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加速する音楽市場における旧譜比率増。アメリカでは3/4を占める!デジタル化の最大の変化はこれ!!

 2021年のアメリカ市場のデータが衝撃的です。2020年の音楽市場で、旧譜比率が6割を超えた驚きは記憶に新しいのですが、もっと伸びました。73%以上という数字は本当に驚きです。

音楽市場デジタル化における最大の変化は旧譜の価値

 新譜旧譜比率というのは、リリース時期による作品の分類です。日本では1年以内のリリースを新譜と分けるのが一般的ですが、習慣的に欧州は2年、アメリカは1年半以内で区別することが多いようです。アーティストの活動サイクルの平均的な期間が理由かなと推測しています。レコーディング〜アルバムリリース〜ツアーという流れが、日本だと1年毎にプランニングする場合が多いですが、欧米は地域が広いこともあって、もう少し長いのでしょう。

 さて、パッケージが市場の中心だった時代の新譜旧譜比率は、新譜が9割と言われていました。過去作品を「新譜」にするために、コンピレーションアルバムやベスト盤がリリースされていたという言い方もできると思います。
 デジタル化、特にサブスクリプションサービスが音楽消費の中心になったことでこれが大きく変わりました。僕は5割くらいになるのかなとざっくり予測していたのですが、アメリカ市場の変化ってドラスティックですね。3/4が旧譜になるとは本当に驚きました。ユーザーにとって、よほどの大ファンでない限り、いつリリースされたかはそれほど重要ではなく、デジタスサービス上で出逢った時がユーザーにとってのその曲の出現日になる訳です。ますます、アルゴリズムによるマッチングの重要性が増していきますね。

MRCによる米国市場の新旧譜比率データ

 一方で、アーティスト側の立場だと「新譜を聴かせたい」という要望は強くあり、権利者としてサービス事業者に働きかけもするでしょうから、新譜との出逢いを創出する機会を増やそうとする動きも出てくると思います。それでこの比率がどのくらい動くのか、音楽ビジネスについて考える時に、非常に興味深いポイントになります。

著作権、原盤権の金融的価値が上がって生まれる新サービス

 この新旧譜比率の変化は、様々な影響を及ぼします。近年、大型アーティストの著作権、原盤権の高額売却のニュースが増えているのもこれが理由ですね。「著作権証券化」的なサービスが増えているのも同様です。ストリーミングサービス上で、今後の収益予測が立てやすくなり、しかも音楽なので上振れの可能性はある、まさに金融的な意味での投資商品になり得る訳です。これがリリースの浅い(再生実績がない)新譜にまで及ぶのも、今のテクノロジーを活用すればそんなに先のことではないでしょう。

 新譜のサブスクからの収入が相対的に下がるということになると、アーティスト側は初期コストの回収に他の方法を求めるようになります。NFT付でのマーケットプレースはまさに、音楽市場生態系の変化が要請しているサービスです。昨年開始した.muraは、サブスク時代の生態系を補完するために始めた事業です。ご注目ください!

死活的に重要性を増すデジタルマーケティング

   音楽ストリーミングサービス(Spotify,AppleMusic)や動画UGMサービス(YouTube,Tiktok)で、ユーザーが好きな音楽と出逢ってもらうためには、デジタルマーケティング的な戦略が必須になります。プレイリストなどのメディア的な展開、インフルエンス力のある個人によるレコメンドも重要ですが、おそらく最重要なのは、各サービスのアルゴリズムを「ハック」することです。
 スタートアップから始まっているITサービスは、各会社ごとにユーザーに対して「こういう便益を提供したい」という「思想」のようなものを持っています。その思想に基づいて、日々、エンジニアが改善を続けているというのがプラットフォーム型のサービスになります。
 ですから、まずはSpotifyはSpotifyの、TikTokはTikTokの、そもそも持つサービスの「思想」を理解することから始まります。その上で、サービスの中でどういう展開をしていくとアーティストにとってメリットが有るリコメンデーションをしてもらえるのかを仮説を立てて、検証していくという地道な作業が音楽デジタルマーケティングの基本です。
 昨年から始めた音楽マーケター育成のプログラム「音楽マーケティングブートキャンプ」は第二期になって、順調に進んでいます。第一期の卒業生によるコミュニティ「音楽マーケティング・ラボ」にも、ありがたいことに様々なアーティストから打診があって、さばききれない嬉しい悲鳴をあげています。

構造変化の今は、起業家にもチャンス!

 デジタル化で構造変化が起きている音楽ビジネス。世界の動きに約6年遅れている”IT後進国”日本も、デジタル化の波が始まろうとしています。音楽ビジネス生態系の変化に注目しましょう。
 音楽分野で起業したい人にとっては、構造変化の今は大きなチャンスです。
 スタートアップスタジオStudioENTREでは、起業家支援を継続していきますので、まずは、サイトを見て、連絡ください!

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モチベーションあがります(^_-)