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中途採用者にもオンボーディング支援は欠かせない

こんにちは。今回は中途採用者が入社したときのサポート(オンボーディング)について解説します。
即戦力として期待される中途採用者が実際にパフォーマンスを発揮するためには、周囲からのサポートが重要なようです。

今日の一言サマリ

中途採用者にも十分な適応支援を


参考にした書籍

尾崎真実哉、2022、『組織になじませる力』、アルク



中途採用者が直面する課題

中途採用者が新しい組織に適応することを学術的概念では組織再社会化といいます。中途採用者の適応課題は、組織再社会化の過程の中での課題ということになります。

中途採用者と新卒採用者の違いは、新卒採用者は社会人経験がないため、組織に「染め上げる」プロセスから開始することができるのに対し、中途採用者は前職での経験を積んでいるため、前職の経験に基づくスキルや考え方を持っています。
そのため筆者は中途採用者に対しては「脱色」が必要とし、アンラーニングのサポートが必要だと説きます。

本書では中途採用者が直面する課題として、以下を挙げています。

  • スキルや知識の習得:会社が異なれば扱う商品や社内プロセスが異なる

  • 暗黙のルールの理解:その会社固有の文化や慣習がある

  • アンラーニング:前職での経験で身に付けたスキルや考え方のうち、捨てるものを捨てる

  • 中途意識の排除:自分自身をよそ者と捉えることで距離が埋まらない

  • 信頼関係の構築:お手並み拝見の姿勢を取りがちな既存社員との信頼関係

  • 人的ネットワークの構築:know who(必要な情報を持っているのは誰か)

中途採用者に求められる支援

上記のような中途採用者の課題に対して、筆者は次のような具体的な支援が必要だと説きます。

(1)研修

以下のような目的と内容の研修を実施します。

  • 知識家の研修

  • アンラーニング支援の研修

  • 人的ネットワーク構築支援研修

p133

(2)サポートする他者のアサイン
(3)上司の定期的な面談
(4)人事による定期的な面談
(5)準備期間を設ける

これはよくある試用期間ということではなく、「成果を急がずに知識の習得や社内の人脈作りに励んでください」という期間です。

(6)上司や同僚など受け入れ側への教育
(7)中途採用者を受け入れる文化を醸成する

実践への示唆

ビジネスの現場では、上記の知見をどのように活用できるでしょうか。

まずは採用・受入に当たる側で、中途採用者にも適応プロセスとそのための時間が必要であると認識することです。せっかく採用した人材が期待通りのパフォーマンスを発揮するためには、周囲のサポートが必須であると心得る必要があります。

中途入社する本人は、過去の成功体験を過信せず、新しい環境では前職で通用したスキルや考え方を一部棄却する必要があることを意識し、必要なスキルや人脈を獲得することを意識する必要があるでしょう。

受入側、中途採用された本人側の双方がかなりの時間とコストをかけて入社した人材が期待通りのパフォーマンスを早期に発揮することは、会社と従業員双方の願うところでしょう。

これからは転職と中途採用が当たり前になっていくと予想されています。会社の中に中途採用者のオンボーディングのノウハウが蓄積され、中途採用者が早期に活躍できる企業が、採用でも優位に立っていくと思われます。

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