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日本の価値を再発見して「海外市場で高く売る」発想でインバウンド事業やりましょう

 興味深い記事でした。

日本の卵は高級輸出品

 日本産の卵が海外で人気だ。割高でも、おいしさや安全性が評価されて選ばれている。輸出は国内生産量の約1%だが、「TAMAGO」を広めようと生産者らの挑戦が続く。
 「こだわりの卵を(独高級車)ポルシェのようなブランドに育てたい」
 愛知県岡崎市の三栄鶏卵の市川尚宏社長(52)はそんな思いで、2012年からシンガポールに輸出する。安さではなく品質重視の高級卵という新たな市場を一歩ずつ開拓しようと励む。

朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR3R512VR39OXIE016.html

 日本人にとっては当たり前の物や事柄が、外国人消費者の目線では魅力的に映るということを象徴しています。
 しかも、日銀の金利政策や、経済成長の停滞などと相まって、国際的に円がどんどん安くなっています。コロナ禍で止まっていた、国境を超えた人の往来が始まって、消費者が円安を実感する機会が増えています。
 僕も、昨年12月以降、インドネシア・ジャカルタ、タイ・バンコク、フランス・カンヌ、台湾・台北と出張の機会がありました。いずれも複数回行ったことがある都市ですが、明らかに割高感を覚えます。3割〜5割位値上がりしている印象でしょうか?特にアジア各国は経済成長と物価上昇があるようで、東京とほとんどかわらなくなりました。海外から日本にくるとこの逆のことが起きる訳ですよね。

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 自国の通貨が弱くなるのは良いことな訳はなく、特に製造業の輸出増という効果が、日本の製造業の衰退で「円安メリット」が薄れている中、日本の経済成長のための構造改革は急務なのだと思います。ただ、僕はエコノミストではありませんので、エンターテック・エバンジェリストの守備範囲として、toCのインバウンドビジネスについて、日本人が持つべきマインドセットについて書きたいと思います。

日本の当たり前が外国人には魅力的、だから「値段を高く」する

 いわゆるエンタメ作品は、デジタル化が進んで、デジタルサービス上のコンテンツになっているので、価格戦略は難しくなっています。
 重要度が増しているのは「体験」です。訪日外国人観光客向け(インバウンド)ビジネスは、まさに「体験ビジネス」ですから、エンタメ的な発想が役に立つことがあるでしょう。
 コロナ禍で海外旅行が行きづらくなった2年半くらいの間、珍しくプライベートで国内旅行をする機会がありました。伊勢神宮とか日光とか、何十年も行っていませんでしたが、素晴らしい観光資源があることを確認できました。そして、きちんとした食事付きのホテルや旅館がリーズナブルな金額であることに驚きました。日本人の感覚だと「良心的な商売をやっているな」と好印象にはなるのでしょうが、インバウンド時代を考えると「この金額感で外国人観光客に提供するのは、日本の価値の安売りになる」ということです。

これからの日本に残された価値は「広義の文化資産」

 製造業が主産業にはならなくなってきた日本に残されている価値は「文化」です。
 「卵が美味しい」と外国人が求めている事実を素直に喜び、概念化しましょう。外国人が日本の価値を「再発見」してくれているのです。そして、彼らが発見した「日本の資源」に一番詳しいのは、当たり前ですが僕たち日本人です。
 「これが好きなら、こっちはどう?」「興味持ったならもっと掘り下げてみようよ」と顧客との対話でビジネスニーズを探るのは、事業開発のいろはのいですね。

外国人観光客向け特別メニューを用意しよう

 僕の住んでいる谷根千エリアもこの数ヶ月で、外国人観光客の姿が当たり前になりました。日本好きの欧米人が多い印象です。僕の行きつけの飲食店では、英語メニューがない店も多く、下手な英語で説明してあげる機会が増えました。
 そういう際は必ず言うようにしているのですが、やるべきは英語メニューを作ること(だけ)ではなく、外国人観光客向けのパッケージをつくって、体験をセットに販売することだと思います。
 日本食やお酒の背景や歴史をわかりやすく英語で説明する小冊子をつけて、扇子や手拭いなどをセットにすれば喜ばれるでしょう。谷根千には古民家改造のレストランも多いので、日本家屋の解説も付けましょう。外国人観光客はお酒をたくさん飲まないことが多く、客単価は必ずしも高くありません。観光気分をくすぐる体験をセットにすれば、財布の紐は緩みます。今の為替だと感覚的には、日本人向けの3倍くらいの値付けが適切です。30ユーロや50ドルの外国人観光客向けのセットメニューをそのお店の個性を生かして作りましょう。
 僕は行きつけのお店では「無料でコンサルして、企画案出しますよ」と言っています。自分たちの良さを外国人視点で見直す、文化的アイデンティの確認がインバウンドビジネスの肝になると僕は思っています。このエントリーを読んで、訪日外国人向けパッケージを考えようと思った方は、遠慮なくご相談ください。

訪日客消費は「コロナ前」を超えてくる

 街を歩いていても、明らかに外国人の姿を見る機会が増えていますよね?コロナ前の主力だった中国本土からの観光客は入国規制などの問題でまだわずかですが、それでもこれだけの状況というのは驚きです。

 米欧や中東からの大幅な増加が全体を押し上げた。1人当たりの単価が上がり、23年の訪日客消費の「コロナ前」水準の回復も視野に入ってきた

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1912N0Z10C23A4000000/

起業志望者/スタートアップには大チャンス

 観光産業はCovid-19で最も傷んだ業種の一つです。0からのスタートになる起業家にとっては、傷みがないというプラスがあります。
 国境の壁が蹴られなかった2年分の「リベンジ消費」という勢いあると共に、コロナ禍を挟んで観光客の「行動変容」が起きています。これまでの経験値以上に、新たな発想、新たな業態にチャンスが有るはずです。日本のカルチャーのファンにして、リピーターになってもらう&帰国後もエンゲージメントを深めていくのは、エンターテインメント✕TECHの事業が得意とするところです。
 日本好きの外国人のネットワークを可視化していくことができれば大きなビジネスチャンスがありますね。
 StudioENTREも改めて、インバウンド関連事業の創出に力を入れていきます。エンタメコンテンツを活かすだけではなく、文化的アイデンティティに則った地方創生や、エンタメ的アプローチのファン創出など、インバウンドビジネスは幅広く捉えて、起業家と伴走する体制でお待ちしています。お気軽にご連絡ください!!


モチベーションあがります(^_-)