35年の歴史を紡ぐ転造職人 - キャリアと仲間愛を語る
こんにちは。山口製作所の山下です。
山口製作所は創立74周年(2024年9月時点)を迎える歴史ある会社です。
そして、この会社を支えているのは、長年働き続けるベテラン社員です。
35年間、転造加工をメインに行ってきた、転造のプロフェッショナル、山澤さん。
その背景には仕事そのものの楽しさと、仲間との交流がありました。
今回は、そんな山澤さんに、お仕事のことからプライベートのことまで、根掘り葉掘り聞いてみました。
転造加工をメインに歩んだ35年 - 仲間がいたから続けられた
──山澤さんは35年間、ずっと転造加工をご担当されているとお聞きしました。そもそも、転造加工とはどのような加工方法ですか?
多少の変化はあるけど、基本的に35年間ずっと転造加工に携わってきました。
転造加工とは、ネジや溝、ローレットなどの形状を作る加工のことです。
最初にヘッダーと呼ばれる加工があって、コイル状に巻かれた長い材料(鉄やステンレス、銅、アルミなど)から、1つの製品分の長さを切り取って、加工します。その後、転造加工に入り、金型に合わせて転がすようなイメージで、ネジを切る溝を入れ、螺旋状のネジの形を作っていくんです。
部品はアジャスティングスクリューという、ヘッドライト周りの部品を作っています。
──山澤さん、今年の4月に永年勤続表彰を受賞されていましたよね。その時のお気持ちをお聞きしたいです。
勤続5年ごとに新年度に表彰されます。社長から賞状とギフトをもらえるんです。
長く働いていることを評価してくれて、それが形となるのは、やっぱりとても嬉しいね。
もう何回ももらっているので、25年以上働いている営業部の後輩に「山澤さん、いつも表彰されますね」って言われたこともあります。
オレがこの会社で一番もらっているんじゃないのかな?
──そもそも、なぜ山口製作所へ入社したのですか?元々、ものづくりに興味があったのでしょうか?
家から近かったから!ただそれだけだよ(笑)
正直、働く場所はどこでもよかった。
入社当時は、現在物流拠点として使われている、長泉に本社がありました。
私の実家はそこから歩いて10分くらいの距離にあり、会社としても安定していそうだし、「ここがいい!」と思って山口製作所に入社しました。
──ものづくりにご興味があったわけではないんですね!それでも35年間も続けられたのはなぜですか?
もちろん、製造の仕事は自分にとって苦にならず、好きだと思えるからだけど、それよりも自分の忍耐強さがあるからかなと思っています。
オレ、忍耐強いんだよ!(笑)
特に、昔は上司も厳しくてね。でも、「これを乗り越えたらいいことがあるだろう。」「とにかく、目の前の1日を大切に生きていこう。」そう思って働き続けていました。
あとは、仲間の存在がとても大きい。
この会社のメンバーは仲間意識がとても強くて、みんながひとつの輪のようになっていました。仕事で嫌なことがあったり、失敗があったとしても、みんなと一緒に飲みに行ってリフレッシュして。そういうのがあったから、今まで続けられたね。
工場の引っ越し- 自分たちで創り上げた新しい職場
──35年働く中で、最も印象に残っていることを教えてください。
工場の引越しです。入社してから、2回の引っ越しを経験しました。
引っ越しする時、工場のレイアウトは自分たちで考えたんです。加工方法ごとに区間だけ決められていて、その区間内で機械をどのように配置するか自分で考えました。工程の流れを熟知していないと機械の配置はできないので、外部には頼まず、自分たちでやったんです。機械の後ろにはその機械で使う材料が来るので、材料の箱などの寸法を測って、機械の後ろに通路を確保するなど、細かい点まで考慮する必要がありました。
機械の運搬は業者も関わってくれましたが、自分たちもトラックを出して、荷物を運んで、みんなとワイワイ協力して動くのが、すごく大変だったけど、楽しかったね。
──やっぱりここでも、”みんな”というワードが出てくるんですね。本当に仲間想いなのが伝わってきます。
通常の業務よりも新鮮味があって、仲間で一丸になっている時が好きなんだよね。
日々の業務 - 仕事のやりがいと仲間との会話
──業務の中で、最も好きな瞬間を教えてください。
仕事面では、新鮮味のある仕事が好きなので、試作品を作る時が一番好きです。
今使っている転造の機械は、古い機械だから、少しクセがあるけど、それを理解しながら新しいものを作れた時は、「よっしゃ!」と思えます。
しかも、アジャスティングスクリューは新規のものが少なくなっている傾向にあるので、尚更新規品を自分で作れた時の喜びは大きい。
あとは、業務以外でいうと、休み時間も好き(笑)
10分休憩の時間は、メリハリをつけるためにしっかり休みます。
だいたい外で一服していて、そこに集まった仲間と話してます。
話の内容は、大した話じゃないよ!
