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読書感想文 「狼と香辛料」

私はライトノベルも好きでよく読みます。その中で今シーズン再アニメ化された「狼と香辛料」を読みました。その感想を書いてみたいと思います。geminiで出てきた紹介文を挙げておきます。

行商人ロレンスと狼神ホロが織りなす、中世ヨーロッパ風世界を舞台にした新感覚ファンタジー経済小説、『狼と香辛料』。
旅の道中、荷台に潜り込んでいた美しい少女ホロと出会ったロレンス。彼女は豊穣を司る狼神を自称し、故郷を目指して旅をしたいと申し出る。
ホロの聡明さと可愛らしさに惹かれたロレンスは、共に旅をすることに。行商の知識と経験を持つロレンスと、鋭い嗅覚と知恵を持つホロは、各地で様々な事件に遭遇しながらも、絆を深め成長していく。

ライトノベルはゲームの世界観というのも多いです。この小説もまた中世ヨーロッパ風の世界観の中で物語は進行していきます。そのなかでも「狼と香辛料」は商人の旅の話です。魔王や魔法使いが戦闘を繰り日遂げるという話ではありません。戦闘シーンもあることはあります。でもそれはメインではありません。

商人が市場というか商品をめぐる経済小説という側面があります。例えば一巻は銀貨の改鋳をめぐる怪しい話から物語は展開していきます。

改鋳とは銀貨を溶かして、銀の濃度をかえた銀貨を作ることです。日本でも江戸時代に貨幣の改鋳は何度も行われ、逼迫した財政を水増しした貨幣によって切り抜けようとしました。

改鋳されることを事前に知っていれば、うまく立ち回ることによって利益が出ます。知識と知恵の勝負です。剣や魔法で戦うというバトル小説も面白いです。でも知恵を絞り、時にだましあいのような交渉をするのにワクワクしてきます。

もう一つの魅力は賢狼ホロの可愛さでしょう。見た目は少女のようですが、何百年も生きていて主人公の商人ロレンスよりも賢いです。交渉の場でもロレンスができないような、巧みな話術で交渉し利益を上げていきます。かわいさと賢さと強さを持った狼です。普段は人間の姿をしていますが耳と尻尾が生えています。


狼は日本では絶滅しています。私にとって狼とは滅びを意味します。人に恐れられ、人に狩られていきました。一匹が死に、二匹が死に、大勢が死んでいったのです。ホロは生まれ故郷の北の大地をとりあえず目的地にしています。

もし日本で狼が生きていたとしても、もう故郷に帰ることはできません。故郷は人間の土地だからです。狼が目指すのは楽園に違いありません。私が想像する狼は雪で覆われた大地を、数匹の群れで疾走する姿です。狼の尻尾は特徴的で犬とは違います。時にトウボエをしながら楽園を目指します。楽園とはどんなものなのかそれはわかりません。どこにあるのかもわかりません。ただ大地の先にあるはずのものです。


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