「表現する」こと

 抽象的な事象を伝える事は難しい。
 
 抽象的な事象を表現するには、2つの方法があると思う。1つは、事象を細かく細かく紐解いて行き、なんとか言語化する事だ。2つ目は、抽象的なものを抽象的なまま表現する事だ。後者に関しては、絵、音楽、詩などが挙げられるだろう(小説は両者の中間に位置すると思う)。

 「言語」は実際、ただの記号でしか無い。
ただ、その言語の持つ成り立ちの歴史や、保有する音、漢字・平仮名の表記の違いなど、日本語は特に、その言語が持つ記号的な意味以上に、含有する意味は多い。それでも、「行間」の含む意味の大きさを踏まえると、言語は記号でしか無いと、言語そのものが表現できるものはとても小さいのだと、言いたくなる。

そしてもう一つ大事なのが、言葉を受け取る側に、その語彙が知識として備わっている事、表現者の世界観を理解できる思考の柔軟さや、土台がある事、この2点が備わっていないと、如何にうまく表現できたとて、伝えたいものが伝わらないという事だ。

だから例えば、なにかを言語で表現しようとするなら、細かく細かく事象を噛み砕いて、そのかけら一つ一つに適切な言葉を選んで、その上で、どう組み立てて伝えれば良いのか、考える必要がある。
 特に突飛な世界観等では、より丁寧に細分化する必要があるし、組み立てる時だって、より受け取り側の事を考えないと、伝わらない表現になってしまうと思う。

まぁこの上記のことは、理屈っぽいところまで全て、他者に伝えたい時の話だ。

ある一場面だけを、メッセージ1つを強く伝えたいという時は、「芸術」が相応しい。