「ユリガッシーン!!」第1話

あらすじ
ギタリストの春川千里は街でギターを弾いていると上空から五十嵐むつみが落ちてくる。だがそれは地球から尊さを奪って人類を奴隷化しようとするシャイクズ怪人の仕業であった。二人は驚異的な力を持つ怪人に対抗するために無理矢理キスして変身し、戦士ユリガッシーンとなり、対峙するのだった。だがそのキスはお互いファーストキスだった。
何とか撃退に成功するがファーストキスを奪われた千里はむつみを許せないでいた。が、再び怪人が現れる。
現場へ急行する2人。怪人が暴れている。ピンチに陥り、心を通わせ、真のユリガッシーンへと変身を遂げ、怪人を撃破するのであった。
そして2人の運命の歯車は狂いだすのだった。

本編
〇ファミレス(深夜)
   春川千里(23)と女友人A、Bが座っている。千里と友人A、B対になる
   よう座っている。千里、いきなり立ち上がる。
千里「えー!」
女友人A「私達結婚する事になったから」
千里「結婚ってどういう事よ!女の子同士じゃない!おかしいよ!」
女友人B「千里ってお堅いのね、今どき百合婚(女の子同士が結婚する事)なん
 て当たり前よ」
千里「私達の夢は!アリーナは!武道館でライブするんじゃないの!」
女友人A「結婚して家庭に入って落ち着きたいから無理ね、今日でバンドは
 解散。じゃ」
千里「え?ちょっと!私たちの絆は!友情は!繋がりは~!」
イチャイチャしながらファミレスを後にする女友人A、B。取り残される千里。
 
〇寂れた商店街
T「翌日」
   千里がストリートでギターを弾いている。
千里「私ソロで解散ライブじゃーい!」
   ギターをかき鳴らす千里。五十嵐むつみ(27)が通りがかる。
むつみ「いいギターね」
千里「お姉さん、私のギターの価値が分かるの?」
むつみ「昔、ちょっとね」
千里「私今めちゃくちゃむしゃくしゃしてるからなんでも弾くよ!」
むつみ「じゃああなたの代表曲を」
千里「任せなさーい!」
ギターを弾く千里。
×××
   むつみ、1000円を千里に渡す。
むつみ「いい演奏だったわ、ありがとう」
   立ち去るむつみ。
千里「いいお姉さんだったなぁ」
 
〇中華料理屋・店内
   千里がラーメンを食べ終わる。
   財布を確認して空だと分かる千里。
千里N「さっきの1000円スロットで負けちゃったからな~」
   ダッシュで外に出る千里。
店員の声「食い逃げだー!」
 
