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更生保護の話

罪を犯した少年や成人の社会復帰に関することを更生保護というが、そんな話を聞いた。当事者の罪の意識の違いがあり、殺人や業務上過失致死は当然それなりの意識は持っているものの、類型の違いによっては、だんだん罪の意識が薄れていくことが知られている。

窃盗などは、単独犯と共犯でも違いがあり、共犯となれば罪の意識は主犯でなければ分散される傾向があるとのこと。覚醒剤取締法違反になれば、「自分は誰にも迷惑を掛けていない」という意識の方が強く、罪の意識が薄いので、覚醒剤は何度も再犯をして刑務所に戻ってくることが多い。

ましてや昨今流行の特殊詐欺の下っ端(受け子、出し子、運び屋、その他)は、罪の意識が殆どない者も多く、そもそも全体像が見えていない立場なので、自分の行動が犯罪に繋がっていたことを知らない者までいる具合だ。

特殊詐欺に巻き込まれる犯罪者に共通することは、周囲に流されやすい、自分の考えを持っていない、よって出所してもその性格や行動特性を変えないと、繰り返される場合があるということだ。

尚、犯罪の類型は、複合犯罪の場合は一番思い罪で語られるので、例えば下着泥棒などの場合は、窃盗ではなく性犯罪の類型で扱われる。子供の悪戯行為レベルではないので、犯罪の起きにくい社会になれば良いと願うまでだ。

更生保護は再犯防止である。犯罪のない社会にするための国民を含めた国家の意向といえる。少年院や刑務所を出てきた人にまず必要なことは、「住む場所」と「仕事」と「再犯防止の支援」になる。

出所してお金がないので生活保護というわけには行かない。健康な身体があるのであれば、まずは仕事をして働き自立して貰うことが大切になる。しかし、その働き口が少ない。企業側の協力雇用主も少ない。仕事が無ければ生きていくために闇の仕事や裏の仕事をやらざるを得ない状態にもなってくる。それでは全く更生保護にはならないので、周囲の理解と協力が不可欠となってくる。

住む場所には、「引受人」の存在が不可欠だ。一般的には親兄弟、親族などが良いのだが、そこにも問題があって引受人になってくれない場合も多い。住む場所がなければ、悪い仲間の居る場所に寝泊まりすることも考えられ、元の木阿弥になってしまう。就職先に社員寮などがあれば良いのだろうが、現状社員寮を持つような企業は少なくなっている。逆に、水商売や風俗系の仕事だと寮での共同生活を強いているところもあり、それはそれで更生するための環境としては芳しいとは思えない。ここでも社会の理解と協力が必要になってくる。

起きてしまった犯罪に対して、もちろん被害者の方々には哀しくも怒りを覚える話であるが、犯罪を犯した者=社会的抹殺や報復ということは簡単には出来ない事も分かるだろう。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉は被害者から見れば素直には受け入れられない言葉であることは承知の上で、しかし綺麗ごとではなく、犯罪が起きない(起きにくい)社会を皆で作って行くことが安全の根底になる。

なぜ犯罪が起きてしまったのか、その本質と根本的な原因を根絶する、せめて最大限に回避することを誰もが考える必要があるのだろう。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

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