【詩】 たかが言の葉の力

舞い上がりがちなガキの私を
心配してか
子どもの頃 父と母は
ほめ言葉を惜しんだ

異国の地に暮らしはじめ
スキンシップと
ほめ言葉のシャワーで 育つ人らを
うらやましく思った

言葉に泣き
言葉にうらやむ

ようやっと この年で 詩を書き出した私に 
感性 ということばを聞かせてくれる人がいる
才能 ということばを使ってくれる人がいる
書き続けて と言ってくれる人がいる

言葉に生かされ
言葉に励まされる

でも 私は
言葉がなければ感動できないのか
言葉がなければ鼓舞されないのか
言葉がなければ自分が信じられないのか

誰かのことばが
私を奮い立たせ
私を迷わせ
私を絶望させる

でも 私は
自分の言葉で生きているんじゃなかったのか
自分の感情で動いているんじゃなかったのか
自分の信念でつくられているんじゃなかったのか

言葉を
ここからも そこからも 
耳にはいる 目にはいる 言葉を
たぐり寄せながら
いっしょに たゆたいながら

自分の言葉を吐け
自分の言葉を信じろ

惑わされるな 美辞も 悪口も
私ではない誰かの言葉
たかが言の葉の力

自分の声を聞け
自分の思いに寄り添え

言葉を
ここからも そこからも
耳にいれる 目にいれる 言葉を
仰ぎ乞いながら
ひとり もてあそびながら




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