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写真週刊誌

もう辞めた人の話だが、某写真週刊誌の記者だった人と話す機会があった。写真週刊誌の編集部門は、とにかく1分1秒に追われる時間との闘いで、原稿の最終入稿〆切は発売日2日前の夕方、それから印刷を徹夜で行い、印刷した束から遠方(沖縄など)に送る。一番最後に送られるのが都内で、発売日前日の夕方には売店に届けられる。よって駅のKIOSKなどでは、発売日前日の夕方には買えるという事になる。

つまり2日前の夕方から前日の夕方までの、たった1日間で全ての印刷と発送を終えなければならない。もちろんそれ以前の取材と記事作成も24時間体制なのは簡単に推測できる。なんと、毎月の残業が最高で500時間!だったとか(1か月間寝ずの作業か!)。

最近は働き方改革で45時間の残業でも人事から煩いのに、もはや一般人とは次元が違う過酷な仕事のようである。私も学生のころ一時期、編集や取材助手のバイトをした経験があるが、本業にならなくて良かったと思う。どんなに若くてもヘタレな私なら1週間で倒れてしまうだろう。

その写真週刊誌の場合は一匹狼で動くようなことは無く、常勤社員と契約社員がチームを組んで、複数チームの分業で進めていくという。毎週発行しなければならず、かつ文章だけで記事が成り立つ媒体ではなく、読者に訴える写真も載せて公表する媒体なので、その大変さは桁違いだろう。

しかし、そんな早朝・日中・夜間・徹夜前提の勤務で、どうやって休みを取るのだろうか。興味があったので聞いてみることにした。
写真週刊誌の編集者は発売日から既に、翌週ネタの記事と写真取得に遁走するというスケジュールで、当然そうしないと翌週に間に合わないのは分かるが、これでは全く気も休まらず、休暇を取ることすらできない。

その人が新人のころ最初の半年間は全く無休だったと聞くが、その後から時々休みは貰えたとのこと。しかし土日休んでも気も身体も休まらないだろう。眠って終わりの休みでしかない。
「それでどうしたんですか?」と聞くと、ある程度してからは「1週間置きの勤務体制」に変わったのだという。

つまり激務の一週間の勤務を終えると、次の1週間は仕事をせず丸々休暇となる仕組みだ。1日2日休んでも激務の疲れを取る睡眠に使うだけで休暇にはならない。しかし1週間あれば十分にリフレッシュが出来てメリハリも付くだろう。海外旅行にも十分に行ける。

その労働システムは独身は良いとしても、妻帯者だと可哀そうだろう。そして普通の感覚では結婚相手には選ばれそうにない。その結果の結婚事情として出来たのが、そもそも激務の中で出会いが無い事もあるだろうが、編集者の多くは週刊誌の仕事を知っている相手と、社内結婚をするのが圧倒的に多かったという。世の中には色々な職種があるが、独特の世界観や日常があるのだろう。慣れてしまえば良いのかもしれない。

仕事は完全な分業スタイルで、お互いに得意分野の仕事をする。1チームの中にカメラ、取材記者、編集がいるという感じで、チーム間でも得意分野で分担すると言う。例えば、張り込みが必要な場合は張り込みチームに回す、聞き込みが必要な場合は聞き込みチームに回すといった感じだそうだ。

どんな仕事でも、仕事は組織で行うチーム制が良いと思う。孤独にならないし、一人で抱え込むこともないし、一緒にやっている仲間がいれば、助け合いの精神とともに達成感の共有もできるので、メンタルヘルス的にも良いだろう。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

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