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歌舞伎町の青空。

15年前の今日。私の実家では、「神棚」が燃えました…。

朝、起きると共に実家から電話があり、出てみると慌てた妹のヒロちゃんの声で、何の脈絡もなくこう切り出されたんだドグ。

「お姉ちゃん! チョットうち、神棚が燃えてんだけど?」
「…はあ!? 神棚が…?」
「アタシもう仕事行くけど、また火が点くかもしれないから、 家に来て!」


そう言ってガチャンと電話は切れたドグ。火事? ボヤ?  一体どの程度の出火?

つーか、
また火が点くかもしれないんだったら、お前は家にいろドグ〜!! 


そんなわけで慌てて実家に駆けつけると、我が家のボヤは本当に「神棚一つ」燃えたきりで鎮火しており、一階の部屋はススだらけになっていたドグ。

妹と祖母の間には第一発見現場特有の、

「おばあちゃん、神棚が真っ赤に·····!」
「火の元を消せ!」

などのやりとりがあったみたいドグけど、何故この状態で定時に出社していくんだドグか。。。妹の気分は計りかねるところだったドグ。

しかし、燃えたものが「神棚」であったため心配になって祖母を見たドグけど、祖母は意外と落着いていたドグ。恐らく出火原因は神棚のロ·ウ·ソ·ク....。

だけど、命も無事だったことだし、何も言うまいと私は後始末にかかったドグ。

家の中はいたるところに真っ黒なススがはびこっており、現場をホウキで払ってるうちに何故か私は、2001年に新宿·歌舞伎町で起きた、雑居ビル火災のことを思い出していたドグ。

燃えた雑居ビルは四階建てで、消防法に明らかに違反した造りをしており、逃げ出せなかったビルの従業員とお客さん四十名近くが犠牲になったんだドグ。

この火災現場にあたる雑居ビルは、 燃える一年前にドグ子が働いていた新宿·歌舞伎町のマンガ喫茶のすぐ近くにあったんだドグ。

「歌舞伎町にあるマンガ喫茶」で、何故働こうという気になったのか。

恐らくあの頃、ドグ子は雇ってもらえるならば大概の場所では文句も言わずに働けたんじゃないかと思うドグ。

それくらい当時私を雇う相手は見つか
らず、「頼むから肉食わせてくれ」といったオーラを出していたドグ子は、片っ端からバイトの面接を受け、落ちていったドグ。

何せ、吉野家のバイトも落とされるくらいなんだドグ。(*´Д`)

牛井一つ満足に作れないと思われてい
た私の志望動機は、「肉くいたい」気持ちのみ。マンガ喫茶のバイトもお金を稼い
で「肉くいたい」以外に他ならなかったドグ。
 
しかも志望動機は一生懸命考えた結果、

「マンガと喫茶が好きなので…」

という、しょうもないものだったドグ……。
そんなわけで歌舞伎町に一年間、通勤していたドグ子なんだドグけども。たかがマンガ喫茶のバイトといえど、

歌舞伎町は場所が場所だけに、仕事で行き帰りする際にはかなり へビイな人生模様を覗かねばならない場所だったドグ。

朝八時にマンガ喫茶へ出勤すると、ビルの陰から半裸の老女が出てきて、
「返せヨーッッッ?」
と、号泣しながら道に訴えかけたりしているんだドグ。

返せって 何を……? 人生を……?

そう。朝の八時じゃまだまだ夜が続いているんだったドグ。(*´Д`)

つづく

今回のお話は、2005年に出版された『トーキョー放浪記』(光文社知恵の森文庫)のエッセイを書き直したものです。

神棚燃えるなんて、そうそうないことだから。(*´Д`)

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