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姉妹の絆が深まったニューヨーク

私の初めての海外旅行はニューヨークだった。30歳の頃、今から40年程前の事だ。その頃は中々長期休暇が取れなかった。上司に「10日間休ませて下さい」と言ったら「帰ったら席がないかも知れんぞ」と言われ、肩身の狭い思いをしながら出かけた旅だった。

何故ニューヨークなのか。
それは妹が語学留学していたからだ。
この時を逃すと中々海外には行けないと思い、思い切って旅立った。

その10日間の旅で私は多くの経験をした。

私たち姉妹は正反対の性格で妹はチャレンジャー、私は慎重派だ。そんな私がスラム街に近い場所を夜間歩いたり、ニューヨーカーのように地下鉄やバスを使って移動したり、いつもとは違う弾けた経験が出来きたのは妹がいたからだ。彼女の存在は大きかった。

ニューヨークの旅はトキメキの連続だった。ソーホーでは、現地に住む日本人アーティストが開催しているバザー会場でアメリカ在留邦人向けのミニコミ誌から取材され、数日後に二人の写真が雑誌に大きく掲載された。奇跡のような出来事だった。

同じ日にソーホーで日本の有名な舞台演出家にも出会った。丁度その時ニューヨーク公演があったのだ。普段の私なら遠くから見ているだけなのだが思わず「写真を撮ってもいいですか」と図々しくお願いした。人は旅人になると大胆になるものだ。

シャズの聖地「ヴィレッジ・ヴァンガード」を訪ねた時も嬉しい体験をした。ジャズバンドの音に酔いしれていると、注文していないのにブルーのカクテルがテーブルに運ばれ「あちらの方からです。」と言われて驚いた。旅先ではこんなこともあるんだとときめいて、ご馳走してくれた男性に軽く会釈をする大胆な自分がいた。

エンパイア・ステート・ビルに昇って、ニューヨークの展望を楽しみ、お決まりの記念写真を購入したが、残念な事に帰りの道中で失くしてしまった。これもまたニューヨークの思い出の一つだ。

妹と見たブロードウェイのミュージカル「スターライトエクスプレス」や自由の女神があるリバティ島への「スタチュークルーズ」など二人でたくさんの時間を共有した。そのことが姉妹の絆を深くしたと思っている。
妹と一緒だったからこそ体験出来た豊かな旅だった。

最終日には空港まで妹が送ってくれた。私は彼女を一人残して自分だけ帰国するのが寂しくて、手を振りながら泣いていた。妹を見ると私以上に大きな声で泣いていた。旅が姉妹の絆を強くしたのだ。それは人生で初めての経験だった。

あれから40年、私はまたいつか妹と二人でときめきの旅がしたいと思っている。ニューヨークの時のように二人の絆を深めるために。




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また明日お会いしましょう。💗





#忘れられない旅

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