〇寂れた商店街
   走る千里。
店員の声「食い逃げだー!」
   通りがかるむつみ。千里を捕まえる。
千里「離せ!何するんだ!」
むつみ「離すわけないでしょ!ってあなた!」
千里「さっきのお姉さん!」
むつみ「こんなとこで何してんのよ!」
店員の声「そのまま捕まえててくれ!」
   手錠を取り出すむつみ。
千里「嘘でしょ!?」
   手錠をお互いの手にかけるむつみ。
千里「お姉さんそういう趣味の人か!」
むつみ「バカ言うな!私は刑事だ!」
   警察手帳を取り出すむつみ。女子高生2人が通りがかる。距離感が近
   い。むつみ、うっとりする。
むつみ「目の保養だわぁ」
千里「何見てるの?」
   急にキョドりだすむつみ。
千里「お姉さん、女の子同士が好きなの?」
むつみ「そ、そんな事ないわよ!清く正しく美しく!」
千里「やっぱり好きじゃない!あんたみたいな奴のせいで私の人生はめちゃ
 くちゃだ!」
むつみ「はぁ?」
千里「私のアリーナを!ドームツアーを!たまねぎを返せ!」
むつみ「あんた何言ってるのよ!」
   タカとトラが半分ずつくっ付いた怪人、シマタカが上空から次元の裂
   け目から現れる。横には羽のついたタイヤ、トビウオとタイヤの合成
   獣トビタイヤが入ってくる。
トビタイヤ「頑張ってこいよ」
シマタカ「ああ、この星は俺たちの物だ」
   撤退するトビタイヤ。
シマタカ「ふん!」
   シマタカ、炎を吐いて建物ひとつを爆発させる。
千里「何あれ……」
シマタカ「我の名はシマタカ……」
むつみ「兎に角逃げるわよ!」
千里「圧倒的同意!」
   手錠をつけたまま逃げ出す2人。
千里「これ外してよ!」
むつみ「鍵落とした!」
千里「このおバカさん!」
   その光景を見ているシマタカ。
シマタカ「仲良いな、貴様ら。一緒にあの世に送ってやる」
千里・むつみ「仲良くないわい!」
シマタカ「否定するとこそこなのか?」
   コケるむつみ、つられてこける千里。
千里「お姉さん!」
むつみ「くっ!」
千里「こんな所で死ぬなんて、それも女好きの堅物となんて!」
むつみ「私だってあんたなんかと!」
シマタカ「死にな!」
   炎を吐いて2人を攻撃するシマタカ。
   妖精のダップルが上空から光を発して現れ、2人をガードする。
むつみ「助かった?」
千里「小さい?妖精?」
ダップル「2人ともユリガッシーンに変身して戦うっプル!」
千里・むつみ「ユリガッシーン?」
ダップル「尊くキスして伝説の戦士ユリガッシーンになるっプル」
千里・むつみ「なんでこんなのとキスしないといけないのよ!」
   睨み合う2人。お互いの胸が光り出す。
ダップル「お互いお似合いっプル!キスするップル!その証拠に胸が光りだ 
 したっプル!ユリガッシーン変身の合図っプル!」
   イライラするダップル。
ダップル「ええい!ウザったい!」
千里「ちょっとまだ準備が~!私、初めt……」
   むつみの頭を押して無理やりキスさせるダップル。
   唇が重なり合う2人。だが変身できない。
むつみ「もう一度!」
   無理やり唇が重なりあい、キスする二人。
千里N「キスってこんなのなんだ……」
千里「!」
   むつみ、千里に舌を入れる。
千里「~~~~~~!」
   唇を離すむつみ。
むつみ「これで変身できて!」
   千里、むつみをビンタする。
千里「最っ低!ここまでやっていいなんて言ってない!」
むつみ「しょうがないでしょ!百合キスってこういうもんなんだから!」
   千里、涙目。
   瞬間、両者が大きく光り始める。
シマタカ「なんだ?なんだと言うのだ?」
   千里とむつみの衣装がユリガッシーンに切り替わる。灰色の衣装であ
   る。
ダップル「なったっプル!伝説の戦士ユリガッシーンになったっプル最強のコンビの誕生っプル」
むつみ「これがユリガッシーン?というか何それ?」
   衣装をじろじろ見るむつみ。
むつみ「ちょっと恥ずかしい……」
千里「これがユリガッシーン。私の代償」
   唇を拭う千里。
千里「私、お姉さんの事許さないから」
シマタカ「ええい!何をごちゃごちゃと!」
   シマタカ、攻撃するが避ける千里とむつみ。
   千里とむつみが攻撃を仕掛ける。
むつみ「せい!」
   むつみ、キックをするがびくともしない。
   千里も攻撃を仕掛けるが、びくともしない。
シマタカ「ふん!何かと期待させてくれれ
 ばこんなものか!」
   シマタカ突風攻撃して、千里とむつみ衣装がボロボロになる。
千里「これになればあいつ倒せるんじゃないの?一体どうなってるの?」
むつみ「まるでエネルギーが伝わってないような」
ダップル「もしかして……!」
千里「私の人生、ここで終わり?冗談じゃない!まだなにもやってない!こ 
 んな所で死ぬわけにはいかない!」
むつみ「もうどうしようもない……」
千里「諦めるな!」
むつみ「え?」
千里「私は諦める言葉が嫌いなの!そういうところもついでに許さない!」
むつみ「そ、そうね、まだやりようは」
むつみN「無理よ、もう」
シマタカ「(遮って)ない!貴様らはここで死ぬのだ」
   攻撃しようとするシマタカ。
千里「おりゃああああ!」
   千里がシマタカを殴る。吹っ飛ぶシマタカ。
シマタカ「何だと?」
むつみ「何が起こったの?」
千里「やっぱ諦めなければどうにかなる!」
シマタカN「一体何だと言うのだ。いきなり力が上がった?」
シマタカ「残念だが帰還命令だ。次はないと思え」
   シマタカ、去っていく。
むつみ「去っていった」
千里「生きてる~!助かった~!」
ダップル「いや~生き残ったっプル」
 握手を求めるむつみ。払いのける千里。
千里「そういうのやめてくれないかな」
むつみ「え?」
千里「やっぱりちょっと許せない」
むつみ「何が?どういう事です?」
千里「(小声で)私の初めて……」 
   千里、去ろうとするとむつみが倒れる。
千里「お姉さん!」
   ダップル、むつみのひたいを触る。
ダップル「とても熱いっプル!」
