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初めて知った「HTLV-1」(ウイルス) 知るから始まる日々の生活

先日、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)感染防止に取り組む知人から話を聞く機会があった。聞きなれない“ウイルス”だが、全国に感染者は100万人以上いるといわれている。発見されたのは1980年頃で、感染力は極めて弱い。しかし、まれに「成人T細胞白血病」や「脊髄症」を発症する厄介なウイルスだ。その主な感染経路は“母乳を介した母子感染”と判明している。現在、根本的な治療法はなく、いかに予防するかが重要だそうだ。

当初、上記の患者が九州地方に集中していたことから“風土病”と思われていた。しかし、現在では東京など関東圏にも広がっていて、全国的な対策や周知が必要になっているそうだ。一方、政府は患者団体らの要請を受け、妊婦への抗体検査(1次検査)の公費負担を決定するなど対策を進めている。

鹿児島県は同ウイルスのキャリア(体内に持っているが発症していない人)や感染症の患者数が全国で最も多い地域の一つとなっているが、キャリアの相談体制や啓発活動の充実、また、母乳による育児ができないため県として粉ミルク支給などの支援を行っている。

私はウイルスの名前も上記の難病も初めて知ったのだが、一番驚いたことは、日常、当たり前のように行われている“授乳で感染する”という事実だ。感染力が低いとはいえ発症する可能性があるわけで、ウイルスを知っていて事前に検査・対策できたどうか大きな問題だ。

このように、情報として周知されてないことが原因で、病気になり苦しんでいる方がいると思うとやるせない気持ちになる。財源や手続きなど費用がかかっても、国の制度として一斉に検査する必要性があると感じた。

先日、厚労省は子どもの難聴を生後すぐに発見するため、全ての新生児への聴覚検査を目指すと基本方針を発表した。下記の記事によると、"先天性の難聴"は新生児1000人あたり1~2人の割合とされ、検査を行わなければ気づきにくいため、就学時健診まで見つからないケースもあるとのこと。2019年度時点で新生児の1割が聴覚検査を受けていないか、受けたかどうか不明だそうだ。早くに発見し、人工内耳や補聴器の利用など、言語の発達を促す対策ができれば、その後の生活は大きく変わってくるはずだ。

また、最近よく聞く成人になってから、ADHDなど「発達障がい」が判明する場合もそうだ。子育てにおいて、いつも忘れ物が多い子どもに「あんたは何回言ったらわかるの(怒)」と叱るケースもあるだろうが、本人の怠慢ではなく障がいが理由の可能性もある。周りが認識して本人と向き合っているのか、知らずに叱っているのかでは雲泥の差といえる。

誰も知らないところで悩み苦しんでいる人が、日本の社会には多くいるのではないか。そして、家族の努力や職場の理解で解決できることもあれば、国が法律や制度をつくらないと不可能な場合もある。岸田総理は就任時に「国民の声を聞く政治」と標榜していたが、声をあげれないような方にも寄り添う気持ちで、政治を進めて欲しいと願っている。そうやって、一つ一つの課題に取り組むことが、結果的に多くの人を救っていくことになると信じている。


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