りを持って取り組んでいるものをどうすればより正確に伝わるのか、理解してもらえるのか。それを考えるのも楽しいものです。

人生は短いもので成し遂げられること、できないことは必ずあります。よって自分で達成すること、次代に託すこと、その両面から考えるようになりました。

知識や情報を独占したまま小さくまとまるのではなく、自身の知識・技術・経験のバックアップを取り次代に繋げてみてはいかがでしょうか。

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