千里「うちに運ぶ」
ダップル「許さないって言ってたのに?」
千里「このまま死んだりでもしたらこう、嫌でしょ?許さないけどそこは
 別!」
   むつみをお姫様抱っこする千里。
千里「軽!骨入ってるの?」
   うっすら目を開くむつみ。
むつみN「ちゃんと謝らないと……」
   また目を閉じるむつみ。 
〇千里の部屋(夜)
   202号室の部屋。
   むつみをお姫様抱っこした千里が入ってくる。上にはダップル。
千里「帰った~!」
ダップル「お疲れ様っプル」
千里「今日は本当に疲れた~!」
ダップル「よく頑張ったっプル」
   ×××
   夜になっている。
   むつみを布団に寝かせている。
   千里、むつみの方を見る。
千里N「許さないって言ったけど言い過ぎだったかな?あんな状況だもん 
 な」
   頭を横に振る千里。
千里N「でもやっぱり許せない!」
   むつみが寝がえりを打つと警察手帳が落ちてくる。
   警察手帳を拾う千里。
千里「これのせいで私は」
   時計を見る千里。8時を指している。
千里「お、もうこんな時間か」
ダップル「どうしたっプルか?」
   ギターを取り出し、優しく弾き始める千里。
ダップル「いい音色っプル」
千里「妖精さんもこのよさ分かるんだ」
   むつみが目を覚ます。
千里「ごめん、起こさせちゃった?」
むつみ「いや、いい、優しい音色が聞こえてきたから」
千里「8時になるとギター弾かないとダメなんだ。体なまっちゃう」
むつみ「変な癖ね。まぁ優しいからいいけど」
千里「優しい音色か。嬉しいね」
   ギターを降ろし、警察手帳を返す千里。
千里「大切なものなんでしょ?それ」
むつみ「ええ、とても。あなたのギターくら
 い」
千里「命ほどってことか。結構だね」
むつみ「私にとって市民の命を守る事が人
生の全てですから」
千里「女同士がイチャイチャするのもでしょ」
むつみ「私の百合は趣味です!」
千里「ふぅん、どうだか」 
むつみ「あなたは百合に対して随分敵意を抱いてるようですがなにかあった 
 の?」
千里「友達が百合結婚したから私の夢が潰れた」
むつみ「そう」
千里「だから許せない、好きな気持ちは分かるけど。私の夢はどうなる
 の?」
むつみ「あなたが怒ってるのは同性愛じゃないでしょ」
千里「でも私は許せない。私の大切なものを奪った、百合も、あなたも」
むつみ「私?申し訳ないけど、意味が分からないわ」
千里「でもあの時ああしとかないと多分死んでたのは頭では分かってる。で
 も私にとっても大切にしたかったものだからお姉さんだって嫌々だったの
 かもしれないし」
   さらに困惑するむつみ。
千里「ごめん、私も色々ぐちゃぐちゃしててまとまらないや」
むつみ「そう、まぁいいわ。助けてくれてありがとう」
千里「あんたみたいな人間のせいで私の人生はめちゃくちゃだ」
むつみ「めちゃくちゃになったのは事実かもしれないけど私に当たらないで
 よね」
千里「何だと!」
ダップル「2人とも喧嘩は辞めるっプル!」
千里「名前も名乗ってないやつが仲裁に入るな!」
むつみ「そうよ!」
千里「へぇ。気が合うじゃん」
ダップル「僕はダップルっプル!2人の命の恩人っプル!そんなやつに向か
 ってなんて言い方っプルか!」
千里「確かに言われてみれば」
むつみ「あの時あなたがガードしてくれないと死んでたわね」
ダップル「人間は素晴らしいのになんでこうやって喧嘩するっプルか!」
千里「すいません」
むつみ「で、ダップルはどうして地球に来たの?地球の生物じゃないよ
 ね?」
ダップル「そ、それは」
   ダップルに銃口を向けるむつみ。
むつみ「私はうじうじした奴となすびが嫌いなの、さあ早く答えて!」
   たじろぐダップル。
ダップル「アイツらはシャイクズ。惑星の尊さを奪ってその住人を奴隷化す
 る組織っプル」
むつみ「確かに百合って尊いものね」
千里「おいこら。で、ユリガッシーンって何?」
ダップル「ユリガッシーンは尊さを持った二人がキスして変身することによってシャイクズと戦えるシステムっプル。僕もこれ以上は分からないっプル」
むつみ「でも何故攻撃が通用しなかったのか。ユリガッシーン?あれに変身
 すれば勝てるのでは?」
千里「そりゃ敵の方が上手だからじゃないの?ダップル?」
ダップル「まぁそれもあるとは思うっプルけどそれ以上に心を通わせないと
 勝てないっプル」
千里「心を通わせる?」
むつみ「こんなのと?」
ダップル「でも世間じゃシマタカが暴れてるっプル。良いのかなぁ」
むつみN「怪人を倒す為には仕方ないか」
千里「キスしたのは成り行きで!自然な物じゃなくて!」
むつみ「渋々だけど通わせるわよ!」
千里「うぇ?何する気?」
むつみ「年間100冊百合を嗜む私に任せない!」
千里「え?」
   見つめあう二人。
   すぐに目をそらす千里。
千里N「さっきまで気づかなかったけど結構綺麗な顔してるなぁ!吸い込ま
 れそうな瞳……」
むつみ「何してんのよ?」
千里「私あんまりこういうの向いてないや。他行ってみよう!」
むつみ「我儘ね」
千里「うるさいな」
   むつみの携帯が鳴る。むつみ、携帯を取り出す。
むつみ「はい?すぐ行きます!」
   むつみ、携帯をしまう。
むつみ「すいません、帰ります」
千里「用事?」
むつみ「あんたに言う必要ある?」
千里「嫌な言い方!」
むつみ「ここまで心通わなかった人間初めてだわ。二度と関わらないで」
   出ていくむつみ。
千里「嫌な奴!」
あかんべーする千里。
   再びギターを弾き始める千里。
ダップル「その腕さえあればプロになれそうなのに」
千里「お誘いはあったけどね」
ダップル「断ったっプル?」
千里「自分のやりたい事と違ったからかな。だから今もこうやってバイトし 
 ながらストリートでライブハウスなミュージシャンやってる」
   ふと思いつく千里。
千里「そうだ、公園に行こう」
ダップル「シマタカを探すっプルよ!」
千里「今日は良い風が吹いてるからね、後回し」
 
