やまだ

片田舎のバンドマン。 毎週日曜18時頃更新。

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最近の記事

191.連動する記憶達

少し短い小話を。 記憶が連動して、いつもこの動きをするとあの記憶を思い出す的な事があると思う。 例えば、家で水道の水を出すと、何故か決まって小学生の頃、雨の中を下校している景色を思い出すとか。例えば、洗濯物を干していると、決まって婆ちゃんとコタツに入っている景色を思い出すとか。人それぞれよく分からん連動で思い出す記憶。 前者の様に水繋がりで連動する記憶や、後者の様に何の脈絡もない所から連動する記憶がある。 幼少の頃、近所の子供達と遊んでいた時の事。 子供の数が今より多

    • 190.時を経て

      2024年、6月下旬。梅雨真っ只中の事。 夕方頃、家へ帰り玄関のドアを開けた瞬間、ムワッとした熱気が体を包んだ。日中の熱気がこもり、家の中に滞留している。私は家中の窓を開け放ち、換気を行う事にした。だが、リビングの窓を開けようと近付いた瞬間、私は思わず声を上げた。 『なんじゃお前らは!』 窓際のサッシ付近にアリの軍団がたむろしていたのだ。 昨年の秋、突如として発生したアリ軍団。紆余曲折を経てお引き取りいただいたあの日(前回参照)。あれから早半年。何の前触れもなくカムバ

      • 189.侵入者

        昨年の秋口。 過ごしやすい気温の日が続き、夏の終わりを感じていたある日の事。我が家のリビング、窓近くの床でアリを見かけた。よく外で見かけるアリとは違う種類。あれは大体5mmくらいのサイズだと思うが、それよりも小さな約3mm程度のアリ。 『(あらかわいい)』 などと思いながらその行方を目で追っていくと、窓際に束ねられたカーテンの影に入っていった。まあ、いちいち目くじらを立てる事でもない。ちょっと迷い込んだのだろうと微笑ましい心持ちでそれを眺めていた。 ─翌朝─ ソファ

        • 188.夜の生き物

          年始、寝てる最中にケツやら足が攣(つ)った日が続いた結果、体を動かす事を決意した。近所の競馬場の外周を歩く約3キロのウォーキングである。 開始したのが今年の2月。あれから約半年が経過しようとしている。 そして現在、やはり体を動かすという事は性に合わないので早めに断念をしていた。 なんて事にはならない。自分に課したルールは守る習性があるので今も続けている。数ヶ月続けた結果、歩く頻度や条件はライフスタイルに合わせて徐々に変化し、平日の天候が健やかな夜に歩くという所に落ち着い

        191.連動する記憶達

          187.すれ違い

          《人だけが歩く分には問題無い広さだが、車が通るとその両サイドに一人、二人分しか通れなくなる幅の道》 という道がどの街にもあると思う。 先日、私は駅前のそんな道を歩いていた。 日中の太陽が照りに照った真夏さながらの気温の日。 『(暑いわあ、暑いわあ、早く涼しいとこ入りたいわあ)』 なんて心で唱えながら歩いていた所、後ろから音が聞こえた。振り返ると車が数台連なって来ている。私は即座に 『(あーはいはい。避けますよー)』 と、車の為に道を空け、端っこに寄って歩き続けた。

          187.すれ違い

          186.蛇と対峙した日

          ある日の夜中、不思議な夢を見た。 柔らかな日差し。生き生きとした緑が生い茂る草原に私はいた。空は青く澄み渡り、透き通った風が吹く。非常に爽やかな景観。その中にある轍(わだち)に沿って歩いていた。 いつからいたのか、最初からいたのか分からないが、隣で嫁さんが一緒に歩いている。彼女は私に何かを話しかけ、それに相槌を打つ。緩やかに流れる時間。 穏やかな風景ではあるが、その中に少しおかしな点があった。やたらと蛇がいるのだ。黒、白、銀、金、様々な色の蛇がいる。"足元を埋める様にい

          186.蛇と対峙した日

          185.洗っちゃいけないもの

          近所のスーパーに食材を買い出しに行った。 携帯のメモに書かれた食材を順々に買い物カゴに入れて歩く。だが、その途中に気付いた。 『(・・・ごぼう入れ忘れたな・・)』 私は引き返してごぼうの元へ向かった。通い慣れたスーパーともなると、どの位置にどの商品が置いてあるのか脳内にインプットされている。ゴルファーがホールまでの道筋が光って見える様に、私にも、ごぼうへの道筋が光って見える。最短距離で歩を進めると実にスムーズにごぼうの元へ辿り着いた。 だが、ごぼうを見て思った。 『

          185.洗っちゃいけないもの

          184.ミラーボール下の雑観

          友人のDJイベントに誘われ、遊びに行った。 自分がやってきたバンドや普段聴いている音とは異なるインストの打ち込みの音楽が鳴っている。それに反応して踊り出すお客。何となくその景色を眺めながら"何故、音の連なりが人を高揚させるのだろうか"と。考え込んでしまった。 別にこの場所だけが特別なのではない。きっと今、この街はおろか、他の街や他の国、それぞれの土地で同じ様に音が人を歓ばせる景色が流れているのだろう。 大陸間の交流がなかった古の昔からその土地土地で、他国だろうと、地球の

