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【見学記】【福岡市美術館】展覧会「オチ・オサム展」「コレクション展 近現代美術」

 はじめましての人ははじめまして、ヤマガと申します。

 先日、福岡市美術館に見学しに行ったので【見学記】をまとめました。


展覧会

「オチ・オサム展」

会期:2024年1月24日(水)~ 3月24日(日)

「コレクション展 近現代美術」

会期:2023年6月22日(木)~ 2024年4月30日(火)

・料金
 一般:200円(150円)、高大生:150円(100円)、中学生以下:無料
 ( ) 内は20名以上の団体料金。

会場

🏛️福岡市美術館

開館時間:9時30分〜17時30分(入館は17時00分まで)


「オチ・オサム展」

 この展覧会では、オチ・オサムの九州派時代から晩年までの作品・資料約180点を紹介しています。

 オチ・オサム(1936‐2015)は福岡を拠点に活動した前衛美術グループ「九州派」の中心メンバーとして活動し、独自の表現を探究し続けました。

 高校時代に美術部に在籍していたものの、大学などで専門的な美術教育を受けることなく、19歳の1955年に精版印刷(現在の凸版印刷)に就職しました。その傍らで画業にも勤しみました。

 「九州派」時代に、日常にありふれた身近な素材を用いながら、オブジェ制作を主導し、福岡、東京、アメリカでも活動しました。その後2015年に亡くなるまで、ぶれることのない軸を感じさせる福岡の現代美術作家でした。

 彼のキャリア前期を決定づけた契機は、福岡出身の画家・桜井孝身との出会いであり、この二人の出会いこそが前衛美術グループ「九州派」結成のきっかけとなりました。
 彼の後期の代表作は「球体シリーズ」であり、宇宙空間のような仮想空間に色とりどりの球体が浮かぶ抽象的な絵画です。

 本展で展示されている作品群は、オチの独特な世界観を物語り、創造的であり続けること、作る喜びのようなものを感じます。

《出口ナシ(再制作)》

印象に残った作品

・III‐14(題不詳)(1970‐71)
 第二次世界大戦で日本に落とされた原子爆弾を表していると思われます。白と黒のコンテできのこ雲が描かれ、男性器を重ね合わせています。目に入ったとき、インパクトがありました。

「球体シリーズ」
・《デイドリーム》(1970s)
・III‐26(題不詳)(2010s)
 所々線のゆるみが見受けられ、筆を持つ手の震え、衰えなど、自分自身と向き合いながら、球体の世界を追求していたことがわかります。静謐な世界観でした。

・《フォーエース》(2010s)
 

「コレクションハイライト」

印象に残った作品

ダリ《ポルト・リガトの聖母》(1950)

 この作品は、ダリの愛妻であるガラを中央の聖母マリアに置き換えています。題名の「ポルト・リガト」は、ダリとガラが戦後に移り住んだスペインのカタルーニャの港町であり、この風景が作品の背景となっています。

 また、ダリはこの時期に宗教への回帰と科学信仰という矛盾した状態を頻繁に表現していました。この作品は、その複雑な思考と芸術的な表現の一端を示しています。


マルク・シャガール《空飛ぶアトラージュ》(1945)

 シャガールは帝政ロシアのヴィテブスク(現・ベラルーシ共和国)で生まれ、1910年にフランスに移住してエコール・ド・パリの画家として活躍しました。第二次世界大戦が勃発すると、ナチスの迫害を逃れてアメリカへ亡命せざるを得なくなりました。さらに、終戦の前年に最愛の妻ベラを病気で失ったことで、彼は悲しみに暮れ、一時的に制作から遠ざかりました。

 《空飛ぶアトラージュ》は、シャガールが絶望から再起を期した作品。そりはアトラージュと呼ばれ、シャガールの故郷や彼の人生の一部を象徴しています。そりに乗っているのはシャガールと亡き妻、そして娘のイダと思われます。夢と現実が混ざったようなシャガールらしい幻想的な情景の中に、平和への希望が込められています。


・インカ・ショニバレ CBE《桜を放つ女性》(2019)

 地球儀の頭部を持つ女性が、ライフルを構え、銃口からは満開の桜と枝が放たれています。女性の頭部の地球儀には、女性の権利獲得のために尽力した世界各国の女性たちの名前が記されています。
 色彩豊かで、銃口から発される桜には、エネルギーのようなものがあり、エールが込められていると思われます。何度見ても印象に残ります。

インカ・ショニバレ CBE《桜を放つ女性》(2019)


・田中千智《生きている壁画》(2023~2025)

福岡市美術館HPより
田中千智《生きている壁画》



 ここまでお読みいただきありがとうございました。また次の記事でお会いできたらと思います。

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