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PTAがヘンだと思ったので変えてみた話

PTA、積極的に参加していますか?
共働きが当たり前のこのご時世に、時代錯誤の常識が残る摩訶不思議な世界。
これは、小学校のPTAがヘンだと思ったので変えてみたというお話です。


ここがヘンだよPTA


決まるまで帰れない恐怖の役員選出を経験した方、おられますか?まだやってない人に、何が何でも役をやらせようとする、あの圧力。あれはいったい何なんでしょうか。
みんな、それぞれいろんな事情があります。家族構成も、仕事の責任も、介護があるかどうか子どもを預けられるかどうか、みんな違う。なのに、役員だけ「平等」にって、おかしくない?

ようやく決まった役員によって、保護者のための「教養講座」が開かれても、人数が集まりません。何のための企画なんでしょう。年間行事をこなすための企画なら、要らないのでは。

夏休みにプールを開放するときには、保護者が監視することになっています。もちろんさまざまな事情で、プールを利用しない子もいますが、その保護者も監視当番に駆り出されます。まだ小さい下の子がいる家庭でも、ワンオペでも、みんな「平等」です。
保護者たちは、プール監視当番のために実家の親を呼び寄せたり、夫さんに仕事を休ませたり、下の子を一時保育に預けたり。なんでそこまでしなきゃいけないの?

仕事に子育て、家事と、忙しい毎日を懸命に過ごしているというのに、こんなことに貴重な時間と労力、自分のお金まで使わないといけないなんて、おかしいです。
しかも、入会するかどうかを聞かれた覚えもないんですよねぇ。
PTAはブラックでヘンな組織でした。

PTA本部役員になる


田舎に暮らし、子どもが2人いれば、だいたい毎年、何かの役員を引き受ける羽目になります。町内会だの子ども会だの保育所の保護者会だの、新しい役につくたびに、ややこしいことをイチから勉強しないといけません。
ああ、もう面倒くさい!いっそ、ずっと同じ役に居座れれば新しいことを覚えなくて済むんじゃないかしら。
というわけで、なっちゃいました、PTA本部役員に。

PTA、アンケートをとる

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まずは本部が何をやっているのか理解するだけで大変でした。こんなにいろんなことをやってるなんて知らなかった。だから、提案してみました。
「保護者の皆さんは、PTAのことをよく知らないし、いろんな印象を持っていると思います。一度、アンケートしてみませんか?原案を作ってきてもいいですか?集計やります」
シロートが何を言うか?と一蹴されるかと思ったのですが、意外にすんなりOKが出ちゃいました。ベテラン役員さんたちも、何かずっと思うところがあったようです。

質問項目には、保護者たちの働き方や、PTA活動の一つひとつについて内容を知っているか、どう思うか、などを入れました。自由に意見を書けるスペースも取りました。

驚いたことにアンケートの回収率は9割を超えました
PTAに対する、みなさんのいろんな思いがびっしり書いてありました。このままではしんどい、何とかしてよ、という思いが紙面にあふれていました。
よし!変えちゃおうよ、ヘンなPTAを!
私たちは、動き出しました。

PTA、見える化・スリム化する


アンケートによって、どんなPTAを目指したらいいのかが見えてきました。
PTAのしんどさは、目的と成果がよくわからないこと、ボランティアを強制される理不尽さ、やりがいのなさ、そのあたりが原因でした。

子どもたちのためになる活動は残す。そうではない活動は、思い切ってなくす。
どんな活動をしているのかを、誰もがわかるようにする。
目指すはPTA活動の「見える化とスリム化」です。
スローガンは「できる人が、できるときに、できることを」するPTA。

アンケート実施から数ヶ月後、まず「教養講座」を廃止して役員を減らすことにしました。PTA規約を変えるのには時間がかかるので、ひとまず1年間のお試し期間を設けて様子を見ることに。
なくしてみたら超快適。翌年、PTA規約を書き換えて正式に廃止しました。
PTAをみんなの力で、変えることができたんです。これを皮切りに、いろいろな無駄を削っていきました。

PTA、発信する


それまで年に1度の総会資料と、行事のお知らせ、広報誌ぐらいしか情報がありませんでした。そこで、アンケート以降は、PTA本部から保護者たちに向けて、どんどん情報を発信するようにしました。
アンケート結果を報告する。「本部会だより」を発行する。PTA総会で話す。
今、何が問題か、それをどうしようとしているのか、変えるとどんないいことがあるか。
みなさんの意見を取り入れた改革案を提示し、改革後のハッピーなイメージを伝えていきました
これまでPTAのことをあまり知らないまま、ただ煙たがっていた保護者たち。しかし、伝えていくことによって、PTAの役割を理解してもらえるようになり、改革が受け入れられていったのです。

PTA、変わっていく

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5年かけてPTA改革を少しずつ進め、かなり見える化、スリム化できました。
ヘンだったPTAを変えたのは、保護者たちの思いです。

不要な活動はどんどん減らし、必要な活動だけに。
役員数もずいぶん減らしましたし、プール当番もなくなりました。
その一方で、PTAにお父さんたちの力を取り込むために、サークル感覚でゆるく参加できる別組織を作りました。力仕事や子どもたちと本気で遊ぶ企画など、おやじパワーが新しい風を巻き起こしています。

しかし、PTA最大の問題である「強制加入」をやめて「任意加入」へと変えていくのはまだこれから。新年度の課題です。
PTAはつらい義務ではなく、子どもたちを笑顔にするためのもの。それを十分に理解してもらって、「自主的に」参加してもらえるPTAになるといいなぁと思います。

PTA役員、やるメリットはある?


PTA役員をやることに躊躇する方は多いと思いますが、メリットも大きいです。
PTA役員をやると、とにかくいろんな人と話をする機会が増えます。役員のみなさん、先生方、保護者のみなさん、地域の方たち。おかげで、子どもの様子を知ることができて、子どものことで悩んでも、すぐ誰かに相談できるようになりました。
学校を近くに感じられる。知り合いが増える。仲間ができる。
PTAのおかげで、世界がぐっと広がりました。

PTAがヘンだと思ったら、変えてみるのも悪くないんじゃないでしょうか。

【2023年12月追記】
その後、会長に取材しました!


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