みんな野球が好きだから、野球の話とか、大谷くんの話とか。
あとは、ゲームとか、車とか...。幅広く話しています。
今はそれぞれ家族もいるし、休みの日に会うことはほとんどなくなっちゃったけど、昔は話の流れで「じゃあ野球観に行こう」「飲みに行こうぜ」と言って、休みの日も遊んでいました。昔は後輩と2家族でディズニーに遊びに行ったこともあるくらい。
モチベーションを保つ秘訣 - 飲み会と社員旅行でリフレッシュ
──先ほど、「会社の飲み会でリフレッシュしていた」とおっしゃっていましたが、飲み会は頻繁に開催されていたのですか?
飲み会は割と頻繁にあったよ。
会社のイベントとしてではなく、休みの前日は20人くらい集まって、よく飲みに行ってたなぁ。
それに、会社全体の飲み会も、今より回数が多かった。
昔の納涼祭の様子ってどんなのだったか知ってる?
この前(2024年8月)も納涼祭をやったけど、お店でBBQしたでしょ?
BBQの設備は整っているし、お肉も野菜もお酒も、全部お店が出してくれる。
けど、昔は会社の敷地内でやっていたから、全部自分たちでやっていたんだよ。お肉やお酒の仕入れ、火の準備なども。準備は大変だったけど、このスタイルがすごく楽しかった。
納涼祭の日は、仕事は午前で終わって、午後から準備が始まるの。
時間もかかるし、面倒なことも多いから、「うわあ、納涼祭だよ。めんどくせえな〜。」とかみんなで言いながら、楽しんでいました。みんなそれぞれ家族も呼んでね。
その時みたいなBBQも、またやりたいな〜。
今は車(移動)の問題があるから難しいよね。
電車で行くと、終電が気になっちゃって、思う存分楽しめないし。御殿場線は本数も少ないから一本でも逃したくないじゃん。
だから、どうしても帰りのことを考えてしまう。
会が始まる前から帰りのことを考えちゃうのがよくないなと思っていて、だから、キャンプ場を借りて、そこでBBQをしたり、遊んだりしながら、みんなで泊まれるようにしたらいいと思うな。そしたら帰りのこと気にせずに思いっきり飲めるし。
みんなが楽しめる会にしたいね。
──社員旅行で海外に行かれたこともあるとお聞きしました。
創立からの「周年」に合わせて、5年周期で旅行が開催されています。前回の70周年旅行はコロナ禍だったので、なくなってしまったのですが…。
香港、タイ、オーストラリアなどに行きました。
国内でも北海道や沖縄、大阪のUSJに行ったこともあるよ。
──その中で最も印象に残っている国はどこですか?
2000年に行ったオーストラリアかな。
社員旅行にも家族を連れていけたから、当時5歳の子どもも連れて行ったんだけど、小さい子どもがいると大変でね。
ただ、社員旅行が家族の思い出にもなるのはすごくいいなと思っています。
子どもからは「もっと大人になってから連れてってよ。覚えてないじゃん。」って言われるけど(笑)
──社員旅行復活するという話が社内でも時々上がりますが、次はどこに行きたいですか?
