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絵画観察トレーニング②

題材:川鍋暁斎 1863年 【蒙古賊船対治之図】
河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい、1831年5月18日天保2年4月7日〉 - 1889年明治22年〉4月26日)は、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師日本画家河鍋暁斎 - Wikipedia
193年前の今日生まれた人
暁斎の絵はめちゃくちゃかっこよくて詳しくはないけどスマホのロック画面を彼が書いた牛若丸にしている。色使いや体の動き、題材としているものをアクションアニメのようにダイナミックに描いていて心惹かれる。

①全体のコンテクスト
時間:周りが薄暗く雲や煙がかかっている。夜だろうか?
場所:海
状況:下半分は、大きな波が立っていて、海の荒々しさを感じる
   上半分は、船から爆発が起き、激しく弾け、燃えている。また、煙や炎で覆われている。巨大な怪物による攻撃のようにも見える。
波、炎、煙、いくつかの大小の船、火の中、波の中に人、頭、体、手や脚、槍や刀

②フォーカルポイントを観察
中央の船から出る炎の球がフォーカルポイント
波の中に大きな船が横たわっている。船から炎の球が出ていて、上左右に放射状に火が出ている。その人煙の中に人やがれきが飛ばされている。
飛ばされている人々は甲冑を着ている?

③残りを部分に分けて観察
右側:船が波でひっくり返りそうになっている。緑の甲冑?を着た10数人の兵士が船や板に必死にしがみついている。槍や刀のようなものもある。海から飛び出た脚、手の形、体の動きが細かく描かれ、ダイナミックな動きを感じる。奥には二隻の大船が燃えている。
中央から左下部:小舟が燃えている。人の脚、手や頭がある。焼けた色で苦しんでいる。左側に向かっては煙が出ている。中央の大きな波は色使いによって荒々しさがある。濃い色の部分から底知れぬ海の恐ろしさ、白い水しぶきから、波の大きさ、高さ、強さが分かる。
左上部:3~4隻の船が燃えている。右側奥にあるのと同じ形。奥はどす黒い海か。海の奥行、怖さを感じる。

④全体図を眺めながら解釈する
一隻の巨大船が敵船か、幽霊船で、それを倒すために兵士が船に乗り込んでいき戦ったが、巨大な爆発により、全滅した惨劇を描いている。

⑤周縁部から再解釈を検討
左上に説明書きが書かれている。重要そうなので見ずにここまで考察した。ここで、そこに目を向けると、蒙古賊船対治之図とある。また、説明書きの部分から、日本勢、賊兵、蒙古の賊、追い払うと読めた。ここで、中央の船と周りの船の作りが違うことに気づいた。蒙古とはモンゴルのことではないか?モンゴルを追い払うといえば、元寇、神風だ。波の大きさ、激しさから、風の強さも感じ取れる。
→国外からの侵略者、蒙古という賊船を追い払う激闘を描いている。大波や大爆発が、その激しさを表している。

説明書きを読んだことで、そこにある絵が何について書かれているのか、点が線でつながったように情報を読み取れた。波が高ければそれだけ風が強いということは、その状況を想像すればわかることだ。もっと絵から現実世界を想像していく。今回は、作品の題を観なかったことで、自分なりの解釈ができたように思う。

元寇(げんこう)は、日本鎌倉時代中期の1274年1281年に、モンゴル帝国元朝)および属国高麗によって2度にわたり行われた対日本侵攻である。元寇 - Wikipedia
それに対して、川鍋暁斎は、1831年生まれで、この絵は1863年に書かれたものだ。彼は、元寇を観ていたわけではないのにこんなにもダイナミックにその様子を描いている。想像力がえげつないなと思わされた。聴いた話や、読んだ文章、見た絵からその状況を自分というフィルターを通してダイナミックな絵にする。そんな表現力を真似したい。


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