ニックFP事務所

"プラグマティズム" - 世の中の変化を見逃さず、常に最適化を意識…

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"プラグマティズム" - 世の中の変化を見逃さず、常に最適化を意識する https://www.nicksfpoffice.com https://twitter.com/yamada_nick

マガジン

  • 或る独立FPの視点

    世の中の変化に伴い生まれてくる新しいルール、仕組みなどの周りには「不思議な仕掛けの世界(Gimmick Wonderland)」があるようです。

最近の記事

手垢がついた「保険は必要か不要か」という議論

「持ち家か賃貸か」と並ぶFP界隈での「2大手垢まみれの議論」が「保険は必要か不要か」というものです。 前者の住宅問題に関しては以前の記事で私見を述べました。 結論は自宅購入も不動産投資であり、それ以上でも以下でもないという整理です。 「保険」に関しての私の考えは以下の通り手垢の上塗り(笑)程度であり、特に目新しいものはありません。 ① 予見される緊急事態に対してライフプランに影響を与えない金銭的貯えがあれば保険加入の必要性はない。貯えがないのであれば加入すべき。ただし

    • 続・FPが使いたい自然な英語

      こちらの過去記事「FPが使いたい自然な英語」の続編を書いてみました。 今回もFP6分野から「FPがよく使う日本語」を1つずつ取り上げて「自然な英語」に訳していきたいと思います。 それでは早速始めましょう! 第1分野:ライフプランニングと資金計画 〇 FPがよく使う日本語:「産休」 〇 お勧め英語:「maternity leave」 そもそも会社を休む際、何でも「holiday」という単語を使いがちですが個人的に選んで取る休みは「vacation day」です。 「

      • 乗り鉄系FPからの手紙(re:資産運用について)

        拝啓、私は乗り鉄系FPです。 そしてこの手紙も鉄道に揺られながら書いています。 鉄道オタクにはその迷惑行為で世間を時々騒がせる「撮り鉄」を始めとして、「車両鉄」「模型鉄」等いろいろな「型」がありますが、「乗り鉄」は文字通り「鉄道に乗ることだけで快感を覚える」草食系のテツです。 そんな乗り鉄は、実は金融資産形成が上手な素質を持っていると考えます。 「茶道」や「華道」と同様に「鉄道」をたしなむ女性が増えればとの想いで「女子と鉄道」というエッセイ本を著した作家の酒井順子さん

        • 個人国際税務の基礎知識

          2014年7月以降、日本国内の金融機関にて口座開設をしようとすると「あなたは米国籍関連(=米国税法上の米国市民、永住権者)の方ですか?」と質問されるようになり、「はい」と答えると口座開設を拒否されるケースが出てきました。 その理由は米国人による米国外金融口座を用いた租税回避や資産隠しを防止するために定められたFATCA ( Foreign Account Tax Compliance Act ) により日本の金融機関も規制の遵守を求められ、米国内国歳入庁(IRS)へ報告義務

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        • 或る独立FPの視点
          48本

        記事

          現物不動産投資は資産だが自宅購入は負債なのか

          ロバート・キヨサキ氏が書いた「金持ち父さん貧乏父さん」は米国で1997年に出版されて以来、日本を含めて世界中で支持を受けているマネー本です。 しかし著者主張の一つである「自宅購入は負債だが不動産投資による賃貸用物件は資産である」という整理に私は与しません。 一方で本稿はマイホーム所有の効用度のような定性的側面に対する経済的価値を認めて、持ち家を勧めるものでもありません。 つまるところ本人居住用であろうが賃貸用であろうが、購入した不動産はその個別的価値はもちろん異なります

          現物不動産投資は資産だが自宅購入は負債なのか

          犬に顔を噛まれて40針縫って死にそうになったが犬は悪くない

          12年前の2012年、私は出張先のブラジルで犬に顔を噛まれて現地で顔面を40針縫うという緊急大手術を経験しました。 それは当時勤務先商社の南米総支配人の社宅にて、現地取引先の幹部を招いての夕食会の後で発生しました。 招待客を見送り出した後に内輪で飲み直そうとの流れになりました。 途上国での商社現地法人トップはセキュリティ対策を含めて、一定規模の外部客を招いて会食することができる広めの「社宅」に居住することがよくあります。 そこでは社内出張者を含めた外部者を招き入れるこ

          犬に顔を噛まれて40針縫って死にそうになったが犬は悪くない

          「金利のない世界」で退職金専用定期を使い倒した件

          令和6年3月に日銀はマイナス金利政策解除を決定し、財閥系メガバンクはそれを祝福するかのごとく直ぐに普通預金金利を0.001%から「20倍」の0.02%に引き上げると発表しました。 「金利のある世界」復活とマスコミも大騒ぎでしたが、現実的には日銀当座預金残高の三層構造、すなわち「基礎残高」「マクロ加算残高」「政策金利残高」を二層化に戻しただけであり、実態としては日本の金融政策が大転換を遂げたとは思えません。 とまあそんな難しいことは横に置いて、今回はデフレ下の「金利のない世

          「金利のない世界」で退職金専用定期を使い倒した件

          外貨建て一時払終身保険は仕組債並みに悪なのか

          少し古い話ですが、昨年6月末に金融庁は仕組債と外貨建て一時払終身保険の販売について喚起を促す文書を公表しました。 リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(2022事務年度):金融庁 (fsa.go.jp) 仕組債に関しては私も以下の記事で「食べてはいけない毒饅頭」と警笛を鳴らしたことがあります。 「選挙で買収される有権者と仕組債を購入する投資家」https://note.com/yamada_nick/n/n627b610d9b9d