中国、台湾あたりかな。
ヨーロッパやハワイも行きたいけど、飛行機に乗っている時間が長いと向こうにいられる時間が少なくなっちゃうから、近場が良いな。
中国は拠点にも行けるし、中国メンバーとの交流もできていいんじゃない?
あとは、韓国やシンガポールもいいな。
美味しいごはんが多いし、若い人たちが喜んでくれそう。
社内恋愛での結婚 - 奥様との馴れ初め
──先ほどご家族のお話しが出ましたが、山澤さんは社内結婚をされていますよね!
彼女と結婚してから、もう30年経ちました。
出会いも仕事ではなく、飲み会など、業務外での交流の場だったね。
結婚してから、ふたりともずっとこの会社にいるけど、長く働けたのは、妻がいたからというわけではなく・・・。妻はプライベートでのパートナーで、仕事のメンバーとは思っていません。たまたま、出会いの場所が会社だったっていうだけ。
家族も、子どもが小さい時は、「子どもの為に稼がなきゃ!」と少しは思っていたけど、今はもう大人になっちゃったから関係がないし。
仕事は仕事。家族は家族。そして、オレはオレ!全部切り分けて考えてるね。
──では、仕事は関係なしに、純粋に好き同士でご結婚されたんですね。家で仕事の話をすることもありませんか?
家で、仕事の話をすることもほとんどない。
妻はたまに家でも仕事の話をしているけど、オレは右から左に流してるよ。
でも、今同じお客さんを担当しているので、仕事で関わることがあるんです。
たまに、緊急で連絡しなきゃいけない時があるけど、その時は妻だからこそ気を使わずに直接連絡できるので、そこに関しては便利だなと思うことはあるね(笑)
──この前の納涼会の時も、ずっと一緒にいらっしゃいましたよね。山澤さんの発言からも仲の良さや愛が伝わってきます。
山口製作所での展望
──最後になりますが、今後の山口製作所でやりたいこと、夢をお聞きしたいです。
業務面では、最先端の機械を使って、転造加工をしてみたいです。
新しい機械を使えば今と品質がどれだけ変わるのか、今までにないどんな加工ができるのかを試してみたいですね。
さっきも少し話しましたが、正直、今使っている機械は古い物ばかりです。
なので、そこに投資したい、して欲しいなという思いがあります。
新しい機械なら、今よりいろいろな製品が作れるようになります。
例えば、新しい機械の中には、ヘッダーと転造が一体になっているものもあるんです。
ヘッダーの中に転造が機械の中に組み込まれているので、両方の加工が一度にできるようになる。
先日、転造加工単体の新しい機械の見積もりをとったら、かなり高額だったので、すぐには難しいと思いますが、、導入できたらとても嬉しいです。
あとは、やっぱり、社内メンバーの交流の機会を増やしたいね。
時代が変わったり、コロナ禍で交流が少なくなったりしましたが、また徐々に増えて行ったら嬉しいです。
インタビューを受けて
若手の中途メンバーと話していると、「この会社の社員は仲がいいよね」という話題がよく出ます。実際、平日の仕事終わりに一緒に食事に行ったり、休日も一緒に遊ぶことがあります。
確かに、昔に比べて交流が少なくなっているかもしれませんが、山澤さんたちが築き上げたチームワークや社員同士の仲の良さが、今も受け継がれていると感じました。
今後は、山澤さんのおっしゃる通り、もっとイベントを開催して社内交流を増やし、全員が一丸となって仕事に取り組めたらいいなと心から思います。
また、今回は、はじめての社員インタビューで、不慣れなところが多く、山澤さんにご迷惑をおかけしました。それでも「しょうがねえな〜」と笑って冗談を言いながら、丁寧に対応してくれました。山澤さん、本当にありがとうございます。
会社の飲み会を開催する前に、仕事終わりに飲みに行きましょ〜!
インタビュー企画はこれからどんどん続きます。
次の投稿もお楽しみに!