やまだ

片田舎のバンドマン。 毎週日曜18時頃更新。

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最近の記事

170.人間観察

競馬場の近所に住んでいる。 全国に10ヶ所しかないJRAの競馬場のうちの一つである。 その近くに住む恩恵は、ウォーキングの時に外周の距離感がほどよいとか、その程度の事だ。 捻り出すとしたら ⚫︎開催の時期になるとタレント達がやってくる(興味は無いが) ⚫︎開催の時期、夜中に馬の鳴き声が聞こえる事がある ⚫︎風向きの調子が良ければ家まで馬の匂いが届く という非日常的な事がある。弊害があるとするならば ⚫︎各地から人が集まってくるので混雑する ⚫︎万が一ぶつかっ

    • 169.幸せな記憶

      毎朝、起きると必ず部屋の換気をする。 起きて、布団から出てすぐに家中の窓を開け放つ。暑かろうが寒かろうが、雪が降ろうが雨が降ろうが関係ないのだ。過去の空気を流し、新鮮な空気を入れて新たな1日に向かう。そんな気概。 その間にトイレを済ませ、着替え、歯を磨き、寝癖を治す。それらが終わる頃に窓を閉める。休みの日だろうと変わらず毎日やっている事。ルーティンってやつだろうか。 そんな事をしていると平日に時折、近所から朝食の香りが漂ってくる。分かりやすいのはソーセージの匂いだ。家庭

      • 168.夜中の気付き

        ある日の深夜、睡眠中の私は唐突に目を覚ました。声にならない小さな声が漏れ出てくる。 『あいたたたたたた』 左モモの内側がつって起きた。暗闇の中で悶える私。 例えばふくらはぎや足の裏がつったのならこうはならない。慣れない場所がつるというのは非常に痛いのだ。寝ながら出来るだけ患部を伸ばし、ほとぼりが冷めるのを待つ。しばらくすると痛みが治まり、再び眠りについた。 別の日の深夜、睡眠中の私は唐突に目を覚ました。声にならない小さな声が漏れ出てくる。 『あいたたたたたた』 両

        • 167. 爪とは何か

          生活する上で避けて通れない"信号待ち"という時間がこの世には存在する。 子供から大の大人まで雁首(がんくび)揃えて信号機という名の電子機器のふもとに並び、赤い発光体が青色に切り替わるのを待つという不思議な時間。無の時間とも言えよう。私も毎日の様に車でそんな時間を過ごす。 そして時折、ぼーっとその赤い発光体を眺めながら私は思う。 『(・・・一体これは何の時間なのだろか)』 人が生きる上で備える"本能"というものがあるが、その本能の中に"発光体の色の切り替わりを待つ"とい

        170.人間観察

          166.ジェームスと呼ばれた男

          凍えるような冬の合間に訪れた小春日和の日、私は街で酒を飲んでいた。 イベントに遊びに行った時に酒は飲んでいるものの、ただの酒飲みは久々だったのでゆったりと飲み、程よい酔い加減で1人帰路に着くことにした。だがタクシーをつかまえようとしたが見当たらなく、それを探して右往左往するというのも気が乗らなかったので久々に歩いて帰ることにした。 暖かい日が続いているがそんな事を感じさせない程、夜はしっかりと寒い。呼吸を繰り返す度に鼻先が冷たくなっていくのが分かる。私はフードを被り、ネッ

          166.ジェームスと呼ばれた男

          165.姪っ子と私

          私には姪っ子が2人いる。私の兄の子供だ。大体7歳と4歳くらいの姉妹である。 もしも違う土地に住んでいたらそこまで会う機会が無かったと思うが、兄夫婦が私の実家で親と同居しているので数ヶ月に一度、私が実家に帰るタイミングなどに度々遭遇する。 ただ、子供にとって数ヶ月に一度というスパンは長い期間になるので、何度顔を合わせようとも初対面の様な挙動で出迎え、言葉少なく緊張した面持ちでジッと私の事を眺めている。 まだ姉の方は生きてきた年数分、会った回数が多いので比較的肩の力は抜けて

          165.姪っ子と私

          164.書籍発売後

          早いもので、書籍を発売してから約一ヶ月が経過した。様々な方々に読んでいただき恐縮であり、感謝である。 私の中でこれまで制作と言えば音源だとか、あくまでバンドに付随するものだったが、今回は1人。バンドの曲作りの様にそれぞれの個性や感性が混ざり膨らむ様な相乗効果があるわけではなく、己の感性と閃きだけでなんとかするしかない、良いも悪いも全て1人で背負う作業。 それが故に自由であり、選択肢が多過ぎるが故の不自由もあったが、これはこれで思っていたより悪いものでもなかった。いや、むし

          164.書籍発売後

          163.続・歯の治療

          昨年の夏から月1のペースで歯医者に通っていた。 理由は歯周病がどうのこうので歯石取りがどうのこうのだ。 前回記した通り《痛くされるのは勘弁》という願いを伝えた上で治療を始めたが、初っ端から痛さ全開の治療を施され悶絶し、2回目は全く痛くない治療を施されるという、緩急を使い分けているというか、蓋を開けてみないと何が起きるか分からない、同じ治療でも人が変わると痛みが変わる施術を受けていた。 それから3回目と4回目の治療を終え、紆余曲折ありながらもついに最後の診察を迎えた。

