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SNS新時代は撮影1回で10本動画を作る時代?

2022年の今、個人でも企業でも、SNSのショート動画を駆使したプロモーションはもはや必須の時代に突入しましたよね。
動画制作を受ける側は、これからのショート動画に対する強いニーズとそれに対応するための手段と考えを持ち、撮影を発注する側もその理屈やメリットを把握する。
このように双方の理解が深まることでPR効率が飛躍的に上がると私は考えています。
今日はそこを深堀して書きたいと思います。
この記事が動画に関わるあなたに少しでもお役に立てれば嬉しいです。


PRしたい側のよくある悩み

私は会社で広報担当になって発注側として映像制作の現場や舞台裏へ触れることで色々と疑問を感じています。

「時間・コスト・クオリティ」のバランスについてです。

TV番組・CMや10分を超える企業PR動画・人事採用動画など「一球入魂の作品」を作るとなると、発注する側も少しでもクオリティの高いものを長く使いたいと考えているので制作費が高額であっても折り合いがつくことが多いと思います。

しかし、これだけSNS(特にショート動画)が浸透しているとSNS投稿用の素材の確保もとても大事になってきます。

そんな中で1商品1動画でSNSへアップするために映像制作を依頼しようなんてすると、費用対効果が合わないと感じることがほとんどです。

特にSNSは情報の流れが早い媒体なので、投稿回数も多いし、同じ商品でも販売期間中に複数回に渡ってプロモーション動画を活用したいシーンがでてきます。

そのようなケースに対応するには、撮影する側が「1回の撮影で複数の動画を生み出すチカラ」を養う必要性があります。

横動画から縦動画を作る工夫

とてもわかりやすい例をまずご紹介します。
先日このような記事を書きました。

その時、事例で上げたのがこちらの動画でした。

撮影前からお店の方と色々打合せをして今回は、
・HPでも使える横動画
・Instagramのリール動画としても投稿したい

この2つのオーダーをいただいておりました。

ただし、事前に絵コンテやストーリーなどを共有するようないわゆる「撮影のための撮影」みたいな準備は全くせずに、あくまで普段通りのオペレーションを行う中での撮影を行いました。
(事前にすり合わせをしたのは、お店のコンセプトに関するお話と他の美容室が公開している今回作りたい動画に似たYouTube動画を1本共有したのみです)

実際にオペレーションを行うのは1回のみです。
そこで撮影自体は横で撮影し、編集で横動画と縦型動画の2種類を作りました。

こちらが作った縦型動画です。

HPでもSNSでも両方使いたいからと、縦と横で2回ずつ撮影するのは非常に大変ですし、撮られる側においても時間と負担がかかります。

最初から「SNSにしか使わないから横動画は要らない」などのように用途が限られている場合は除きますが、基本ベースは横撮影をしながらどう縦にも利用できるかを考えながら撮影するテクニックが必要です。

1回の撮影から10本動画を生み出す工夫

今回の美容室の事例だと、1回の撮影で縦・横の2本しか制作しませんでしたが、継続した店舗PRを考えると更に多くのパターンの情報の切り口を作り出すことが来ます。
今回の動画のストーリーを書き出すと、

①町の中のどういう場所でどのくらい大きさの建物なのか
②店内入り口はどこからどう入るのか
③店内全体の雰囲気
④ヘアカラー→ヘッドスパ(頭浸浴)→まつ毛パーマ→カット
⑤最終完成形と周辺の雰囲気
⑥カットが終わるとどういう気持ちになれるのか

このような流れの60秒動画が2本です。
ここから更に実際にSNS投稿内容を想定した撮影を行うとすると…

①町の中のどういう場所でどのくらい大きさの建物なのか
→店舗周辺の撮影量を増やし、駐車可能台数や周辺の交通量、交差点右左折の注意事項などの「店舗のアクセス情報系の投稿に活用」10秒動画
②店内入り口はどこからどう入るのか
→会計カウンター周辺を撮影して対応クレカやQR決済など「会計決済情報の投稿に活用」10秒
③店内全体の雰囲気
→店内の小物や照明、カーテンなど雰囲気に影響する物撮りカットで構成しますが、投稿内容はお店に来て欲しいターゲット層へコンセプトメッセージを乗せた「想いを伝える動画」10秒
④ヘアカラー→ヘッドスパ(頭浸浴)→まつ毛パーマ→カット
・ヘアカラー
・ヘッドスパ
・まつ毛パーマ
・ヘアカット
それぞれのパートでの「テクニックやこだわりの文章を添えた動画」10秒×4本
⑤最終完成形と周辺の雰囲気
「仕上がりの時にこだわりの文章を添えた動画」10秒
⑥カットが終わるとどういう気持ちになれるのか
「どんなお客様に喜ばれているのかユーザーボイス的な文章やエピソードを添えた投稿動画」10秒

このように各パートの訴求ポイントを細分化して様々な切り口で動画をアップすることを想定すれば1回の撮影で、短尺動画が9本も作ることが可能です。

ここで大事なのは、SNSの投稿を想定した映像を撮影側がどこまでイメージ出来ているかが大切です。

ゆえに撮影者自身がSNSに詳しかったり、インフルエンサーであるとまさに適任ですぐに理解してくれると思います。

もちろん、あらかじめ話し合ってすり合わせるのも良いですし、撮影後に提案して必要かどうかの判断を仰ぐでも良いです。

ティザー動画に活用する事例

【キャンペーンティザーPV】

【キャンペーン本編PV】

こちらはかみのやま温泉おやど森の音で制作した今年の秋キャンペーンのPR動画です。
上がティザー動画で秒数は15秒、本編の素材を利活用して制作しています。

ティザーなので焦らすための告知動画です。
夜が明ける直前のような高揚感のあるBGMを使って期待値が上がるような内容に仕上げました。

そこから数日後に本編が公開されます。
本編は43秒でキャンペーンのイメージをじっくり伝える内容になっています。

ティザーと本編は「内容は同じだが、見え方が少し違って見える」というようなバランスが理想です。
上手に素材の使いまわしが気付かれないような演出が今後は重要になってくると思います。
そもそも相当のファンじゃない限り、動画自体のテイストを変えてあげれば気が付かないと思います(SNSで流れてくる情報をそこまで真剣に受け取る方も多く無いと思います)

撮影時のテクニック

これらを実現させるためには少し細かくなりますが、技術的にもいくつかの点を注意しながら撮影することが求められます。

・4K撮影で少し引きで撮る
→FHD書き出しであれば編集時に縦・横のスペースを有効活用できる。
(2倍まで拡大しても画質の劣化が起きませんし、場合によっては1カットから2シーンを切り抜けることもあります)

・撮影シーンの周辺にあるブツ撮りを多めに撮っておく
→縦動画になると上・中・下段とカット数を増やすことができるのでその対策です。

これからの展望とまとめ

色々と書いてきましたが、SNS投稿用のショート動画は既に商品PRにおいて認知・興味を獲得するために重要なポジションにいます。

ショート動画で認知・興味を獲得し、YouTubeのロング動画で十分な情報を与えて購入とする流れが現在です。

ただし、このロング動画(YouTube)の部分が今後は更に短いInstagramリール動画やTikTokロング動画に移行していきそうな気も個人的にはしています(情報過多による忙しさで、購入までの情報量が少なくても買う人が増えてくる)

これからは益々このような時流を汲みながら、映像制作は臨機応変に対応していく必要があるんだなぁとしみじみ実感する今日この頃です。


all photos & movie 木幡純一
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