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【hint.282】読書は「たくさんの実体験」で豊かになる

 人生はなるようにしかならない。悪あがきをしても仕方ないし、むしろ自体は悪化する。物事の進み具合を見ながら、じっと待っていよう。そうすれば何かいいことがあるだろう。そのチャンスをつかまえよう。
 このような姿勢を、イタリア語で Attendismo(待機主義)と呼び、自分で人生を切り開こうとしない南イタリアの典型的メンタリティーとして、否定的にとらえられている。
 ただイタリアの場合、経験的に、下手にあがくよりは、待っていたほうがうまくいくことも多いような気がする。不確定要素が多い中で必死に計画を立てて、その通りにいかずイライラするよりも、何もしないで、体力の消耗を抑えて、感覚を研ぎ澄まして、大きなチャンスが訪れた時にそれを逃さないようにしたほうがいい場合も多いのだ。変に動き回って疲労していたのでは、大切なチャンスを逃す恐れがある。たしかに南の人は、一瞬のチャンスをとらえる集中力はすごいような気がする。それまで何もしていないから、力が余っているのだろう。
(いずれも、宮嶋勲 著『最後はなぜかうまくいくイタリア人』/日本経済新聞出版社 より引用)


 僕のnoteを以前から読んでくださっている方であれば、昨年の10月、僕が新婚旅行でイタリアに行ったことはご存知いただけていると思います。

 その時の写真の具体的な「振り返り & まとめ & 発信」は未だできておらず、現在は、この2018-2019年末年始のものをインスタにて随時実施しているのですが、その活動中、イタリア新婚旅行のときのことが頭の中でチラチラと姿を表すことがあります。


 この本は、イタリア新婚旅行を実際にするなんてまったく発想になかった、2015年の10月に、nonowa西国分寺内の(今はなき)オリオン書房にて、あまり大きな決心もなく手に取りそのまま購入したものの、長らく自宅で積読状態になっていた本です。現在は文庫本も出ているようですね。

 そもそも2015年といえば結婚もしていなかったし、というか妻とも知り合ってすらいなかったですからね。

 そういった状況でなぜかピンときた本が、今ここにきて、ある程度の具体的な肌感覚をともなったイメージを湧き起こしてくれる文章として機能しているから面白い。

 冒頭の引用部分に関して、数日間ではあるが、実際に「南イタリア」と呼ばれるナポリやアマルフィ、ポジターノというところで時間を過ごすことができたことで、「あぁ〜あの雰囲気のことかなぁ。なんかわかる気がするな〜」って、そんなイメージとともに読書を楽しむことができる。

 読書だけに限らないとは思うけど、各自のイメージの幅というか、引き出しの量というか、そういうものに依るところの多い読書の時間を豊かにするのは、「読み手がどれだけたくさんの実体験をしているか?」「自分がどれだけたくさんの実体験をしてきていて、それを自分のモノにできているか?」ということも、大きな要素の一つなんだなぁって。

 以前読んだ時には、あまりにも自分のイメージできる世界とかけ離れていて、楽しく読み進めることができなかった本たちも、いま読むともしかするとかなり楽しいのかもしれないなって。

 そんなことを感じさせてくれる、読書時間を、この本は今の僕にくれています。

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