          163.続・歯の治療

          162.歯の治療

          昨年の夏、歯が疼いた日があった。 痛みなどは無いし、このままほっといても良かったが、久しく歯医者に行ってなかったので点検も兼ねて行ってみる事にした。 昔から同じ歯医者に通っていたが、当日連絡しても入れず、予約してを取ろうにもだいぶ先になってしまうので、急遽違う歯医者に行く事にしてみた。 ネットで口コミやなんやかんやを調べて電話をかけた所、当日の診察可能な歯医者があったので早速伺ってみた。初見の印象はスタッフも多く、設備も建物も綺麗。受付の接客も申し分なく、非常に好感が持

          162.歯の治療

          161.ホームセンターにて

          ホームセンターが割と好きである。 まず店内に入った時の空気感が非常に平和である。スーパーも平和ではあるが、少し時間に追われている空気感があるので、ホームセンターの平和さには敵わない。 全国的にそうなのかは分からないが、私の地元のホームセンターはペットの連れ込みが可能である。連れ込む人をそんなに見た事はないのだが、たまに見かけると 『(嗚呼、平和だ)』 としみじみ感じてしまう。 以前、店に入った時にお爺さんが小型犬を連れて目の前を横切った事があった。だが、犬自身に歩く

          161.ホームセンターにて

          160.衝動買い

          コロナ禍以降、自炊を覚えた私は定期的にスーパーに通っている。最近の私の日常風景である。 この日もスーパーに入ると、いつも通り色んな人々が店内を往来していた。カートを押す親子、ニコニコしながら歩く老夫婦、真顔で淡々と買い物をこなす主婦。様々な人々が集うその様子は生活や営みの縮図の様にも見える。嫌いでは無い光景だ。 私はそんな人間模様を眺めながら淡々と商品を買い物カゴに入れて歩く。 一通り欲しい物を手に入れたのでレジに向かったが、その途中、じゃがいもを入手していない事に気付

          160.衝動買い

          159.中年

          昨年、ついに私は40代に突入した。ザ・中年である。 この国の男性の平均寿命は81.05歳(ちなみに女性は87.09歳)らしいので、気付けばほぼ人生の折り返し地点に立っているという事になる。そんな年齢に差し掛かったが今の所、相変わらず私は健康体。元気そのものだ。 思い返すと20代の頃、痩せている私に対して"30代になったら嫌でも太る"という予言を数々の小太りの大人達が唱えていたが、30代に入ると私は太るどころか逆に痩せてしまった。 30代後半に入り、私が太らない事実に直面

          158.2023年終幕

          2023年最後の日である。 早いものだ。ベタに時の流れが年々早くなっている気がする。いや、さすがにもう"気がする"という次元ではない。露骨に、あからさまに早くなっている。10代の頃は1週間という期間はそこそこの長さで、1週間あれば何でも出来る感があった気がするが、今の1週間は2、3日寝たら訪れてしまう感覚である。 だが流れが早かろうと遅かろうと、赤子からお年寄りまで全てが1年365日という時間を過ごしている。365日=31536000秒。等しく訪れた時間に対して皆さんはど

          158.2023年終幕

          157.書籍化

          自身のSNS上では既に告知させてもらったが、このnoteの文章を書籍化する事になった。約200ページの文庫本である。 世の中には沢山本を出している人はいるが、私の周りを見渡した時、音源や映像作品などを出している人はいるものの、書籍を出している人などいなかった。過去にも聞いた事が無く、それに気付いた時に思ったのだ《じゃあ、その1発目は私がやろう》と。やるからには全て自主で、本が出来上がるまでの工程を網羅してやろう。そんな意気込みで書籍化を決めた。 だが先に述べた様に周りでそ

          157.書籍化

          156.豆と私

          私には嫌いな食べ物がある。 《グリーンピース》という名の忌まわしき存在だ。 長身でヒゲも生えており、カテゴリーで分けたら中性的などではなく、割と荒々しい部類に入るであろう私だが、この緑色の小さな豆粒に対し、それなりの苦手意識を抱いている。 幼い頃、私があまりにもグリーンピースを嫌うので母親がカレーに入れて食べさせようという偽装工作をしてきた事があった。 苦肉の策だったのかもしれないが、"大好きなカレーになんちゅうもんを入れてくれてんだ"と猛烈な抗議行動により山田家では

          156.豆と私

          155.クリエイター

          noteの文章を読んでいたのだが、色々見ていると、note内にこんな文言がある事に気付いた。 【このクリエイターの***】 投稿者の事をクリエイターと称しているのだ。自分のページを見てみても同じ事が書いてあった。 そして思った。 『(という事は、私もクリエイターという事なのだろうか・・・)』 少し考え、更に思った。 『(・・・・・・)』 『(・・・クリエイター?・・私が?)』 己がクリエイターなどという自覚も意識も無かったのだ。正直、クリエイターというのはもっ

          155.クリエイター