女性を幸せにできない『紳士さ』なんていらない
こんにちは。カワウソ(@english_otter)です。
日伊通訳のマッシさんという方がnoteを書いていたので、それに対する反論です。
マッシさんの言いたいことは理解できるし、別に「女に優しくするな」と言いたいわけでは決してない。
また、彼に恨みつらみは全くない。彼は尊敬すべき人物だ。
しかしそれでも、マッシさんのいう『紳士さ』に疑問を抱いている。
より正確に言うと、『紳士』は女性を幸せにできない。
短期的、ほんの数分なら紳士さは女性を幸せにするのかもしれない。
しかし、あえて言おう、長期的に見ると、イタリアの『紳士さ』は女性を幸せにできない。
マッシさんは、日本の男性は女性をアクセサリーとみなしていると書いている。
しかし僕は、『紳士の国』イタリアが、『女性をアクセサリ扱いする国』日本と同レベルになっている現状を指摘する。
ここで皆様に考えてほしいことがある。
本当に、紳士は紳士なのか。
僕は、女性を幸せにすることが紳士さの基準だと考えている。
その基準で考えると、マッシさんの言う『紳士さ』は不十分で、率直に言うと『旧来型』の紳士といわざるを得ない。
なぜ、ここまで僕がこき下ろすのか。それは、もし日本で何も考えずに彼の『紳士さ』が浸透すると、日本の女性が余計に苦しめられる可能性があるからだ。
例えば、女性の人権がないがしろにされていたからこそ、海外の女性が思いつかなかった #KuToo 運動が発足した。
海外にも、ハイヒールの強制で悩んでいた女性はいただろうけれど、しかし #KuToo運動は日本発祥なのは間違いない 。
日本は、女性への人権に関して途上国だからこそ、むしろ、本当に女性が望む社会、本当に女性が活躍できる社会をゼロからつくることができると思う。
このnoteが、日本を、本当に女性が望む社会に変えていく一つのきっかけになることを心から望む。
(このnoteは、別に日本スゴイだとか、排外主義をうたうものでは決してない。
むしろ、本当の意味で紳士になれという意味を込めている。
それがどういう意味なのかは、読んでくれるとわかるだろう。
このnoteはマッシさんへの批判だ。
単なる感情的な批判ではない。イタリアが紳士の国というのなら、なぜイタリア女性は不幸なのだろうか。
それが説明できないのなら、ぼくの考えでは、紳士だと言えない。
ただ、ぼくは、女性の幸せに結びつくことなら最大限のことをやるし、女性を幸せにできないことはやらない。
その意味で、マッシさんのいう『紳士』ははっきりいって、女性を幸せにできない。
以下、なぜ紳士的な振る舞いが女性を幸せにできないか書いていくとともに、これからの『新しい』紳士の姿を提案する。)
女性の容姿をほめる際には注意が必要
マッシさんのnoteでは、ミスドでのできごとが書かれている。
店員さんがドーナツを作る作業服を着ていたので「かわいらしいね」とほめたという。
はっきり言わせていただく。この行為は紳士ではない。少なくとも、容姿に関する言動を嫌がる女性は存在する。
横浜市の調べでは、セクハラだと感じた内容の42%は、容姿についての話だったという。
もちろん、この42%という数字の中には、「不細工だね」「女子力が足りない」といったネガティブな話が多数派だろう。
しかし、男性側がプラスの意味だと思って発言しても、セクハラになり得るケースが存在する。
僕の彼女がそうだし、東大首席卒で有名な弁護士・山口真由さんもそうだ。
あるテレビ番組で山口真由さんは、「勉強ができるところもカワイイ!」と男性に言われて、「この人より圧倒的に勉強ができるのに、まだ下に見られるのか……」と思ったそうだ。
断っておくけれど、山口さんはフェミニストというわけではない。ハーバード大学である中国人学生がレディーファースト精神をもって女性に対応し、その後性差別者のレッテルを貼られたのを見て、「アメリカのリベラルはもう宗教の域に達している」と思ったそうだ。少なくともアメリカエリートの価値観からすれば、コンサバ扱いされる人のようだ。
そのような、普通の、少なくとも極端なリベラルではない山口さんが、「カワイイ=下に見られている」と感じたのだ。
もちろん、例えばデートなどで相手の容姿をほめるのは何の問題もないだろう。あるいは家族に対してカワイイというのもお咎めがない。
しかし、仕事をしている人に「カワイイ」は、今の時代思いとどまった方がよい。あるいは、能力をほめるべき場で『美しい』もどうかと思う。
アメリカではオバマ元大統領が、日本では稲田朋美元防衛大臣が、女性の容姿をほめたことで批判された。
今回のマッシさんの場合、作業服に着替えていたのは、容姿とは関係ない、あくまでも仕事上のところだ。
だとすれば、「可愛らしいね」ではなく、「おいしいドーナツを今日も頼むよ」など、仕事の成果に関係したほめ方のほうが妥当だったのではないかと思う。
あるいは、容姿をほめるにしても、作業服ではなくて笑顔をむけてくれたとか、そういう際に言った方が紳士なのではないかと思う。
ほめることが是なのは全く否定しない。僕だって彼女や友人に対しては、容姿を含めて最大限に褒める。