〇公園(夜)
   シマタカが上空を飛んでいる。
   警官隊が応戦している。が、倒れていく。
シマタカ「さっきは殺しそびれちまったからなぁ。むしゃくしゃするぜ。こ
 こらですっきりしたいもんだぜ」
   目下に隠れていた子供も襲おうとするシマタカ。
シマタカ「殺してやるぜクソガキ!」
むつみの声「逃げなさい!」
   むつみが到着し、子供を救い出すむつみ。
シマタカ「死にぞこないか!」
むつみ「今度こそ!」
   拳銃を取り出し、応戦するむつみ。
   だがシマタカには効かない。
シマタカ「少しかゆいなぁ!」
むつみ「嘘でしょ!」
   子供の捕獲に失敗し上空に戻るシマタカ。
   二人のやり取りを見つめる子供。
むつみ「早く逃げて!」
   慌てて逃げる子供。
むつみN「どうするむつみ、拳銃は効かない、体術も向こうが恐らく上。勝ち目はないぞ!」
   ふと千里の事がよぎり、ユリガッシーンの事を思い浮かべる。
むつみN「ダメよ、あいつの事なんか考えるな!」
   千里が公園周辺にやってくる。倒れている警官隊を見つける千里。
千里「人が倒れてる、寝てるのかな?」
   むつみを見つける。
千里「お姉さん?」
むつみ「どんな事があっても私たち人間は屈しない!お前たちの言いなりに 
 はならない!」
   公園の中に入っていく千里。
シマタカ「生意気なんだよ!人類!」
   攻撃をしかけるシマタカ。
千里「危ない!」
   千里、むつみを庇う。ギターケースがと衣装がボロボロに。
むつみ「いたたた、お姉さん、大丈夫?」
   にこりと笑う千里。
むつみ「どうしてここに!あなたにはもう関係ない事でしょう!」
千里「ここ、私の憩いの場所だから。誰にも汚させない。それにお姉さんと 
 は繋がっちゃったから」
むつみ「繋がった?」
千里「誰かと繋がる事で人は生きていけるんだ、だからこの繋がりは絶対に
 消させない、たとえ嫌いあってても」
シマタカ「何をごちゃごちゃと!貴様らまとめて殺してくれる!」
   ダップルが現れる。
ダップル「まずい事になったっプル!」
   シマタカの攻撃でシマタカの爪に捕まってしまう千里とむつみ。
 
