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管理職が罰ゲームになるメカニズム

こんにちは。今回は管理職が罰ゲーム化するメカニズムを解説します。
管理職の疲弊が指摘され、若手は管理職になりたがらないなど、管理職は罰ゲームと言われています。
パーソル総研の調査をもとにした書籍から、なぜそうなってしまったのか、紐解いていきましょう。

今日の一言サマリ

管理職の高負担は構造的な問題である


参考にした書籍と調査

小林祐児、2024、『罰ゲーム化する管理職』、集英社
株式会社パーソル総合研究所、2019、「中間管理職の就業負担に関する定量調査」




管理職が罰ゲーム化するメカニズム

いきなり結論ですが、管理職の負担は、①組織課題への対応を管理職のみに負担させるループ ②指示待ちの部下を生むループ ③次の管理職人材を育成できないループ の3つのループが互いに強め合って生まれている、というのが小林の主張です。

レポートp47

組織課題への対応を管理職のみに負担させるループ

企業の人事側は、管理職の課題を働き方改革やハラスメント対応などの近年表面化している全社課題を挙げていますが、当の管理職側は人手不足を一番に挙げており、両者の認識がずれています。
企業から管理職への支援としてはIT化やシステム化を通じた省力化がトップですが、何もしていない企業の24%ありました。
企業は全社課題の対応を個々の管理職の対応に依存しており、構造的な課題対応をしていないことが、管理職の負担を高めていると小林は指摘します。

レポートp34

指示待ちの部下を生むループ

上司行動を「信頼する・認める」「臨機応変に対応する」「厳密に指示する」の3つに分類したとき、部下の行動とどのような関連があるかを示したのが下のグラフです。

レポートp42

厳密に指示をすると、部下はより配慮的・批判的行動を取ることがわかります。マイクロマネジメントは、指示待ちの部下を生んでいるのです。
一方でレポートは、上司のマイクロマネジメント行動は働き方改革・ダイバーシティ・業務量増加によって促進されていることを示しており、構造的な問題であると指摘しています。

次の管理職人材を育成できないループ

管理職の負担が高まった結果、部下の育成に手が回らなくなり、自分がやるしかない状態を生みだします。
そんな管理職の様子を見た部下は、管理職になりたくないという意志を強めていくのです。

実践への示唆

ビジネスの現場では、今回の知見をどのように活用できるでしょうか。

小林の著書ではこの状況を改善する提言も含まれているのですが、それは別の機会に紹介するとしましょう。

まずは管理職が罰ゲーム化している全体の構造を、各社で分析することが必要でしょう。
管理職が機能していないことを、管理職研修や管理職へのマイクロマネジメントなどの対処療法で解決することはできないことを認識することからスタートする必要があります。
センゲが有名にしたシステム思考を取り入れることも一案でしょう。

管理職の負担を軽減するためには、管理職が全ての意思決定を行うという考え方を見直すアプローチが有効と考えられます。
例えば組織の全員が場面に応じてリーダーシップを担うシェアド・リーダーシップを醸成することは管理職負担の軽減と、メンバー育成の両方の効果を生むでしょう。



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