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刑事事件と民事事件

ネットサーフィンをしていると、笑ってしまう真面目なサイトがあった。東京弁護士会の当番弁護士サイト「弁護士を呼ぼう」である。刑事事件で逮捕・勾留された人が真っ先に電話して弁護士を呼ぶのだろう。とりあえず当番弁護士を派遣してもらい、まずは初回の相談をし、その後は私選でやるか国選でやるかという流れになる。国選でやれば(資産が50万以下の当事者が原則)、原則弁護士費用は無償(国税)となるし、勝訴すれば裁判費用も無償となる。

われわれ善良な一般市民には知らなくても良い話だが、人生お先が見えないことが多く、世の中どうなるかは全く分からない、いつなんどき冤罪事件に巻き込まれ、間違えて逮捕されてしまうとか、事実誤認で拘留されてしまうといったことも、考えたくはないがイマドキの世の中ないとは言い切れない。

冤罪で捕まったら、何もしゃべらず先ずは「弁護士を呼ぼう」サイトの電話番号に電話をする。これは基本的な権利なので警察に言えば電話をかけさせて貰えるらしい。そして24時間以内に当番弁護士とだけ話をすることが賢明のようだ。その後は、そのまま当番弁護士がやってくれるなら自分の弁護をお願いすれば良いし、別に探すのであればそれでも構わず選択は自由だ。

われわれ善良な一般市民も、自分の身は自分で守る術を持つ必要があるのかもしれない。もちろん、弁護士等とは一生関わらず死んで行けたら、それが一番良いと思う。

ところで、民事事件には国選弁護人が使えない。
刑事事件を起こして、国選弁護人がついて、弁護費用が無償で出来るようになった人が、さらに民事でも国選弁護人を使いたいと言って来た。しかし、刑事訴訟法にある国選弁護人は刑事事件にしか使えない。民事事件は無理である。

その前に、なぜ多くの人は無料にばかり目が行き、自分で解決する(私選弁護人を頼む等)ことをしないのだろうか。何でも国や御上がやってくれるものだと思う日本人の依頼心と無責任さは、真面目に見ているとイヤな感じが否めない。国家は国民の健全で安全な社会の持続のための支援はするだろうが、もめ事を起こした/起こされた者の個別の尻ぬぐいはしない。

話は変わるが、雇われ弁護士や営業力のない弁護士は色々ツライご時世である。美味しい事件と、出来れば食べたくない事件(その一つが国選弁護人や、民事法律扶助がらみ)に分かれるので、賢い弁護士はサッサと独立して、一般人を相手にせず法人を相手に商売をするのだろう。

聞くところによると、10社ほど顧問弁護士になっていれば、それだけで安定で、一般人の事件に関わらずにワークライフバランスも出来て、自分のペースで食っていけると言う(10社を超えると大変になるらしい)。
あるいは、今の時代に流行っているのがインハウスローヤー(企業内弁護士)だ。社員として固定給があり、弁護士としての役割給も乗って、かつ副業として堂々と自営で弁護仕事も並行して出来る権利を持っている。

でも、顧問弁護士もインハウスローヤーも、殆どの仕事が契約書絡みだと聞く。TVドラマや映画でイメージする社会の事件をばったばったと解決するアクティブな仕事というより、地味な事務屋さん弁護士が実態のようなので、「べんごし」という仕事は安定収入やワークライフバランスの追及だけでなく、青臭い話かもしれないが社会正義の仕事をして欲しいと、役立たずな私は思ってしまう。
#note   #エッセイ   #高齢者   #フリーター   #役立たず
【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

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