【週1エッセイ】 はじまり
大学3年のいつからか、僕は休学を意識するようになった。周りの友人がみな就活に取り組み始めるなかでのことだ。ただあまり躊躇いのようなものは無かったように思う。振り返ると、これまで関わってきた人にも、今一緒に住んでいるシェエアハウスの人たちにも、僕の周りには休学や留学などで大学生活をスムーズに4年間で終わっている人は少ない。そのこともあってか特段悩むことは無かった。
そしてそんな僕は春休みに入ってすぐに意気揚々と休学の手続きを済ませたのだった。
春の陽気が心地よい昼下がり、僕は近所の公園にいた。円形の芝生の広場とたくさんの木々。そしてそれを囲うように整備されたランニングロード。公園全体を見渡せる場所にただ立ち尽くしていた。
大きく息を吸いこむ。澄んだ空気が肺の奥まで広がっていく。あ、鼻水が垂れてきた。そうだ、軽い花粉症だったんだ。
いよいよ始まったんだなー、そう思いながら芝生の広場をゆっくりと歩く。なんの肩書きもない自分。いくつか仕事や活動をしているので、本当に何もないわけでもないのだけれど、「学生」という大きなものは一旦なくなった。小中高大と通い、大学3年で就活を始め、卒業後は新卒の社会人として働いていく。そんな大きな社会の流れから少しはみ出した。
生きていると、望んでもないのに大きな決断をしなければならないときが多くある。そんなタイミングじゃないのに、判断する材料も大して持ち合わせていないのに。そこではしっかりと決断する場合もあるし、そんなことできずになんとなくマジョリティの方向に進んでいくこともある。(それもそれで決断と言えるのかもしれない)
ただ、進路のことや仕事のことなど、しっかりと自分の意思で決断したいことは当然ある。微妙な飲み会に行くか否か迷うのとは別格の選択だ。なんとなく飲み会に行くという選択をしてやっぱつまらないーと感じるのと、なんとなく進路やキャリアを選択してやっぱつまらないーと感じるのでは大きな差がある。今回の「休学」という選択は自分の意志をはっきりと持って選んだと思う。
公園から駅に向かいながら休学中に何をするのか改めて考える。
地元に古本屋をつくること、公園やまちの公共空間の使い方を問うような活動を行うこと、何かしらの形で文章を定期的に書くこと、動画や冊子、本などクリエイティブ制作に力を入れること、、、、、たくさん出てくる。古本屋をつくることに関してはまた別のnoteに書くし、実際の作業の様子も連載で記録していくつもりだ。
さて1年後の自分はどんな自己紹介をしているのだろう。どんなことを話しているのか、どんなふうに話しているのか、どんな顔をしているのか。歩きながら空を見上げる。桜の花びらがゆらゆらと散っていた。頭の中で戦闘開始のゴングが鳴る。ポジティブな変化にもネガティブな変化にも期待して、僕の1年間は始まった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?