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【2023.5.22.】2024年に向けた新しいリハビリテーションの形②「2030年までに、とにかく変革が求められている」

※このコラムはどなたでも全文お読みいただけます

生活期のリハにどっぷり20年超、作業療法士として30年超臨床1本でやってきた僕の率直な予測で言うと、2024年同時改定はそこまで大きな改定にはならないと予測している。

大改革がやってくるのは2030年だと考えている。

だから余裕があるとかないとかではなく、だからこそ今から厚労省が考えているリハビリテーションを理解して、病院リハも生活期リハも公的な保険で働いているセラピストがいる病院や事業所は今までのリハビリテーションから脱却して、新しいリハビリテーションの形を作り上げるべきだと考えている。

前回のコラムでも引用したが、どのようなリハビリテーションを目指すことを厚労省が求めているかというのは明らかなのです。

「個別性を重視した適時・適切なリハビリテーションの実施」「「活動」や「参加」などの生活機能全般を向上させるためのバランスのとれたリハビリテーションの実施(「身体機能」に偏ったリハビリテーションの見直し)」「居宅サービスの効果的・効率的な連携」「高齢者の気概や意欲を引き出す取組」が重要

利用者主体の日常生活に着目した目標を設定し、多職種の連携・協働の下でその目標を共有し、利用者本人や家族の意欲を引き出しながら、適切なサービスを一体的・総合的に組み合わせて計画的にリハビリテーションを進めてゆくためには、改めてリハビリテーションのマネジメントを再構築し、徹底する必要がある

高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会報告書 より引用
  • 個別性を重視すること

  • 生活機能全般を向上させること

  • 活動や参加にアプローチすること

  • 多職種連携でアプローチすること

  • 計画的にリハを実施すること

  • リハビリテーションをマネジメントすること

こんなことがリハビリテーションを実践するセラピストには求められているのです。

特にここ10年くらい厚労省から指摘されていることは、

「心身機能の変化が必ずしも、生活機能全般の変化につながっていない」

ということなんですよ。

この言葉の意味わかりますか?

心身機能の変化が必ずしも、生活機能全般の変化につながっていない

「心身機能の変化が必ずしも、生活機能全般の変化につながっていない」ってどういうことなん?ってセラピストもたくさんいるんじゃないのかな。

たとえば、

  • 筋緊張の変化
    硬い足や腕や少し柔らかくなった、高緊張が少し緩んできた

  • 可動域の変化
    可動域が広がった

  • バランスが良くなった
    座位保持や立位保持が少し良くなった

データとしてそのような変化が対象者さんの変化にあるにもかかわらず、ADLとしての機能には大きな変化を認めないケースが多いと厚労省は指摘しているのです。

過去の報酬改定議論の中で、セラピストがリハの時間に取り組んでいる内容とその結果どうなったのかという資料の中で、セラピストの取り組んでいる方向が生活機能に反映されていないと指摘されたんですよね。

その結果、制度改定がどうなっていったかというと

  • 実績指数が登場し、FIM(functional independence measure) BI(barthel index)などの評価が必要になった

  • リハ実施計画書に活動・参加の項目が増えた

  • 計画書に「本人の希望」などの記載

FIMは評価の結果がセラピストによって分かれる可能性がありますが、BI(バーサルインデックス)は「できる」か「できないか」という形で評価しやすい。介護保険領域ではBIが用いられている。

とにかく、リハの実践を結果として出すことができているのかということを強く厚労省は指摘し続けている。そのことは報酬改定にも表れている。

介護保険領域ではビッグデータとしてリハの結果についても厚労省は収集しているのです。
科学的介護情報システム(LIFE)

診療報酬も介護報酬も改定のたびにいろいろな手法で、「結果」を出すことを求めてきています。

厚労省の言うリハビリテーションの実行に対して求めている結果とは「生活機能の向上」や「活動と参加の変化」なんですよね。

筋緊張が変化しても可動域が変化してもバランスが変化しても、結果としてADLレベルが変わらなければ、そのリハは結果と伴っていないということなんですよね。

私は現在生活期リハの領域で訪問や通所にかかわっています。

自分のリハの結果が伴っていないと指摘されればショックだし腹も立つ。でも厚労省の基準に則って結果を出せないのであれば、点数を下げられてもやむを得ないんだなというのも何となくわかるんですよね。

とくに訪問リハや通所リハ、訪看リハの要支援の長期利用に対しての減算などは、その「結果」を求められたからこそ減算なのです。

「もともと状態の良い人にリハビリをしても、BIが最初から満点の人にリハをしてみ意味がないでしょ、だから1年たったら減算するよ」

ってことなんですよね。

まあ、そんな経緯から考えていくとね病院リハも生活期リハも、何なら小児領域のリハについてもね結果を出すことがこれからは求められます。

前述した厚労省のビッグデータを収集した結果も2024年の改定には間に合わないだろうから、2030年に向けてリハビリテーションの進め方に対しての認識というか、考え方を変えていく必要があると考えています。

そのうえでめちゃくちゃ大切なのはやっぱり活動と参加への取り組みだと思います。以下のコラムは参考になると思います。

連載コラム「活動と参加へのアプローチ」

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作業療法士
山田 剛

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