山口真一(Shinichi Yamaguchi)

IT企業で人事業務アプリケーションの提案に従事する傍ら、立教大学大学院 経営学研究科 …

 山口真一(Shinichi Yamaguchi)

IT企業で人事業務アプリケーションの提案に従事する傍ら、立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コースで人材開発、組織開発の理論と実践を学んでいます。 このnoteでは主に会社のメンバー向けに、人事の方々との会話のネタになる「かもしれない」話を書いていきます。

最近の記事

成果を上げるチームは自分たちを常に問い直す

こんにちは。今回は、成果を上げるチームの条件について解説します。 ビジネスの現場ではチームを機能させ業績を上げることに苦労している人の参考になれば幸いです。 今日の一言サマリ チームの目的も課題も常に動いている 参考にした書籍 中原淳・田中聡、『チームワーキング』、2021、日本能率協会マネジメントセンター 日本で貴重なチームを対象とした大規模調査 本書の特徴は、日本国内でチームを対象に大規模なデータを収集し、分析したことにあります。個人を対象にすることと比較して

    • 研修評価の松竹梅 ~受講者に満足度は聞くな~

      こんにちは。今回は、企業研修の評価方法を解説します。企業研修は企業に何らかのメリットをもたらすために実施されるのですが、その効果を可視化することはあまり普及していません。 本稿では忙しい人材開発部門でも実施可能な研修評価の方法を紹介します。 今日の一言サマリ 最低限、自己効力感と有用性を聞け 参考にした書籍 中原淳・関根雅泰ほか、『研修開発入門「研修評価」の教科書』、2022、ダイヤモンド社 研修評価法の元祖カークパトリック 企業研修を担当している人で知らない人は

      • マネージャーの仕事は、部下の仕事を前に進めること

        こんにちは。今回は、幸せな職場を作るためにマネージャーは何をすればいいか、という研究を紹介します。ここで幸せな、と書きましたが、どうすればチームのパフォーマンスが高く、かつメンバーの心理状態がポジティブな状態を保つことができるのか、というのが今日のテーマです。 今日の一言サマリ マネージャーは、部下の仕事をはかどらせろ 参考にした書籍 テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー、『マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力』(中竹竜二訳)、

        • アンラーニングを阻害しているのは「そこそこの成功」

          こんにちは。今回は、アンラーニングを阻害する要因について解説します。 アンラーニングとは、新しい仕事のやり方やスキルを獲得するために古い借り方を捨てる行動ですが、定量調査によりこれを妨げる要因が明らかになった、というお話です。 今日の一言サマリ 正しい切迫感がアンラーニングにつながる 参考にした書籍 小林祐児、2023、リスキリングは経営課題、光文社新書 アンラーニングに関する大規模調査 今回の書籍では、パーソル総研が2022年に実施した「リスキリングとアンラーニ

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          シニアのやる気はどう引き出す?

          みなさんこんにちは。今回は仕事における動機づけが、年齢によってどのように変化するのか、というお話です。会社の人口構成が逆ピラミッド型になる中、シニア活用が課題だとおっしゃる人事の方が、増えている印象がありますが、シニアの動機づけ要因は、若者のそれとは変化していくようなのです。 今日の一言サマリ 内的動機でシニアは輝く 参考にした論文 Kooij, Dorien T A M et al., 2011, Age and work‐related motives: Resu

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          続・「分かりあう」ことは当たり前じゃない

          みなさんこんにちは。今回はコミュニケーションについて、事例と書籍を参考に前回『「分かり合う」ことは当たり前じゃない』の議論を深めてみたいと思います。 今日の一言サマリ コミュニケーションの起源は、ダンスである 参考にした記事と図書 山極 壽一、2023、「共感革命」 河出書房新社 父親には伝わらなかったバラエティ番組 上記の記事で著名なテレビディレクターである上出は、ある番組の1シーンを挙げて視聴者に伝わらない理由を説明します。 その場面は、バラエティ番組で出演者

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          部下との関係性は感情で作られていく

          今日は上司と部下の関係性が、感情の影響を受けるというお話です。ビジネスの場面では感情表現は好ましくないと捉えられることが多いですが、感情は上司ー部下の関係性を決める重要な要素なのです。 今日の一言サマリ 関係性は感情によって揺れ動く 参考にした論文 Cropanzano, Russell et el., 2017, "Affective Events and the Development of Leader-Member Exchange" 関係性が作られる3段階