〇森・上空(夜)
   100mはある上空。千里は怯えているが、むつみは冷静である。
千里「こんな所から落とされたら!」
むつみ「死ぬわね、確実に」
千里「なんでそんなに冷静なのさ!」
むつみ「いつかこんな日がくる、そんな覚悟をもってこの仕事をしてるもの
 よ」
千里「そういうものなのか」
   謎に納得する千里。
シマタカ「いい景色だな、風もいい」
千里「へぇ、あんたみたいな悪党でも風の良し悪し、分かるんだ」
シマタカ「これでも半分はタカだからな」
   笑うシマタカ。
千里「あんた変わってるね」
シマタカ「よく言われる。そこまで気づくとは。貴様、ますます面白い。殺
 すには惜しい」
千里「そう言うのなら何とか見逃してくれない?」
シマタカ「ならんな。もう貴様らの処刑は決まっている」
千里「そんなぁ!ちょっとお姉さんも何か言ってよ!」
むつみ「遺言くらいは言いたいわね」
千里「えっ、ああそうだ、遺言、遺言言いたい!」
   手を上げる千里。
千里「もっとギター弾きたかったなぁ!ストリートでもっとお客さん集めた
 かったなぁ!好きなバンドのバックバンドやりたかったなぁ!もっと大き
 い箱でギターやりたかったなぁ!」
シマタカ「多いな!というかギターの事ばっかり!」
千里「仕方ないじゃん!私ギター一筋だったんだから!ギター以外もある
 よ」
   指折り、数え始める千里。
千里「猫カフェにもっと通いたかったな、アイスもっと一生分食べたかった
 な、札束のプールで泳ぎたかったな、ああもういっぱいあり過ぎて両手両
 足じゃ数えきれないよ!」
   千里の行動を見て笑うむつみ。
千里「面白かった?」
むつみ「ええ、とっても。今から死ぬとは思えないわ」
シマタカ「片割れは言ったがお前は?言い残したことの1つや2つはあるだ
 ろ?」
むつみ「そうね」
   すぅと空気を肺に入れるむつみ。叫ぶむつみ。
むつみ「もっと美少女を見たかった!」
   呆然とする千里。
千里「ここにきてそんな事言う?」
むつみ「私にとっては重要な事よ」
千里「本当に女の子の事好きなんだな」
シマタカ「続きは天国とやらでやるんだな!」
   爪から切り離すシマタカ。
   落ちていく千里とむつみ。
むつみ「もうだめね」
千里「諦めるなって言ってるだろ!」
むつみ「じゃあどうしろと!」
千里「私はお姉さんに生きてほしい!だから生きて!」
むつみ「そんな!」
千里「私は生きたい!もっとギター弾いてもっとギター人生歩むんだ!あなただって!もっとたくさんの人を助けないと!死んだらもう助けられない!」
むつみ「そうね」
   少し考えるむつみ。
むつみ「あなたの気持ちいいギターがもっと聞きたいわね」
千里「私、お姉さんの為にギターいっぱい弾いてあげる!」
むつみ「約束だからね!」
   両者の胸が光り輝き始める。
千里「これは!」
むつみ「ユリガッシーン変身への合図!」
   1回目より強く光り輝く両者の胸。
むつみ「さっき勝てなかったのに!」
千里「大丈夫!私を信じて!」
   光り輝くダップルが現れる。
ダップル「2人とも目を閉じるっプル」
   目を瞑る千里とむつみ。両者、両手を繋ぐ。
 
