【hint.562】「好きなパターン」が違っていた
人にはそれぞれ、好きなパターンがある。
「こういう状況になったら、この順番で取り組みたい」というパターン。
アドラー心理学的に、「ライフスタイル」とか「生き方のクセ」とか、そんな風にいってもいい。
そのパターンは、いちいち自分自身の意識にはあがってこないし、似たようなパターンの他者としか過ごしたことがない場合、話題にもあがらないから気がつきにくい。
他にも、違うパターンの他者を目の当たりにし、その違いに気がついたとしても、どちらかがコミュニケーション的に強いと、「強い方が、自分のパターンで進めていくように押しきる↔︎弱い方は、押しきられる」という関係性が固定化してしまったりして、この二者だけでは、固定化してしまった関係性について、あらためて見直すということが困難な状況になったりする。
もうこの関係性まできちゃうと、冷静に、批判なしに「お互いのパターン」について話し合うことは難しいから、けっきょく「自分自身のパターン」を見直そう、というところまでは辿り着けなかったりする。
* * *
ウチの話をしよう。
今月のはじめに引っ越しをした。
その一ヶ月前ぐらいから「引っ越し生活」は始まり、家探しをしたり、荷造りをしたり、お手製の棚を解体したりして、いつもの心地のいいリズムが、僕も妻もどちらも少し崩れはじめた。
そうはいっても、「新しい生活に向かっている」という期待感やワクワクする気持ちもあったし、「10月のはじめには引っ越し」という明確な期日があったから、ペースは乱れつつも、息切れすることなく走りつづけることはできていたんだと思う。
そしていざ引っ越し。
その後の諸々の手続きや整理が必要ことは二人とも想定していたし、「ルーティンとして動いているたくさんの活動をすぐに再開できるところまでは、時間ができた方が整理を進めていこう」ということも、特にハッキリとそういう共有をしたわけではなかったけれど、「パターン」が似ていたところだったので、まずまずの進みを見せていた。
でも、ここからが違った。
僕と妻、「好きなパターン」が違っていた。
そのことが昨晩わかった。
いつの間にか、だんだんと絡まり合ってぐしゃぐしゃになってしまっていたものを、昨晩、二人ともが、いま持てるエネルギーのすべてを注いで、ひとつひとつ解いていった。
思えば、前の家で、はじめて二人で住みはじめた時も、ちょっと経ってからこういうことがあった。
しかも、いま思えばほとんど同じ理由。
僕は、「本当に最低限の環境が整ったあとは、まずセーブしていた仕事・趣味に没頭したい。そして、それがひと段落したら、残っていた家の整理をしたい」というパターン。
妻は、「本当に最低限の環境を整えることは大事。そして、そのまま出来るだけ早くすべてを片づけ、理想の部屋の状態にしてから、自分の仕事・趣味に没頭したい」というパターン。
ざっくりと分けると、このようなパターンの違いだった。
* * *
「本当に最低限の環境を整えることが大事」、ここまでは自然にスムーズにいった。
このタイミングでやっと二人暮らし用の冷蔵庫・洗濯機に買い換えることを決めたり、洋服はここにこういう感じで収納しよう、とか、タオルはここに置くことにしよう、とか、本棚はここにするけどまだ本はダンボールから出さないでおこう、とか、そういったことはサクサクと話が進み、日を追うごとに着実と作業も進んでいった。
でも、その辺りからすれ違いはじめていた。
目の前にダンボールの山があっても全然平気で、仕事・趣味へ没頭し始める僕(このことは、僕自身、昨晩まで伝える必要性を感じていなかった)。
前回、はじめて一緒に暮らしはじめた時に「お互いのパターンが違う」という話になったことをすっかり忘れていた僕(結果的には妻もだったが)は、当然、妻も同じような優先順位で活動をするものだと勘違い。
妻と一緒に取り組んでいる活動も多く、役割分担として、妻に任せているものも多いけれど、そのスケジュールがこの段階になっても遅れ続けていることに納得がいかない。が、それを指摘するも、なかなか改善されずにもやもやが積み上がっていく。
一方、ダンボールが目の前に積まれていては、自分のやりたい仕事・趣味へと気持ちよく没頭できない妻は、引き続き、部屋の環境を整える作業を第一に時間を使っていく(このことは、妻自身、昨晩まで言語化できていなかった)。
でも、待ち望んでいた(一人では組み立てられない)家具が届いて目の前にあるのに、それに手をつけようともしない夫。
新しく買うことにした家具の適したサイズを測って、候補を3つぐらいにまで絞ってあるのに、ゆっくりと話し合う時間をうまく持とうとしてくれない夫。
「確かにスケジュール通りに進められてはいないけど、担当の仕事の話ばかりされてもさ・・・なんか違うんだよ。楽しんで取り組める状態にするために、なんかすごくエネルギーを使わないといけないんだよなぁ」 といった心境だったようだ。
* * *
この状態ではラチがあかないと思った僕は、昨晩、「寝転んでの雑談」を提案した。
思えばこの「引っ越し生活」が始まってからは、精神的にリラックスした状態で、ゆるっと、まるっきり自由に話をする時間をほとんど持てていなかった。
いつも何か、「テーマ」の明確な「ミーティング」しかできていなかった。
ちょっとずつちょっとずつ二人ともに溜まっていったモヤモヤを、それぞれが自分の好きなタイミングで、好きな順番で出してみて、二人で「なるほどね〜〜」って、愛くるしく見つめる時間が少なくなっていたんだね。
二人とも、決してまとまった話にはなっていなかったけれど、思っていることをゆっくりと整理して、取りだしてみることができた。
すると、「あぁ〜〜。そういうことだったんだね〜〜」と、リキみが取れていった。
* * *
人にはそれぞれ、好きなパターンがある。
「こういう状況になったら、この順番で取り組みたい」というパターン。
アドラー心理学的に、「ライフスタイル」とか「生き方のクセ」とか、そんな風にいってもいい。
昨晩は、そのことをあらためて実感した日になった。
またここから楽しくいきましょうかね。うん。
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