【★note名作記事】誰がコーネルおじさんを燃やしたか?
こんにちは!山田星彦です。
みなさま、私がnoteで見つけた素晴らしい記事を紹介する「★note名作記事」をご覧いただき、ありがとうございます。
私の紹介する作品を楽しんでいただき、紹介先の記事へ、スキ・サポートなどをお送り下されば、私としても嬉しいです。
今回は珍しくミステリを紹介します。
しかしこの作品、ミステリと言っても、おそらくみなさんが思い描くものとは丸っきり違っているでしょう(笑)
言葉で説明するのが極めて困難な作品なのですが、がんばって紹介します。
では、さっそく紹介をはじめましょう!
古南亭ドイル(本多)さん、[コーネルおじさん放火事件]
今回は、古南亭ドイル(本多)さんの[コーネルおじさん放火事件]を紹介します。ネタバレしますので、ぜひ先に記事を読んでください。
なんだこれは!?
『コーネルおじさん放火事件』
もうタイトルからしてヤバいですね(笑)
お分かりのことと思いますが、「コーネルおじさん」は、ケンタッキーのカーネルサンダースをもじったものです。つまり、この作品はカーネルサンダースを燃やした犯人を突き止めるという、れっきとしたミステリなのです。
この作品、僕は数ヶ月前にはじめて読み、かつてないほどの衝撃を受けました。おもしろいし、すごいんですよ。ですが、正直、みなさまに紹介してよいものか、ずっと迷っていました。
なぜかというと、たぶん九割の人はこの作品の意味が分からないと思われるからです(笑)
簡単に事件を要約すると、「コーネルおじさんを焼き殺した、頭が人間のニワトリを捕まえろ!」ですからね(笑)
「いるわけねーだろ!」
と思ったでしょう。
善良なnote市民に、ふざけていると思われかねず、(いや、ある意味ふざけているんですが)、この作品の真意を伝えられるか、ずっと不安だったのです。
ナンセンスと思わせて
しかし、この作品、意味不明なだけの物語ではありません。
たしかに世の中には、ぶっ飛んだ内容のナンセンスSFのような作品もありますし、実際の人物や団体をパロディの題材にした、ブラックコメディもたくさんあります。
この『コーネルおじさん放火事件』も、そういう要素を大量に含んではいます。
しかし、そんな「わけのわからない」ものが蠢く物語の中に、たしかにミステリとしての道が一本通っているのです。読者はその道をおそるおそる歩んでいくことになるのですが、ここに、暗い夜道を懐中電灯ひとつ持って歩くみたいな、肝だめし的スリルがあります。
たとえば、コーネルおじさんの目をどうやって燃やしたのかという問題があります。つまり、放火方法ですね(笑)
これが、ナンセンス小説だったら、その理由なんて語られません。「そうなったもんはそうなった」で済ますわけですが、それではとうぜんミステリにならない。
一方、この『コーネルおじさん放火事件』では、「おじさんのメガネが、本物のレンズが仕込まれたものとすり替えられ、太陽の光を集めて目を燃やした」という、たいへん合理的なトリックが用意されています。しかも、この方法だと、発火の瞬間、現場にいなくていいので、アリバイ作りにも有効♪
これは序盤に語られるのですが、思わず「おお!」と唸りました(笑)
ミステリの肝
さらに、犯人がすごい。
目撃者の証言から、犯人は「頭が人間のニワトリ」と、もはやミステリをやるつもりなんて毛頭ないような人相?が描かれ、誰しもが、「いるわけねーだろ!」と思います。
しかし、いざ犯人が分かると、「たしかにそういう奴いた!知ってる!」と僕はまたしても唸りました。しかも、奴には「ビジネスの敵を排除する」という、これ以上ない、まっとうすぎる動機がある(笑)
ミステリの肝は、「そんなわけない」と思わせておいて、それを実現することだと思うのですが、この作品のトリックや犯人などは、まさに「できるかよ」「いねーだろ」と思わせておいて、それを実現させているのです。
ふざけているように見えて、後に読者の裏をかく。なかなかに高度なテクニックではありませんか。
さいごに
紹介させていただいた、古南亭ドイル(本多)さん、そして、読んでくださったみなさん、ありがとうございました!
この作品以外にも、ドイルさんは小説をいくつも書いておられますが、そのどれもが、奇想天外なものばかりです。まともな作品をひとつも読んだ記憶がありません(笑)
しかし、その一方で、設定がきちんと練られていたり、今回のミステリのように、物語としての展開がおもしろかったりと、非常に理知的な部分も持っておられます。
あと、ドイルさんは若いのに、びっくりするくらい昭和に詳しいです。それに、作風と違って、話すととてもちゃんとした方なので(笑)、ぜひこれを機に、交流を持たれてはいかがでしょうか?
Forever 19 summer vacation !