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下ネタの是非(後編)

「後編」では「下ネタ」について、
脳科学的な見地から考察してみましょう。
そこで! 今回は、ぼくの盟友である
脳外科医・菅原道仁先生にご登場いただきました。

【菅原道仁脳外科医が語る「下ネタ論」】
私は、下ネタを人前で話すことが脳に2つの効果を
もたらす
と考えています。

まず、一つめの効果

「ひらめき脳」

…の下地づくりに意外と向いている…ということ。
下ネタとは、

「普通のなにげないひと言を違う視点で捉えて、
生殖器や性行為などを想起させる
言葉や動作による表現に変化させること」

…で、ひらめきのある敏感な脳じゃないと、そう簡単に思いつくものではありません。
すなわち「下ネタを考える」ということは、

「新しいアイデアを捻り出す作業」

…と言い換えることができます。
「新しいアイデア」は“無”から突然ポンと出てくるわけではなく、すべてが「過去のアイデアの組み合わせ」「視点の違い」から生まれまるもの──たとえば、どんなに腕の良い寿司職人がいても、カウンターのネタケースに魚がなければ寿司屋は開店できないように、「記憶」がなければ、新しいアイデアは発想できません。
そう!「新しいアイデアの捻出」は、側頭葉にある記憶(魚)をもとに、前頭葉(寿司職人)があらゆる
工夫(組み合わせ)を凝らし、お客を満足させる仕事を行うこと
と同じなのです。なかでも「シモ絡みの記憶」は、寿司職人にとって

「決して高級ではないけど、
脂が乗っていて丁寧に調理すれば
美味しく食べられる」

──いわば鰯(イワシ)みたいな存在で、一流の寿司職人はこういった下魚からも常に刺激を受け、お店を繁盛させているのではないでしょうか。

二つめの効果としては、

「メタ認知」

…を鍛えることができます。
「メタ認知」とは、自身の思考・感情や周囲の状況を客観的に評価し、それをコントロールすること
簡単に言ってしまうと

「自分の言動を空の上から
神様の目線で見るようなこと」

…です。申すまでもなく、
下ネタは相手と空間を選びます。
そもそも下ネタというのは、相当に高度な判断能力を要するんです。ですから

「こんなときにこんな話をしたら、
場が凍(い)てつくんじゃないか」

…というように、自己を客観的に評価する
「メタ認知」が重要になります。
「メタ認知」を上手に活用して、クスリと笑えるような下ネタをタイミング良く話せる判断ができれば、
その場を和ませることだってできるでしょう。
私たちの「メタ認知」は、脳の最前部にある前頭葉の、さらに前半分にある「前頭前野」が担っています。「前頭前野」は、人間がもっとも進化した部位で、他の動物と比べても人類が抜きん出て大きく発達しています。
下ネタを発言するときに、一番気をつけなければ
ならないことは

「この話を聞いた人はどう感じるだろうか?」

…といった発想を常に持つこと。思いつくまま節操なく口に出すのは、まったくもってよくありません。
好感度の上がる下ネタというのは、「メタ認知」を意識して、理性的に振る舞いながら語るものなのです。

ただ、一般論として下ネタは、やはり

「お下劣」

…と見なされがちなので、好き嫌いが大きく分かれるのはしょうがない。福山雅治さんがラジオなどで
好んで披露する下ネタも、

「福山さんだから許される」

…のではないでしょうか。

私としては、両刃の剣ともなりかねない、
危険度の高い「下ネタ」より、同様に「ひらめき」と「メタ認知」が必要となる

「おやじギャグ」

…をおすすめします。おやじギャグなら、万一スベったところで相手を凍てつかせるだけで済みますが、
下ネタだと女性に一生嫌われてしまう可能性もありますし、それどころか昨今の風潮ではセクハラとさえ見なされかねませんから…ね。

【結論】
下ネタは両刃の剣!
それよりは「おやじギャグ」のほうがおすすめ?

(※『モテと非モテの脳科学〜おじさんの恋はなぜ報われないのか〜』(ワニブックスPLUS新書/山田ゴメス・菅原道仁共著)より加筆・修正)

ぜひ買ってくださいm(__)m

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