皆さんが上手いなと思う女優さんは誰ですか？

山本英治 AKA ほなね爺

2023年6月24日 13:35

前に『皆さんがきれいだなと思う女優さんは誰ですか？』というタイトルで文章を書きました。僕が全然きれいだと思わないような女優さんが時々「美人女優」などと称されていて驚く、というような記事でした。

今回はそれの“演技力編”を書いてみたいと思います。そう、「美人女優」のときと同じで、僕が「この人はどうしようもなく下手だなあ」と思っている役者さんが時々「名優」などと書かれていて、これまた僕は驚くわけです。

語弊があるので今回も実名を挙げて説明するようなことはしませんが、僕が所謂大根役者だと考えるのは、整理するなら以下のような男優／女優です：

1）演技がどうしようもなく大げさである

自分の日常生活を見渡してみてください。誰もそんな喋り方していないでしょう？それは不自然でしょう？というような喋り方をする役者です。そういう人はまた、台詞に強弱や緩急をつけることができず、演技にメリハリがなくなってしまいます。

2）どんな役柄を演じても全部同じになってしまう

つまり、それはどこまで行っても役者本人でしかないのであって、役柄になっていないということです。

3）演技パタンが２つぐらいしかない

例えば、凄みを利かせて怒鳴り散らす演技と、少しユーモラスにおどけて見せる演技とか。

パタンが２つあるだけ上記 2）よりはマシですが、引き出しが少ないという点では同じです。この２パタンの使い分けだけで名優の名を恣にしている役者さんがいます（ああ、あの人か！と思った方もおられるかもしれません）が、見ていて腹が立ちますね。

4）いろんな感情が混ぜ合わさった複雑な表情ができない

単に怒っている時の顔と、猛烈な怒りに燃えながらその一方でこんな事態になったことが情けなくて悲しくて仕方のない時の顔は違うはずです。人間の感情は常に複雑にいろんなものが入り混じっています。そして、一瞬のうちにそれは変化します。

それを見事に演じ分けるのが名優だと思うのです。単色の表情しかできないのは二流三流と言って良いのではないでしょうか？

僕が生涯で初めて「この女優さんはめちゃくちゃ上手い！」と驚いたのは加藤治子さんでした。その前から名前は知っていましたが、上手い！と認識したのは『寺内貫太郎一家』（1974～75、TBS）での寺内貫太郎（小林亜星）の奥さん役でした。

多様な感情が入り混じった微妙な表情、台詞を言うタイミングやリズムの多彩さ、ちょっとした仕草で語る情報量の多さなど、とても他の役者さんでは表現できないものを表現していると心底驚きました。

加藤治子は 1922年生まれなので当時 50代、僕は高校生でした。そして、それ以来僕はいろいろな役者さんの演技を注意して見るようになりました。

僕はよく他の役者が台詞を喋っているときの俳優の表情を観察したりしています。番組制作者は当然台詞を喋っている役者を主に観てもらう画作りをしているのですが、でも、その背後で映っている男優・女優を僕は観るのです。芝居を観るときにも同じようなことをしています。

そうやって観察していると、他の役者が喋っているときにただぼーっとしている役者と、その場面の状況や自分以外の役者の台詞にきっちりと反応して見事な演技ができている役者がいることに気がつきます。

嫌な客ですよね（笑）でも、そういうところに役者の演技力の差が現れたりするのです。

さて、今回も前回の記事に倣って、僕が上手いなと思う女優さんを 1950年代生まれから、1960年代生まれ、1970年代生まれ…と順番に２人ずつ、ただし 80年代生まれだけはまた絞りきれず４人になってしまったので、合計12人の名前を挙げてみようと思います。

また、美人女優のときは記事公開後に 2000年代生まれを追加しましたが、今回は 2000年代生まれはパスしました。

何故かと言うと、きれいかきれいでないかはひと目見て言うことができますが、演技力を見極めるためにはもう少し長い年月をかけて観察することが必要で、せいぜいまだ 22～23歳の女優さんの演技力を今判断してしまうのは難しいからです。それは実際に 2000年代生まれの女優さんを２人選ぼうとして実感したことでした。

では、僕が選んだ名女優たちは下記の通り：

田中裕子
大竹しのぶ
岸本加世子
小林聡美
安藤玉恵
市川実日子
小池栄子
池脇千鶴
安藤サクラ
佐津川愛美
奈緒
松岡茉優

ま、みんな見ているポイントが違うので、「なんでその人が？」と思われるかもしれません。「それよりもこの女優だろ？」という名前を挙げていただければ、僕もひょっとしたら「あ、確かにその人も」と言うかもしれませんし、逆に「どこが？」と言うかもしれません（笑）