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【Vol.5】相手の人柄を信じても、仕事の進め方は最後まで疑う

前回は商談フェーズアップを確実に行っていくために欠かせない「組織図の把握」に関して紹介しました。


今回は初訪後や、自分の手からボールが離れた後の追客、フォローに関して掘り下げていきたいと思います。


「逆転失注」の経験

相手任せにしない、自分で商談をハンドリングする



商談後。相手は好感触。
「あとは私が社内共有するので大丈夫です」
「社長に伝えておきます、たぶん大丈夫です」
「特に反対は出ないと思います」

という先方の好意的、かつ強気な発言からの逆転失注という苦い苦い経験をしたことありませんか?



・・・私はあります!
(それも一度だけではありません)


今回のタイトル「相手の人柄を信じても、仕事の進め方は最後まで疑う」
これは数々の苦い経験から教訓になっています。




自身の提案に対して相手がどんなに好感触を示したとしても、その商談中の60分〜90分が相手の全てではありません。


相手を否定できない朗らかな人なだけで、内心はそこまで提案を良いとは思っていないかも知れない。

たまたま機嫌が良かっただけかも知れない。

自分自身に置き換えてみるとわかりやすいと思いますが
仕事でうまくいかないことがあったとき
時間に追われて余裕が無いとき
逆にとても良いことがあったとき

同じ事象に対しても自分のコンディションによって態度や対応は変わります。



「温度感」と言う曖昧な判断軸ではなく、ファクトで判断する。

何より絶対に相手任せにしない。
限られた時間で確実にフェーズアップするために、工夫していたことがいくつかあります。




電話で追客しない

商談の追客において、私は基本的に電話を使用しません。
理由はシンプルで、自分の時間がないから(苦笑)

8時45分に保育園に送り、9時から始業。
保育園お迎えの18時までの9時間、とある1日を例に挙げると

・自分の商談・メンバー同席(90分)×4件
・メンバーの案件壁打ち(30分)×3件
・社内MTG(30分)×2件

これで8.5時間。
電話対応ができる時間は30分、この限られた時間で多忙な相手のタイミングが合うことの方が稀です。

私自身のせっかちな性格上、社用携帯に着信だけ入っていると、要件は何?とソワソワします。
対応の優先順位づけもできないので、とにかく電話が嫌いです(苦笑)
※商談の事前準備としての電話は有用

そして顧客は私以上に多忙です。

電話以外でも伝えることができる内容を何度も着信を残すことは、相手にとっても望ましくないだろう、とも考えています。
(商談追客の「その後ご検討いかがですか?」であれば尚更・・)


電話が入れ違ったり繋がらないことによる小さなストレスを積み重ねたくないという、精神衛生の担保のためでもあります。



商談中に次回日程を設定

商談後電話しない=追客しない、ではありません。
初訪、再訪のその都度、商談中に次回日程(NextAction)を設定します。

わりとサラッと自然に会話して、決めていきます。


会話例
「本日のお話踏まえて、私からはどのくらい期間を空けてご連絡差し上げるのが良いですか。
〇〇さんのご検討のスピードに合わせて一緒に進めていきたいと思います。」


(具体的な時期を回答頂けたら)
「では**日ごろに本日よりお時間短くて結構ですので、またZoomでお約束頂きご検討の上での不明点やご質問などにお答えできればと思います。

午前、お昼、夕方、いずれの時間帯が都合いいですか?」


ここで大切なのは、相手が時期を指定した際に、なぜその時期なのかの根拠を確認します。

上申のための社内会議がある、と言われた場合は参加者、所要時間、必要資料などを追加で確認し、上申資料作成フォローに移ります。

社内会議などではなく、なんとなく、のような場合は相手をニーズアップしきれていないかも知れないので、そこを掘り下げます。



商談が停滞するケース

商談の停滞はなぜ起こるのでしょうか。

  1. 社内上申したが、内容が十分でない

  2. 社内上申のための準備に時間をかけることができていない

  3. 商談者の推進力・社内権限が大きくない

  4. そもそも、商談者をニーズアップしきれていない

上記などが考えられるため、一つずつ対策します。



座右の銘は「神は細部に宿る」

「先回り」と「ホスピタリティ」の徹底


追客方法の如何の前に、初訪でのニーズアップが勝負、相手にとって価値のある提案ができるかにこだわります。
(この辺りはまだ別記事で整理予定)