          184.ミラーボール下の雑観

          183.きのこの国

          住んでいる街の通い慣れた道を通っていると、たまに気づく事がある。 『(・・・こんな建物あったっけ?)』 とか 『(・・・こんな店あったっけ?)』 とか。 あまりにも日常の風景と化していてその存在を認識していないのだ。この街に何年住もうが、その道を何回通ろうが、そういった事がよくある。 先日も地元の田舎道を車で走っていると、あまり見慣れない看板が目に入った。何度も通った事があるが初めて認識した。古い看板なのでだいぶ昔からここにあったのだろう。 《きのこの国 〇〇m

          183.きのこの国

          182.伝わらない事

          人にはそれぞれ趣味趣向というものがある。 服あたりは分かりやすいのでは無いだろうか。モヒカン、鋲ジャンが好きな人からフォーマルなスタイルが好きな人まで色々ある。音楽もそれぞれだ。パンク、ロック、ポップス、ヒップホップ、レゲエなどなど。 それは感性で判断している事なので、大体の人はそこに共感が得られようと得られなかろうと好きなものは好きなのだと、その趣向に傾倒する。 笑う事もそうである。笑うツボがそれぞれある。お笑いだとこの系統が好きだとか、この芸人が好きだとか、好みのジ

          182.伝わらない事

          181. 私とエニシダ君の700日 後編

          《あらすじ》 エニシダ君という名の植物を屋内で育て枯らしかけるも、家の前の土に植え直した所、1年半をかけてとんでもない大きさに成長した。その矢先、大家からこんな通達を受ける事になる。 『今、敷地内の除草したり庭木の整備してるんだけど、山田さんちの前の大きな植物も刈らせてもらうね』 エニシダ君、伐採の危機である。 ────────────────────── 私は突然の言葉に息を飲んだ。ちょっと待ってくれと。確かに大きくなり過ぎたが、エニシダ君なりに精一杯リボーンした

          181. 私とエニシダ君の700日 後編

          180.私とエニシダ君の700日 前編

          ガラにもなく何年も花を育てている。 育てる花に対して特にこだわりはないが、購入するとなると何かは選ばなければならない。判断基準というものが必要になる。 私の場合、その基準として用いるのが花言葉である。出来るだけ辛気臭さを感じない花言葉のものを買う様にしている。 ネガティブな花言葉だと、"裏切り"のカサブランカとか"絶望"のマリーゴールドとかになるのだが、そんなミステリー作品の様な名前のものを育てるのは気が引けるし、こっちは愛情を持って育てているのに《絶望》を感じられても

          180.私とエニシダ君の700日 前編

          179.道の駅のファン

          次書く物はどうしようか 毎週そんな事を考えているが頭を捻っても出てこない事が往々にしてある。そんな時はとりあえず外に出る事にしている。頭の整理をしつつ、何か起こらないかとか、人間模様だとか様々な事象を探りに行くのだ。 週末によく行っている1人昼メシ。これは習慣なのだがその中の何パーかは観察目的である。別に食いたいと思ってなくても行く時もある。店に並んでメシを食べる事は嫌いだが、あえて並んでみる事もある。 1発でエピソード化できる出来事などそうそう起こらないが、人の表情、

          179.道の駅のファン

          178.社会問題との遭遇

          先日、蕎麦を食べるべく山形へ向かっていた。 時折、起きた時の閃きに任せてフラッと何処かへ出掛ける事がある。その時の選択肢に山形が入っているので数ヶ月に一度は行く機会がある。冬は雪の猛威があるので流石に足は遠のくが、今くらいの季節はもう雪も無いので久々に向かう事にした。 福島-山形間を結ぶ高速道路に乗り車を走らせる。比較的新しい道路なので道が綺麗で走りやすい。 新緑や田畑、遠くに連なる山々、澄んだ空気が景観を豊かにしてくれる。幸いこの日は天気が良く、雲一つない晴天。より一

          178.社会問題との遭遇

          177.和式と洋式

          定期的にトイレで大をするが、そのトイレに対して"こうあって欲しい"という思いがある。 まずトイレは極力綺麗であって欲しい。そして洋式である事。ウォシュレットが完備されている事。この3つ。汚くて和式(=ウォシュレット無し)となると、余程の緊急事態じゃない限り、そこで排便する事を諦める事もある。 洋式を欲する理由は単純に楽だからだ。下手すりゃ糞を垂れながら寝る事も可能だろう。一方、和式の場合あられもない姿にならなくてはならない。 良い大人が足首までズボンを下げ、ケツを丸出し

          177.和式と洋式

          176.国語の知識

          毎週ここにアップするため、日々文章を書いている。 そんな事もあり、日常的に漢字や言葉やその意味を調べる機会も多く、多少他の人より日本語に浸かっている時間が長いのかもしれない。そのせいか、日本語自体に自然と興味が湧いてくる。 改めて少し調べてみた所、日本語というのは世界で1番難しい言語らしい。多少驚いたが、冷静に考えると"そりゃそうか"と納得する部分もある。なにせ平仮名、片仮名、漢字という3種類の言葉を覚えなければならない。 その時、昔仲良くしていたアメリカ人のジャスティ

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