見出し画像

続・FPが使いたい自然な英語

こちらの過去記事「FPが使いたい自然な英語」の続編を書いてみました。

今回もFP6分野から「FPがよく使う日本語」を1つずつ取り上げて「自然な英語」に訳していきたいと思います。

それでは早速始めましょう!

第1分野:ライフプランニングと資金計画

〇 FPがよく使う日本語:「産休」
〇 お勧め英語:「maternity leave」

そもそも会社を休む際、何でも「holiday」という単語を使いがちですが個人的に選んで取る休みは「vacation day」です。

「バケーションって長期の休みでは?」と感じるかもしれませんが、語源は「vacate =空にする」ですので「I will take a vacation day tomorrow. (明日有給取ります)」の方が「holly day =神聖な日」が語源の「holiday= 特別な日」よりはるかに自然なのです。

一方、産休、育休、介護休暇を取る場合は「leave =離れる」を使います。

「神聖な日」でも「自分を空っぽにする日」でもなく、家族としての責務を果たす為に権利として会社を「離れる」訳ですからシックリきますね。

なお「maternity」の直訳は「母性」ですから「母になるために仕事を離れる」ことが「maternity leave =産休」です。

第2分野:リスクと保険

〇 FPがよく使う日本語:「解約返戻金」
〇 お勧め英語:「cash surrender value」

FP作成の個人バランスシートに資産として生命保険を計上する際の金額は掛金累計額ではなく、時価に相当する解約返戻金です。

これを英語で何というか、検索してみたところ「cancellation refund」をヒットしてきましたが何かイマイチです。

「今、現金化したら幾らの価値があるか」との意味合いを強めて「surrender 明け渡す」という単語が入った「cash surrender value」という表現が自然に響きます。

第3分野:金融資産運用

〇 FPがよく使う日本語:「iDeCo」
〇 お勧め英語:「retirement account」

iDeCoは個人型確定拠出年金、すなわち「individual defined contribution」の略称ですが、イデコ自体は厚生労働省が公募した和製ニックネームで海外では通用しません。

そこでiDeCoが意味するのは汎用的に「年金用非課税口座」ですので「(tax free) retirement account」としました。

「tax free」にカッコを付けたのは、通常「retirement account 」は非課税口座を意味しますので省略しても問題ないからです。

尚、アメリカ人相手ならば「Japanese 401k」という表現でも良いでしょう。

第4分野:タックスプランニング

〇 FPがよく使う日本語:「所得控除」
〇 お勧め英語:「tax deductible」

こちらも検索してみたところ最初に出てきたのは「income deduction」でしたが、意味不明な直訳ということで「tax」という単語をしっかりと入れて「tax deductible」を使います。

ちなみに「税額控除」、すなわち税額計算上の過程ではなくて算出された最終的な所得税額から控除するものは「tax credit」と言います。

日本語同様に性格の異なる所得控除と税額控除の言葉の使い分けは英語でも重要です。

第5分野:不動産設計

〇 FPがよく使う日本語:「借り換える」
〇 お勧め英語:「refinance home」

住宅ローン(mortgage)の借り換えもFP相談にはよく出てくる話題ですが、これも検索してみると最初に出てきたのは「convert a loan」というまさに直訳英語でした。

しかしここはrefinanceの後にhomeという目的語を取らせて、敢えてmortgageという単語を使わない語法がオシャレに感じます。

第6分野:相続・事業承継

〇 FPがよく使う日本語:「遺留分」
〇 お勧め英語:「legal portion」

単に「遺留分」という単語にて検索して出てくる英語が「residue=残留物」であり少し笑ってしまいました。

こういう業界用語(?)をネットで調べる時は周辺情報も併せて検索しないと、とんでもなく変な直訳になってしまうという好例です。

遺留分の正式英語は「legally reserved portion」となりますが、文章や会話の前後の流れで相続の話題であると明らかである場合には短縮系の「legal portion」で充分です。

追記:

ここで取り上げた英訳例は私自身の通算足掛け20年近くのアメリカ生活で得た米語感覚を基にしています。

つきましては「イギリス英語ではこっちの方がしっくりくる」等のご意見もあるかもしれませんがご容赦ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?