その上で、停滞しうるパターンをもう少し細かく分解し、対策します。



「1.社内上申したが、内容が十分でない」
(A)先方が資料を作成した
→可能であれば資料を共有頂き、こちらで再作成、もしくはステイクホルダーの同席依頼

(B)口頭のみで上申した
→上申資料草案を作成、もしくはステイクホルダーの同席依頼



「2.社内上申のための準備に時間をかけることができていない」
(A)上申の会議日程が決まっていおり期日が迫っている
→上申資料草案を作成

(B)会議日程まで時間の余裕がある、もしくは日程未定・調整中
→会議前に再度、上申資料作成のための打合せ依頼


「3.商談者の推進力・社内権限が大きくない」

(A)商談者は導入意志あり
→上申資料草案を作成、もしくはステイクホルダーの同席依頼

(B)なし
→ 「4.」と同義とみなす


「4.そもそも、商談者をニーズアップしきれていない」
(A)アプローチ先として適切
→失注にするか継続するか要判断、失注の場合は再度アプローチの可否や理由把握

(B)適切ではないかもしれない
→組織図もとに当たり先変える、再度KF(キーマンファインド)


お気づきかも知れませんが、細かく分解したように見せかけて打ち手は意外とシンプル。
基本的には上申資料草案を作成する、です。


上申資料(稟議書)草案を作成する


これは実は前職より遥か昔…2社目の会社の時から、行っていました。
「稟議書必要なんだけど、まとめるの大変そうだな」と当時商談中の推進者の方がポツリと呟きました。

そこで、稟議書のフォーマット頂ければ私の方で草案作成しますよ?と提案したら、助かる!とすごく喜ばれました。

結果、リードタイム短く受注に至り、これは双方にとって良い方法なのかも知れないと今でも継続しています。

基本的にテキストのみで、形式はWordかExcel、A4サイズ1枚にまとめます。


ここでポイントは「稟議書など社内上申に特に必要ない」と言われても、作成
「実際に使うことなくても論点整理できればと思うので、よければ見てください〜」と伝え、極力その日のうちに送ります。

相手の手間を最小限にするだけではなく、要点を推進者自身にも改めて落とし込み、なるべく正確に伝えて頂くことにも繋がります。


「打ち合わせの時のスライド(パワポ)資料で十分だよ」と言われても、補足資料としてテキストのみで必ず送ります。

上申の場が定期の役員会議の際は、本件の持ち時間は5分〜10分のみというケースも珍しくありません。

(対峙している業界にもよりますが、前職の顧客においては)
社長稟議や役員会議の際、端的な書類必要なケースが多い印象でした。


パワポやスライド形式の資料の場合はページ数や視覚情報が多く要点が分散してしまう懸念もあり、このテキストのみ1枚で、は鉄則です。




「サービス概要」 ※一言でいうと何なのか
「当社における導入メリット」 ※多くても3〜4項目におさめる
「選定理由」   ※他社の話聞いて比較検討したの?を事前に防ぐ
「契約期間」
「金額」

「添付資料に関して」※スライドなどの商談時の資料は添付資料として

項目はこんなイメージです。

「当社における導入メリット」が肝なので商談時にヒアリングで本質課題を引き出して、それをまとめます。
他社向けに作成したもののを、安易に使い回すことはNGです。

また、作成時に特に意識していたことは商談中に得た相手が口にしたキーワードを散りばめる、です。



メールも「1to1」のコミュニケーションを心がける


上申資料の草案のみならず商談資料などメールで送る時も(細か過ぎる)マイルールがいくつかありました。

一つは
商談後の御礼メールは基本テンプレ化しない
、です。

添付資料のみならず、商談の概要や相手の関心所が自社のproductでどのように解決できるかを簡潔に文面にも記載。
先方が商談中に関心を示した内容に近い導入事例なども送付。


容量が大きな資料や開封確認を行いたい資料に関しては、会社指定のファイル共有サービスを活用。


パワポやPDFなど容量が大きなデータも、もちろん送付できるのですが、資料は必ずPDF形式に変換→さらに軽量化していました。

数えきれないほどお世話になったlove PDF
https://www.ilovepdf.com/ja

送付できても容量が大きいと開く時にほんの僅かですが、時間を要します。
でもこの僅か、も積み重ねるとストレスですよね。

アプリの接続遅いとイライラしてしまうほどせっかちな私は、相手がストレスを感じる動線を極力無くすことに尽力していました(苦笑)


「商談相手」を「推進者」に、さらに「強力な推進者」へ

ツール導入の意思決定は、相手にとって容易ではない

よほどシステム導入に積極的な企業でない限り、新たにツールを導入することのハードルは決して低くありません。

そのためには、相手と目線を合わせ寄り添う、伴走するスタンスを持つことが大切です。


商談相手が「これは良いね」と一緒に社内上申を進めることになると、それはもう「推進者」になって頂いた証です。

「推進者」と「強力な推進者」と言う表現を用いましたが
「推進者」は上申してくださる人
「強力な推進者」は上申してネックが出ても絶対に諦めずに、何度でも社内説得を続けてくださる人、です。


そのためには、まずは私自身が「強力なビジネスパートナー」として信頼されるよう、全力で顧客に向き合うようにしています!


今回は商談相手が決裁権を持っていない場合の追客やフォローについて紹介しました。
次回は、決裁者商談におけるポイントに関してまとめたいと思います。

ここまで目を通していただき、ありがとうございました!



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