          外貨建て一時払終身保険は仕組債並みに悪なのか

          或るFIRE支援FPの葛藤

          今年は4年に一度のアメリカ大統領選挙の年です。日本でもそれに関連する報道が多くなってきました。 その中でもトランプ前大統領への一定層の熱烈な支持に関しては、疑問に感じる人も多いようです。 しかし私自身はトランプ人気を理解できる気がします。 私が日本の商社員として米国南部で勤務開始したのはまだ30歳代前半でもう四半世紀程度前になりますが、その担当業務の一つは米国の中小化学品問屋に、自ら中南米等で買い付けてきた原料を販売することでした。 アメリカの田舎にて、自分が生まれた

          或るFIRE支援FPの葛藤

          大手信託銀行ファンドラップ購入から1年少しが経ち

          2022年9月末に年率1.54%という凶器的な「投資顧問報酬」を取る某大手信託銀行のファンドラップを購入最低金額の500万円分買いました。その理由についてはこちらの記事をご参照ください。 シェフの気まぐれサラダとファンドラップhttps://note.com/yamada_nick/n/neea2bdbcc9d3?sub_rt=share_pw 2022年末時点での運用成績は芳しくありませんでしたが、抱き合わせ高利率3か月定期預金500万円の金利で見事にオフセットされて、

          大手信託銀行ファンドラップ購入から1年少しが経ち

          新年を迎えて丸い数字で日本のお金周りを見る

          2024年を迎えて丸い数字で日本のお金周りの現状を見てみます。 日本の年間国家予算は約115兆円程度ですが、別途補正予算が組まれるのが常態化していますので、昨今は合計125兆円程度です。 また、国税とは別に社会保険料の徴収が年間75兆円程度ありますので、全部併せて日本は毎年約200兆円のお金を使っています。 その「使い道」と「集め方」を、税と社会保障の一体化をベースに整理してみます。 先ずは「使い道」ですが、最大項目は社会保障関連の支出です。年金55兆円、医療50兆円

          新年を迎えて丸い数字で日本のお金周りを見る

          特化するという戦略

          会社員時代に米系航空会社をよく利用していました。 米国駐在中のみならず、東京本社勤務中も主にU航空に搭乗していたのですが、同社から米国シカゴへの旅行に招待されたことがありました。 それは当時「日本に住む日本人」として最も頻繁なU航空利用者なので、そのお礼に彼らが協賛する米国PGAゴルフトーナメントの前日レセプション、いわゆるプロアマ競技会に招待するというものでした。 往復フライトから現地ホテル代等もすべてU社持ちのとのことで、勤務先にコンプライアンス上問題ないことを確認

          特化するという戦略

          銀行ジェロントロジストという資格

          最近「銀行ジェロントロジストⓇ」という資格を取りました。 金融財政事情研究会(きんざい)と日本意思決定支援推進機構という共に一般社団法人である2団体の共同認定資格です。 ジェロントロジー( gerontology )という言葉はウイキペディアによると「老年学 - 老齢化又は老いることについて心理学的な立場から考える学問」と定義されています。 きんざいはこの資格を「高齢者に起こりうる認知機能の低下リスク等、ジェロントロジーの基本を理解し、日々の業務で遭遇する高齢者との金融

          銀行ジェロントロジストという資格

          マイナ議論で思い出す国境近くでの検問

          米国テキサス州南端のメキシコ国境近くの沿岸に、橋を渡って行くことができる南北に細長いサウスパドレ島という小ぶりなリゾート地があります。 15年くらい前の話ですが、当時フルサイズ・ピックアップトラックと呼ばれる大型のアメ車を運転していた私は休暇を取り、妻とその頃小学生の息子と娘を連れてそこに遊びに行きました。 何日か滞在したあとの帰り道のことでした。ハイウェイの入り口に向かう田舎道を走っていたところ、検問があり停められて、2人組の警察官らしき人物が運転席に近づいてきました。

          マイナ議論で思い出す国境近くでの検問

          「これはお幾ら万円ですか?」というやっかいな問題

          視聴者が持参する古美術品や昔の玩具などの「お宝」を専門家や鑑定家と称する人たちが値付けするテレビ番組が安定した人気を集めている(いた?)そうです。 人気の秘密は、高額だと信じていたものに安値がつけられたり、意外なものが高額な評価になることらしいのですが、安値評価で残念がる場合はさておき、高額な値付けに喜ぶ感覚を今一つ理解することができません。 何故ならば、そこに真剣なオークション性はなく、提示価格にそれなりのウンチクはあろうとも、しょせんは「無責任な値付け」にすぎないから

          「これはお幾ら万円ですか?」というやっかいな問題

          海外不動産投資と相続

          自己利用の別荘として、または賃貸用物件として、海外不動産投資へと誘う広告や記事を見かけることがあります。 そこには素敵な写真やイラストとともに、その国の成長性、投資対象物件の収益性、現地の良好な治安状況等々が、いわゆるマンションポエム的な見出しと共に書かれています。 仮に英語(乃至は現地語)ができなくても、契約から物件引き渡しまで業者によるサポートがあるそうですが、それでも海外での不動産現物投資には「相応の覚悟」が必要です。 それは、業者サポートの有無にかかわらず、所在

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