〇フラッシュ
   ユリガッシーンのシルエットが現れる千里とむつみ。
(フラッシュ終わり)
 
〇上空(夜)
千里「その名を叫べ!」
   キスをする2人。
   下から警官が見ている。
警官「なんだぁ?」
千里・むつみ「ユリガッシーン!」
   眩い光に包まれる2人。
   ユリガッシーンに変身し、森林に着陸し、千里、むつみが純白のユリ
   ガッシーンに変身する。ドレスっぽい衣装である。ポーズをとる2
   人。
 
〇森林(夜)
   千里とむつみが衣装の差に戸惑っている。
千里「昼と色が違う」
むつみ「灰色じゃない」
ダップル「これが本来のユリガッシーンっプル!心が通ったっプル!」
むつみ「これが通った、なの?」
千里「まーなんかよくわかんないけどよろしくね、お姉さん」
    握手を求める千里。
むつみ「え、でも?」
千里「いいんだ、でも、どっかで責任取ってもらうからね」
   ニッコリ笑う千里。
むつみ「なんだかよく分からないけど、ええ!」
   握手をする千里、むつみ。
   シマタカが降りてくる。
シマタカ「貴様ら、しぶとすぎる!トイレの黒ずみか!」
千里「色は純白なんだからもっと綺麗な例えをしてほしかったねぇ」
むつみ「力が沸き上がってくる、今なら!」
   再びポーズを取る両者。
千里「さぁ、ギターデュオの開始だ!」
むつみ「私の権力を行使する!」
シマタカ「貴様ら、その姿!」
千里「知らぬなら知らせてあげよう!二人合わせて伝説の戦士ユリガッシー
 ン!今日から登場の新人最強コンビだ!」
むつみ「敵にペラペラと情報を言うもんじゃありません!」
千里「こういうのは景気よくやらないと。後ろが爆発とかしないかなぁ」
シマタカ「ユリガッシーン?なんだかよく分からんが!殺してやる!」
むつみ「だから遅いって言ったの!」
シマタカ「今から殺してやる!」
   火炎攻撃をするが攻撃を回避する千里とむつみ。
千里「合わせられる?」
むつみ「え、ええ、何とか」
千里・むつみ「せいやー!」
   タイミング合わせてシマタカの腹にパンチする千里とむつみ。
シマタカ「ぐはっ!」
   倒れるシマタカ。
シマタカ「ぐっ!昼とは違う!」
   何かに気づくシマタカ。
シマタカN「こうやって見ると、なんというか女の子二人と戦うって尊い
 な」
千里「男子、三日会わざれば刮目して見よ、なんて言葉があるならば乙女4 
 時間会わざれば刮目して見よ、ってところかな?」
シマタカ「そんな事考えてる場合じゃない、何とか報告しないと、このまま
 だとやられる!」
   飛んでいこうとするシマタカ。
むつみ「させるか!」
   シマタカの足をもぐむつみ。
シマタカ「ぐぅ!」
千里「報告って何とかクズの事か!」
シマタカ「さぁな、私を倒すのだ、そのうち分かるだろう。そこの妖精だっ
 てわかっているはずだ」
   ダップルを指さすシマタカ。
ダップル「この地球はあんな事にはさせないっプル。お前らには負けないっ
 プル」
   笑うシマタカ。
千里「とどめだ、お姉さん」
   上空に飛ぶ千里とむつみ。
千里・むつみ「ユリガッシーン!ダブルキーック!」
   キックが命中するシマタカ。
シマタカ「地獄で貴様らを見続けてやる!」
   高笑いしながら爆散するシマタカ。
むつみ「終わったのよね」
千里「さぁね。私は何かが始まった気がする」
むつみ「何故?」
千里「さぁ。お姉さんとも長い付き合いになりそうな気がする」
むつみ「そう言えばどうやって変身解除するんですか?」
ダップル「好きなものを大声で言えば大丈夫っプル」
千里「えーっと、ギター!」
   変身解除する千里。
千里「おお!出来た!」
むつみ「じゃあ私も!大納言小豆!」
   変身解除するむつみ。
千里「お姉さん、大納言小豆好きなんだ、意外」
    ×××
   ギターを弾いている千里。むつみとダップルが聞いている。
むつみ「そう言えばあの時何故怒っていたのいたの?」
千里「私の初めてだったから」
むつみ「初めて?」
千里「(口元を隠しながら)私のファーストキス、お姉さんだから。ちゃんと責任取ってね」
むつみ「え?ええ~!」
むつみN「責任って被害者ぶりやがって!私も初めて、ファーストキスだっつつーの!」
   あかんべーするむつみ。


2話

3話




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