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デジタル・デトックスを生物学的視点から促すベストセラー『スマホ脳』から学ぶこと

 これまで共著含めて10冊の書籍を出版させてもらっている僕ですが、本のタイトルをきめるのは編集者の仕事だと思っています。もちろん案は出しますが、最終的には編集者のジャッジに従うことにしています。長年のアーティストマネージメントの経験から、本人の思い込みよりも、本気のスタッフの判断が優れている事が多いと知っているからです。本を出す時は、著者はアーティスト、編集者はスタッフですから、普通に考えれば編集者の判断が正解です。
 『プロ直伝!職業作曲家への道』は成功例で、音楽業界ではネガティブなニュアンスで語られることも多い「職業作曲家」という言葉をタイトルにすることには僕には抵抗感がありました。「プロ作曲家になる方法」というのが僕の案だったのですが、信頼する編集者が確信を持って推してきたので「乗っかり」ました。結果、ロングセラーになっています。一般の人に届くは言葉だったようです。失敗だったかなと思うのは『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。』です。流行りの本にしようという編集者のアイデアだったのですが、「ビジネスパーソンが仕事に活かせるのエンターテインメントの視点」みたいな僕の案に近い方が、わかりやすかったような気がします。中身は良いと思うのでまだの人は是非、読んでみて下さい。
 英語版が出ていないこの本の原題はスウェーデン語で「スクリーン脳」だそうです。邦題「スマホ脳」を誰が付けたのかわかりませんが、good jobですね。キャッチーでかつ内容をしっかり表せていると思います。

 著者はスウェーデンの精神科医でMBAも持っているそうです。様々な調査結果を引用しながら、一日中スマートフォンを見て、SNSに依存する生活のマイナス面を指摘しています。脳みその変化(進化)には何世代かの時間が必要で、デジタル化の激しい変化に人間はまだ対応できずに問題が起きるのだという指摘は、説得力があります。
 仕事において集中力が必要なのは間違いなく、スマホの常時接続状態が集中力を妨げることも真実です。ストレスに関する分析と対処法も適切な内容です。運動が効果的という当たり前なことも科学的な根拠を持って説明されています。

 電磁波のことも考えてですが、僕も寝る時は枕元にスマホを置かないようにしています。目が覚めると最初にやるのは、トイレに行ってスマホでSNSやメールをチェックすることですがww 7〜8時間のオフラインは、切り替えになりますし、睡眠にも良い効果がある気がしています。
 原稿書きはPCでしかできませんが、アイデアを巡らせたり、事業構想を練る時は、PCだけに頼らずに、紙とペンも活用しています。デジタルデトックスをバランス良く取ることで視力の低下を遅らせる効果もあることを期待しています。
 前述の『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す。』(2015年6月刊)で、僕は以下のように書きました。

 2010年代になった今、人とは何かを定義するとしたら、僕は「ホモ・コネクシャス」と呼ぶべきだと思っています。インターネットにつながっている動物と言うのが人類の定義になり始めています。必要な情報は全てオンライン上で入手しますし、行動のきっかけも全てネット経由になっている時代です。もちろん「作る動物」に休息が必要なように、「つながる動物」にもオフラインの時間は必要です。最近は、アメリカなどで「ネットデトックス」という積極的にオフラインの状態を作ることが健康な精神のために必要だと言われ始めています。これからの高級リゾートでは緊急連絡の仕組みを確保したオフライン状態にすると言うようなサービスが提供されるようになるでしょう。(P90)

 最近のマーケティングでのバズワードは、「OMO(online merges with offline)」です。リアルの店舗も、オンラインコミュニケーションの中に位置づけるのが正解という考え方ですね。僕たちは、ますますネット依存を高めざるを得ないようです。
 この『スマホ脳』を読んで、自分なりのやり方で、デジタルと健康にそして健全に向き合う方法を考えていきましょう。

OMOについては、以前『アフターデジタル』の紹介と共に書きました。


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