          部下との関係性は感情で作られていく

          リーダーシップは誰もが発揮できる力である

          今回はリーダーシップを取り上げます。リーダーシップ、ビジネスで毎日のように聞く言葉です。 典型的には「社長が強いリーダーシップを発揮して改革を推進した」など、組織長が組織を引っ張っていく、という意味合いで使われることが多いように思いますが、本稿ではリーダーシップという言葉の意味を捉えなおしたいと思います。 今日の一言サマリ リーダーシップとは、影響力である 参考にした書籍 石川淳、2022、「リーダーシップの理論」、中央経済社 リーダーシップをあらためて定義する

          リーダーシップは誰もが発揮できる力である

          コンフリクトを恐れず高成果の組織に

          こんにちは。今日は葛藤、対立、衝突とも訳される「コンフリクト」を取り上げます。他人と一緒に働く時、対立があるとへこみますよね。衝突を恐れるあまり、自分の意見を言わないでおくこともあるのではないでしょうか。 今日は、コンフリクトもその種類に気を付ければ、集団のパフォーマンスを高めてくれるかもしれない、という話です。 今日の一言サマリ いい対立とわるい対立を見きわめよう 参考にした論文 Frank R C de Wit, 2012, The paradox of intr

          コンフリクトを恐れず高成果の組織に

          「分かり合う」ことは当たり前じゃない

          こんにちは。今日はコミュニケーションを取り上げてみます。私たちは毎日他人とコミュニケーションしながら生きていて、「この人はわかってくれている」とか「この人とはいつも話が通じない」などコミュニケーションの結果について様々感じています。今回は、「相手に自分の意図を理解してもらう」ということが簡単なことではない、ということを解説します。 今日の一言サマリ 相手があなたと同じ前提を持っているかを疑う。 参考にした図書 スティーブン・ロビンス、組織行動のマネジメント、2009、

          「分かり合う」ことは当たり前じゃない

          心理的安全性は、なあなあを許さない

          今日のテーマは心理的安全性です。グーグルが重視していることが有名となり、流行した感があるワードです。流行の一方で、本来の意味から少しずれた使われ方がされているようにも思います。今日はこの概念を世に広めたエイミー・エドモンドソンの著書を参考に解説していきたいと思います。 今日の一言サマリ 心理的安全性のある組織では率直な批判を学習に活かす 参考にした図書 エイミー・C・エドモンドソン、2019、The Fearless Orgazanization、邦訳「恐れのない組織

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          リフレクションは新たな未来をつくる

          今日のテーマはリフレクション(reflection)です。振り返り、省察などと訳されることが多く、小学生からビジネスマンまで何かにつけて「振り返ってみよう」と促された経験をお持ちではないでしょうか。世の中にはリフレクションの様々な定義が存在しますが、今日は1冊の本を参考に解説してみたいと思います。 今日の一言サマリ リフレクションとは、前提を疑うことである 参考にした図書 一般社団法人 学び続ける教育者のための協会(REFLECT)、2019、「リフレクション入門」、

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          「対話」を説明しようとしてみる

          今日のテーマは「対話 (dialogue)」です。よく耳にする言葉ですがどういうことか説明するのはちょっと難しいコンセプトではないでしょうか。 私自身、十分理解できている自信はないですが、解説してみたいと思います。 今日の一言サマリ 対話とは、新しい関係性の構築である。 参考にした図書 中原淳、2022、「話し合いの作法」、PHP研究所 中原淳、2009、「ダイアローグ 対話する組織」、ダイヤモンド社 宇田川元一、2019、「他者と働く」、ニューズピックス 対話が求

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          「学びほぐし」アンラーニングで止まらない成長を

          今日のテーマはアンラーニングです。「学びほぐし」という訳を当てることもありますが、これまで学んだやり方・信念を捨て去り、新しいやり方と入れ替えるという考え方です。人や組織は、外部環境や役割が変わったときには従来のやり方を見直す必要があり、これを実践できた人や組織が成長し続けることができるのです。 本稿では個人がアンラーニングするにはどうすればいいのか、まとめていきます。 今日の一言サマリ アンラーニングを実現するには、学習志向と自己変革スキルを高める本人と周囲を取組が重要

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          フィードバックはタスクに注意を向けろ?

          今日のトピックはフィードバックです。フィードバック文化を重視しているコンカー社が「働きがいのある会社」ランキングで6年連続の1位を獲得したことでも話題となりました。 本稿では、フィードバックを効果的なものにするための条件について解説したいと思います。 今日の一言サマリ 効果的なフィードバックの条件は、受け手の注意をタスクに向けさせることである。 参考にした論文 Kluger, Avraham N. et al., 1996, "The effects of feedb

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