製造企業の在宅勤務と情報管理 その2

製造企業において、新型肺炎の感染(拡大)防止を踏まえて、在宅勤務を実行する場合、大きく2つの業務に分けて考える必要があります。

ひとつは、自社製品(仕掛品、試作品を含む)と資材・原料のリアルなモノにまつわる業務、開発・製造・品質管理・出荷・調達・等の業務です。
これらの業務を在宅でリモートで遠隔操作するのは、現代の技術ではまだ無理です。どれか一つの業務を遠隔化や自動化ができたとしても、その前後の連続的な業務のどこかが多分ヒトに頼らないと難しいと思います。特に単純作業系の方、搬入搬出、移動、が発生すると、まずそれを全部ヒトがいなくてもできるかというと現実的ではありません。

したがって、接触80%削減する場合、もう一つのオフィスワークを在宅勤務可能にすることのほうが現実的です。

オフィスワーク。ほぼ100%在宅可能です。

つまり、営業、マーケティング、人事、経理、総務、情報、といった部門の仕事です。

リンクインサイトでは、上記全ての業務にプラスして、3D CADデータを扱う制作業務についても在宅で行っています。

これらの仕事が、なかなか在宅にできない理由があるとすれば、
(1)紙があること (2)捺印があること (3)機密管理 
がよく挙げられます。これらを解決する方法を簡単にお答えします。

紙対策=今日からPDF化

紙文書は、以下のパターンが考えられます。
①社内で創出される紙文書
②社外からもらう紙文書
③業界や行政による紙ルール
これらを、まずは全てPDF化することです。
①は自社で生成している紙は、今すぐ、PDFで出力するようにしましょう。
②は社外の取引先に、PDF添付メールで送信依頼しましょう。
③こちらはちょっと重いですが、働きかけましょう。皆が働きかければ、意外とすぐできてしまうものも出てくるでしょう。

①②③の順番で実行できるものから実施、今紙になっているものは、短期の学生アルバイトを雇ってでも複合機で紙をスキャンしてPDF化してしまいましょう。今大学生は飲食店のアルバイトが減り困っているのでよい社会貢献にもなりましょう。

そして並行して、電子文書保存法やe-文書法の法令に基づいた手続きと運営になるように進めましょう。

捺印=今日から社内印をなくす

捺印には、2つあります。対外的な捺印と、社内の捺印です。
社内印については、社内のSNS(二度、TEAMSを推奨します)に申請チャンネルを作ってしまえば、そこで、PDFで申請、承認者がコメントをスレッド上で書いて、履歴を残せば、大丈夫です。社内印はなくせます。
複数の捺印が必要な場合、そのチャンネルに関係者がメンバーになっていれば、どこで止まっているかも可視化できますし、稟議決裁プロセスが透明になり意思決定が速くなるメリットもあります。

外部の捺印は、代表印は、スケジュール決めて、社長が印鑑を押しに会社に行けばよいですね。銀行印は、オンライン取引や届出を活用することでしょうか。銀行も急速にオンライン化に舵を切っているようですのでいい機会だと思います。角印や担当者印については、様々な部署で使われていると思いますので一概には言えませんが、基本的には今使っているソフトウェアの中に捺印機能がビルトインされていないでしょうか?もしその機能がなければ、ソフトウェアメーカーに問い合わせてみることをお勧めします。対応できないソフトウェアならこの機会に一新することをお勧めします。

機密管理 ハードとソフト両方必要

機密管理は、ハード面とソフト面があります。
①ハード面とは、ソフトウェア等のツール技術の選択、データの保存ルールなどのことです。

ツールの選択は、一言「クラウド化」です。全てクラウド化にしましょう。
基本的にクラウドは製造業ではマイクロソフト社の製品がお勧めです。法人向けに特化し機密も考えられた設計になっており、トータルコストも下がる可能性が高いですし、さらにはOSが変わったときでもシステムに対して追加コストを払うリスクが軽減されます。(現在お付き合いのあるシステム会社は儲からないから嫌がるかもしれませんが)

経理会計ソフトも現行お使いののソフトウエアメーカーに打診してみてください、クラウドサービスがあるはずです。業務に併せたカスタマイズもできるようになっているはずです。

もしクラウドでのカスタマイズも難しければ、業務自体を見直してみてください。その特別な業務こだわりが、システムのカスタム化のための構築費用と保守費用に反映されています。どれだけエキストラコストになっているか検証してみることをお勧めします。システム会社がそのカスタム部分に構築費用と保守体制に人を張り付けているので結構お金かかっているはずです。
減価償却期間のタイミングもあろうかと思いますが、助成金等の活用等も検討して早めにクラウド化をお勧めします。

データの保存は、先の「紙対策=今日からPDF化」でも述べた電子文書保存法等において社内文書の管理規程を作ることが必須になっているので、その流れに従い保存と利用のルールをしっかり作ってしまえば大丈夫でしょう。

②ソフト面は、一言でいうと、「労務管理」です。
このあたりは、運用面は製造業は馴れている領域と思いますが、「規程化」「教育」「運用(評価)」です。
規程化は、自前でやるよりも、在宅勤務を実行できている会社の規程を参考にすることと、教育、運用(評価)についても参考にすることとお勧めします。

以上

会社の公式ブログも是非ご覧ください!
https://note.com/linkinsight

よろしければ、フォローとシェアをお願いします。 日本のGDP20%を占める製造業に従事する方々の現場力に 適合できるヒトのためのデジタル化を推進しています。