ただ、ほめ方によってはセクハラに思う人もいるので、男性は最大限注意してほしい。
イタリアの紳士は女性に役立っているのか
もう一つ、示さなければいけないデータがある。
イタリアは紳士の国だというけれども、本当の意味で女性に優しい国では決してないということだ。
ジェンダーギャップ指数というのがある。
これは、男女平等がどのくらいうまくいっているかを表す指標だ。
日本が110位と、国際的にも女性が活躍できない国家であることが判明して話題となった(僕は、この指数のすべてが正しいとは思っていない。指標をいじれば日本はもうすこし上位になるだろうが、いずれにせよ、日本が女性に優しくない国であることは否定しがたい)
当然のことながら、日本はG7の中でぶっちぎりの最下位だ。女性政治家が少なく、女性の経営者も少ないこの日本の状況は、はっきり言って恥ずかしい国だ。
では、G7で下から2番目の国はどこだったのだろうか。
イタリアの70位だ。
たんに総合順位だけで判断すると本質的なところが見えないから、分野ごとに見ていこう。
僕が気になったのは経済部門の4分野。
その一つ、『同職種における男女間の賃金格差』の順位を見て驚いた。
まず日本。45位。総合で110位だということと比べると、検討しているといえる。
そしてイタリア。126位。
イタリアの女性は、同じような仕事をしても、男性よりもお給料をもらえない。紳士とはいったい。
あるいは、女性の仕事参加率。男性の就職率と女性の就職率の比を比べている。
日本は79位。お世辞にも高いとは言えない。
しかしイタリアは93位。紳士はどこへ行ったのだろうか。
また、日本よりイタリアの方がよい部分も当然あるのだけれど、少なくとも経済部門で考えるとそう芳しくない。
プロの職業についている女性の割合、日本は108位、イタリアは92位。
管理職以上の女性率は日本129位、イタリア92位。
言っておくけれど、イタリア人女性が日本人以上に主婦になりたがっているとか、専門知識を持ったイタリア人女性が少ないとか、そういうのは全くない。
むしろ、その逆だ。
主婦になりたい女性は、イタリアは日本の8分の1
高等教育進学率は、イタリア72%,日本62%
高等教育を受けている女性の割合が日本よりも多いし、主婦を希望しているわけでもない。にもかかわらず、この状況だ。
ぼくはこのデータを示すことで、イタリアがしょうもない国だといいたいわけではない。
ただ、分野によっては日本以上に男性が優遇されている国を『紳士の国』と呼ぶ気はさらさらない。ただそれだけのことだ。
((注)
なぜ経済部門で日本と拮抗しているイタリアが、総合順位では日本より40位も上なのか。
それは、イタリアは政治の部門で女性が活躍しているからだ(日本125位、イタリア38位)
ジェンダーギャップ指数は4つの部門から順位を決めているが、その中でも政治に関する部門のデータを重視している。
例えば、総合1位のアイスランドは、政治部門は1位だが、その他の部門はトップ10入りしていない。
やはり国の政治を動かす政治部門はかなり大切なのだ。
もちろんこのランキング上げに必死になるのは目的と結果が逆転してしまうのでやめた方がいい。何でもかんでも女性比率を上げるのもどうかと思う。
ただ、女性比率が上がったところで政治の質が悪化するとは全くおもっていない。日本の女性政治家がますます増えることを心より願っている。)
これからの『紳士』は『活躍したい女性を活躍させる』人
紳士とはなんだろうか。マッシさんのnoteを読んで考え続けていた。
もちろん、女性に優しくあることはマストだ。これを抜かしては元も子もない。これは、日本人男性が苦手とするところかもしれない。
しかし、女性への優しさが当たり前となっているイタリアでこのザマなのだ。
日本よりも圧倒的に女性に優しくしているはずのイタリアが、経済分野に関して日本と同レベルなのだ。
そこで考えた。
今までの『紳士さ』は、女性が社会進出できなかったころの名残があるのではないかと。
だからこそ、優れた女性に対しても、その業績ではなくて容姿をほめてしまうのだろう。
しかし、これからの『紳士』はちがう。
むしろ、活躍したい女性を活躍させ、自立させるのがこれからの紳士だと思う。
たとえば、高学歴な女性を尊重する。「女性であっても勉強すれば当然尊敬される」社会をつくる。
あるいは、仕事のできる女性も当然尊重する。ただ尊敬するだけでなく、賃金格差などの是正にも力を入れる。
勉強や仕事に限らず、活躍する女性を称賛する。頑張る女性を尊重する。
そして、女性が困っているときは、最大限にサポートをする。
無条件に尊敬することに加えて、彼女たちの夢を全力で応援する。ただエールを送るのではなく具体的に、金銭とか体調とか、そういう面で最大限支える。
日本、そしてイタリア、いや、世界各国の男性には、そういう『これからの紳士』であってほしい。
僕自身、そう意識して行動していく。
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