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鳥類研究所

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鳥の生物学、特に鳥の行動について学びます。
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2022年3月の記事一覧

満月で空高く飛び、月食になると降下するクロムジアマツバメ

クロムジアマツバメ(Cypseloides niger borealis)は、がっしりとした体と長く尖った翼を持つ鳥です。羽色は黒で、頭部に白い部分があり、鳴き声は甲高い鳴き声が連続し、時折、より長い鳴き声も聞かれます。この鳥は、北米のアラスカ南東部からメキシコ南部で繁殖し、コロラド州からブラジル南西部に移動をします。新世界のクロムジアマツバメは絶滅の危機に瀕しています。 旧世界のアマツバメは、6-10ヶ月にわたって空中生活をおくるとされています。繁殖期以外の期間は、24時

脳のニューロン数は、爬虫類と鳥類で大違い

鳥類と哺乳類は、爬虫類よりも前脳と小脳のニューロンの数が劇的に多い。3億年以上の爬虫類、鳥類、哺乳類の脳の進化において、脳のニューロンの数の大規模な増加は4回起こったことを示唆する研究が、チェコ・プラハのカレル大学の研究チーム(Pavel Němec研究室)から報告されました。 The evolution of brain neuron numbers in amniotes. 有羊膜類における脳のニューロンの数の進化 Kverková K, Marhounová L,

鳥類の形態学的、生態学的、地理学的データベースAVONET

9万羽以上の鳥のくちばしや翼の形態計測値などを集め、理論を検証し、保護に役立てることができるAVONETと呼ばれる新しいデータベースが公開されています。 AVONETは、インペリアル・カレッジ・ロンドンのジョセフ・トビアス(Joseph A Tobias)博士が率いる国際研究チームによって作られたもので、Ecology Letters( 2022年2月)でその詳細が公式に解説されています。 https://doi.org/10.1111/ele.13898 それぞれの鳥

ガチョウは世界最古の家禽か?証拠が中国でみつかる

現在、もっとも一般的な家禽であるニワトリ(Gallus gallus)が飼育されていたという確たる証拠は約4000年前以降とされています。 チャールズ・ダーウィンは、『The Variation of Animals and Plants Under Domestication』の中で、ガン類であるガチョウの家畜化は非常に古い時代であるとしています。それは、考古学的な証拠から、これまで約3500年前のエジプトだといわれてきました。古王国時代(紀元前2686年~1991年)の